テラ・ラボ、航空管制区域を飛行可能とする長距離無人航空機の運用コンセプトを取りまとめる
テラ・ラボは、無人航空機の航空管制区域内飛行を実現するために、有人航空機と同様に、無線システムを搭載し、エリアごとに割り当てられた周波数を使い、音声等で航空機同士や地上管制とのATC(Air Traffic Control)や国際的にも議論が進むRPAS(Remotely Piloted Aircraft System)の検証を始め、国際基準の安全性等に適応するためのConOps(運用コンセプト)を取りまとめた
テラ・ラボが開発を進める「テラ・ドルフィン」は、2019~2021度、地域復興実用化開発等促進事業補助金(福島県)を活用し、「衛星通信を活用した長距離無人航空機による大規模な災害発生時における高高度広域三次元モデル生成を可能とする情報共有システムの実用化に向けて」を開始。
2021年11月、自立・帰還支援雇用創出企業立地補助金を活用し、福島県南相馬市復興工業団地内に長距離無人航空機の実用化・事業化拠点 「TERRA LABO Fukushima」を整備した。
福島県南相馬市内に整備した長距離無人航空機の実用化・事業化拠点 「TERRA LABO Fukushima」※福島ロボットテストフィールドの滑走路と直結している
「TERRA LABO Fukushima」は、長距離無人航空機が4台は常時運用可能な拠点、管制室は情報共有基盤を整備
本事業では、既存の有人航空機と同じ空域(航空管制区域)の飛行を実現するため、機体の構造や通信装置や制御装置、観測装置などの検証をしつつ、無人航空機に既存産業の技術を応用した廉価なサプライチェーンの調査を進めることで、技術面、製造面の課題の洗い出しに努めてきた。
しかし、日本国内法(航空法)における無人航空機が飛行できるエリアは、有人航空機との干渉が少ない高度150mとされている。
2023年12月、航空法改正により、人口密集地上空の飛行(レベル4)が認められるようになったが、高度150m以下が前提となっており、無人航空機による航空管制区域の飛行の実現には、技術面に加えて、国の制度面の課題が多い。
テララボが検証を進める無人航空機の航空管制区域内飛行
テラ・ラボは、無人航空機の航空管制区域内飛行を実現するために、有人航空機と同様に、無線システムを搭載し、エリアごとに割り当てられた周波数を使い、音声等で航空機同士や地上管制とのATC(Air Traffic Control)や国際的にも議論が進むRPAS(Remotely Piloted Aircraft System)の検証を始め、国際基準の安全性等に適応するためのConOps(運用コンセプト)を取りまとめた。
無人航空機の遠隔操縦システム(RPAS:Remotely Piloted Aircraft System)と航空交通管制 ※ICAOの資料を元にテララボで作成
テラ・ラボは、災害対策で得た知見をもとに、民間技術の防衛転用を可能とするため、防衛省・自衛隊が開催する意見交換会や講演会などを通じてアジャイル開発を進める体制を構築。2024年4月、装備品製造等基盤事業者として防衛大臣の認定を受けた。
今後は、福島県南相馬市に設置した研究開発拠点「TERRA LABO Fukushima」において、東日本大震災の復興の一環として雇用創出をしつつ、愛知県営名古屋空港に飛行試験開発拠点と危機対策オペレーションセンターを整備し、平時・有事のデュアルユースを実現できる体制の構築を目指すとしている。
テラ・ラボ