風邪の諸症状で医療機関「受診した」32.7%、受診日数は「2~3日後」38.3% 酷暑の夏、新型コロナも懸念
塩野義製薬は2025年8月12日、夏の受診に関する実態調査を行い、その結果を発表した。
不調を感じてからの受診日数、「2~3日後」が38.3%
今回の調査は2025年7月18日~23日、(1)直近1か月に風邪の諸症状を感じた20~80代の男女1200人、(2)新型コロナウイルス感染症の診察を行う医師(一般病院、医院・診療所・クリニックの内科・呼吸器内科・感染症内科・耳鼻咽喉科・循環器内科の医師)100人を対象に行われた。
調査では、風邪の諸症状を感じて、病院やクリニックなど医療機関で受診したかを聞くと、「受診した」は32.7%だった。受診した人(392人)にその理由を聞くと、「咳が止まらず苦しかったから」30.6%、「発熱していたから」29.3%、「からだがだるかったから」23.2%などがあがった。
一方、受診しなかった人(808人)の理由では、最多は「受診するほどではないと思ったから」が54.3%。次いで「受診しなくてもそのうち治ると思ったから」38.0%、「様子を見ればよいと思ったから」33.8%などがあがった。
医療機関を受診した人(392人)に、不調を感じてから何日ぐらいで受診したかと聞くと、多かったのは「2~3日後」で38.3%。受診までの日数は平均で3.2日だった。年代別では、40代が2.5日と早く、70~80代は4.3日と長くかかっている傾向がみられる。
医師の58.0%「風邪の諸症状を訴える患者に対して『もう少し早く受診していれば』」
5類感染症に移行された新型コロナウイルス感染症だが、この夏、再流行も懸念される。そこで調査では、直近1か月に風邪の症状を感じた時、新型コロナに感染していると疑ったかを聞いた。その結果、38.7%(「疑った」10.3%、「少し疑った」28.3%の合計)が感染を疑っていた。年代別では、20代は49.5%で、年代が上がるほど疑う割合が低い傾向がみられた。
また、新型コロナ感染かもしれないと疑った人(464人)のうち、医療機関を受診した人は53.4%で、これに対して46.6%は疑いながらも受診していなかった。年代別では、20代の受診率が72.7%と高かったが、40代では40.0%、70~80代では43.9%だった。
ちなみに、猛暑が続くこの夏、「できるだけ避けたいもの」を聞くと、19.1%が「病院・クリニックなどの医療機関での受診」をあげた。塩野義製薬は「20代・30代は受診を敬遠する人は14.0%と少ないものの、40代以降になると2割以上が受診を敬遠していました」と指摘する。
一方で、新型コロナの診察を行う医師100人に、新型コロナ陽性と診断した際の患者からの反応について聞くと、90.0%が「ただの風邪だと思っていたという反応があった」(「よくある」52.0%と「たまにある」38.0%の合計)と回答した。
臨床の現場で思うことを尋ねた質問では、58.0%が「風邪の諸症状を訴える患者に対して『もう少し早く受診していれば』と思うことがある」。65.0%が「患者の自己判断で初動が遅れ、重症化や疾患の長期化につながっているケースがある」。78.0%が「患者の初期の自己判断が間違っていると思うことがある」といった結果も出た(いずれも、「よくある」と「たまにある」の合計)。
「新型コロナ感染症であれば、早めの治療が重要です」
今回の調査結果を監修したヒラハタクリニック院長・平畑光一氏は「当院においては最近でも風邪症状で受診される患者様の半数以上が新型コロナ感染症です」としたうえで、次のように指摘した。
「患者様からは『酷暑で家から出る気が起きず、なかなか受診できない』というお話をよくうかがいます。結果的に、症状が始まってから来院までに日にちが経ってしまっていることも多くなっているようです。新型コロナ感染症は、初期症状が比較的軽いことも多い一方、ひとたび感染してしまえばあとから重症化する可能性、後遺症が残る可能性も十分にあるため、症状だけで自己判断することは非常に危険と言えます。風邪のような症状があれば、まずは医療機関を受診し、検査を受けることが非常に大切。新型コロナ感染症であれば、早めの治療が重要です」