パリ五輪テニスの青山修子・柴原瑛菜組が日本勢初勝利を呼び込んだファーストサーブの重要性
芝原がサービス力を発揮し、71%の高確率
パリオリンピックのテニス女子ダブルス1回戦が29日(日本時間30日)、ローランギャロスで行われ、日本の青山修子(近藤乳業)・柴原瑛菜(橋本総業)組がボグダン・クリスティアン組(ルーマニア)に6-2、6-3で勝ち、2回戦に進出した。
2人は2021年の東京大会は1回戦敗退したものの、2023年の全豪オープン女子ダブルスで準優勝しており、メダル獲得が期待されるペアだ。今季、芝原はシングルスを中心に大会出場するため青山とのコンビを解消していたが、パリオリンピックでのコンビ復活にファンからも期待の声が上がっている。
第1セットはデュースにもつれこむゲームもいくつかあったが、サービスウイナー11本、ファーストサーブ71%、ダブルフォールトを0本に抑え、一度もブレークを許さず、6-2で1セットアップとした。
続く第2セットでは、芝原がサービス力を発揮。2人のファーストサーブの確率を合わせると71%と第1セットと変わらないが、ゲームを細かく見ると、芝原がサーブ権を持った第1、5、9ゲームはすべて相手に1ポイントも与えずに奪ったラブゲームと安定感抜群だった。
今大会、日本勢は男子シングルスの錦織圭、ダニエル太郎、女子シングルスの大坂なおみ、内島萌夏、男子ダブルスの錦織圭・ダニエル太郎組がいずれも初戦敗退したため、青山修子・柴原瑛菜組が日本勢初白星となった。
大坂なおみも優勝した全米オープンでファーストサーブ率73%
今回の勝因はやはりサーブ、特にファーストサーブ率の高さだろう。今季、シングルス大会を中心に出場した芝原は、初タイトルとなった3月のITF W35の決勝でもファーストサービスを71%の確率で決めている。
過去の日本人優勝選手も見てみると、2018年全米オープン女子シングルス決勝でセリーナ・ウィリアムズを破った大坂なおみは、ファーストサーブ率73%とセリーナの55%を大きく上回っていた。
なぜこんなにもサーブで勝敗が分かれるのか。それは、サーブの特性にある。
そもそもテニスのポイントは毎回サーブから始まり、サーバーはファーストサーブとセカンドサーブを2回打つことができる。サーブはテニスのプレーの中で唯一、誰からの影響も受けず自分でコントロールできるストロークであり、"万が一外してもセカンドサーブを入れられればいい"という心の余裕を持ったファーストサーブは必然的に攻めの一択となる。
そのため、レシーバーはその攻めを警戒した受け身のリターンとなり、圧倒的にサーバーの方が有利な展開となりやすい。レシーバーから見たファーストサーブは「入れること」を目的としたセカンドサーブとは違い、どんなコースに打たれるのかの予想が難しく、メンタル的にもレシーバーにプレッシャーを与えられるのだ。
2回戦は詹皓晴・詹詠然組(台湾)と第2シードのクレイチコバ・シニアコバ組(チェコ)の勝者と当たる青山修子・柴原瑛菜組。次戦もファーストサーブで優位に試合を運べるか注目だ。
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記事:SPAIA編集部