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懐かしの弥彦名物を蘇らせた「黒津ポン菓子本舗」の地元愛。

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懐かしの弥彦名物を蘇らせた「黒津ポン菓子本舗」の地元愛。

「ポン菓子」をご存知でしょうか。お米に圧力をかけた後、一気に開放することで膨らませてつくるお菓子で、減圧するときに大きな音が鳴り響くことから「ポン菓子」とか「ドン菓子」とか呼ばれています。大正から昭和中期にかけては露店で実演販売されていましたが、今では見かける機会も少なくなってしまいました。そんなポン菓子を弥彦村で復活させたのが「黒津ポン菓子本舗(くろづぽんがしほんぽ)」の黒津さん。お話を聞くためにご自宅へ伺いましたが、道に迷ってしまいました。そんなときに聞こえてきたのはポン菓子の弾ける音……

黒津ポン菓子本舗

黒津 一彦 Kazuhiko Kurozu

1987年西蒲原郡弥彦村生まれ。製造業や旅館業を経験後、2021年に独立し「黒津ポン菓子本舗」を立ち上げる。趣味はサッカー観戦でアルビレックス新潟を応援している。

生まれ育った弥彦への恩返しがしたい。

——少し道に迷いましたけど、音と匂いを頼りに辿り着くことができました(笑)

黒津さん:わかりにくい場所ですみません。その音と匂いがポン菓子の特徴なんですよ。けっこう大きな音がするから、移動販売をするときは周りに知らせてから減圧するようにしています(笑)

——その音がまた、周りの人たちの注意を引きつけて、客寄せにもなるんですよね。ところで黒津さんは、どうしてポン菓子の移動販売をはじめたんですか?

黒津さん:弥彦で生まれ育って地域の人たちにもお世話になってきたので、地域に恩返しがしたくて自分にできることを考えてきたんです。地元を盛り上げるために飲食店をはじめることも考えたけど、ポン菓子をやってみようと思いつきました。

——よりによって、ポン菓子を選んだのはどうしてなんでしょう?

黒津さん:僕が子どもの頃は彌彦神社の前が遊び場でした。その頃は近くにポン菓子の屋台が出ていたので、僕らの世代には懐かしい弥彦のソウルフードだったんです。

——へぇ〜、そうだったんですね。

黒津さん:現代の子どもたちにもポン菓子を楽しんでほしいと思ったので、移動販売をはじめました。それと旅館で働いていたときにお客様から「弥彦は観光地なのに、お土産の種類が少ない」という声を聞くことがしばしばあったので、お土産としてポン菓子を販売することにしたんです。

——以前は旅館で働いていたんですね。

黒津さん:弥彦駅前の「割烹の宿 櫻家(さくらや)」という旅館で10年間働いてきました。接客の仕事を続けるうちに、お客様とコミュニケーションをとることが得意になって、ご指名をいただいたりお土産をいただいたりするようにまでなったんです(笑)。その経験は今でもポン菓子の移動販売で役立っていますね。

弥彦のブランド米や新潟県産素材を使う、こだわり。

——ポン菓子のこだわりを教えてください。

黒津さん:弥彦村のブランド米「伊彌彦米(いやひこまい)」を使っていることと、食品添加物はできるだけ使わないようにしていることです。季節限定商品には、新潟県産のいちごや枝豆も使っています。

——いろいろな商品があるんですね。それがこの「おこし」みたいな商品ですね。

黒津さん:「PON BLOCKS(ポンブロックス)」といって、ポン菓子に水飴や砂糖を絡めて食べやすいキューブ状にしたお菓子です。砂糖の他に「カラメル」「むらさきいも」「ココア」など豊富なバリエーションをお楽しみいただけます。

——どちらで手に入れることができるんですか?

黒津さん:弥彦エリアの商店や旅館、道の駅、産直市場で販売しています。最近はお隣の岩室温泉でも販売していただいているんですよ。あと「Dekky401」のなかにある「産直セレクトショップKITAMAE(キタマエ)」にも置いてあります。

——ずいぶんいろいろなところで販売されているんですね。

黒津さん:地元の人達のおかげです。最近では彌彦神社のご祈祷後に、ポン菓子を授与していただいていると聞いています。本当にありがたいことですね。

——それはすごい。移動販売はどちらで出店しているんですか?

黒津さん:主に「弥彦おもてなし広場」で土日を中心に出店していて、出店情報はインスタグラムでご確認いただけます。なるべく弥彦で出店したいので、あんまり他の地域へ出て行かないようにしているんですよ。ただ、お誘いがあれば「弥彦を代表するソウルフード」として広めに出かけたいと思っています(笑)

いろいろな世代をポン菓子でつなぎ、弥彦を盛り上げたい。

——どんなお客さんが買いにくるんですか?

黒津さん:年配の方が懐かしがって買いに来てくれるのはもちろん、若い方も珍しがって買いに来てくれますね。最近では若い女性も買って行ってくれます。

——へぇ〜、幅広い層のお客さんが買いにくるんですね。印象に残っているお客さんはいました?

黒津さん:お孫さんを連れたおじいさんが来てくれたんです。お孫さんは大きい音に驚いているんですが、おじいさんはその様子を見て満足そうにドヤ顔しているのを見て、ふたつの世代をポン菓子がつないでいるようで嬉しくなりました。

——なるほどー。ポン菓子を知らない世代にも、広く知られるようになればいいですね。

黒津さん:弥彦の小学校では、授業の一環で子ども達が米づくりをしているんです。2年前から出張授業に呼ばれて、子ども達の前でそのお米を使ったポン菓子づくりをしています。おかげさまで、弥彦の小学生のなかではポン菓子の認知度が高いんですよ。

——昔から続いてきた伝統的なお菓子を未来へつなげているんですね。これからの夢ってあるんですか?

黒津さん:移動販売をしていると、お客様から店舗の住所をお問い合わせいただくんです。移動販売のみだと伝えると残念がるお客様も多いので、いつかは実店舗をオープンして、さらに弥彦を盛り上げていけたらいいなと思っています。

黒津ポン菓子本舗

西蒲原郡弥彦村弥彦2932-2

080-1204-6159

10:30-15:00

不定休

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