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行動したその先にマインドセットがある~僕がファームで考えていること~!巨人、高梨雄平投手の連載日記【ナシさんのアリな話 鉄腕奪取】第19回

ラブすぽ

行動したその先にマインドセットがある~僕がファームで考えていること~!巨人、高梨雄平投手の連載日記【ナシさんのアリな話 鉄腕奪取】第19回

「他者の目」を入れることで、


改善点の「幹や根っこ」を探る

『ラブすぽ』読者のみなさん、読売ジャイアンツの高梨雄平です。さて、このコラムも連載がスタートしてからもうすぐ1年が経つのですが、これを書いている6月上旬現在、僕は一軍ではなくファームにいます。今回は5月16日に登録を抹消されてから約1カ月間、僕が何を考えて、何に取り組んでいるのかを伝えたいと思います。

ファームに来て僕がまずやったこと。それは崩れていたフォームを見直すことです。最初はとにかくいろんな人の意見を聞きに行きました。ファームに落ちてからしばらく……たぶん、9日間くらいですかね。実戦で投げなかった理由はそれです。自分のどこが狂っていて、どうアプローチしていいのかが定まっていないのにいきなり投げても仕方ないし、まずはそこをしっかりと立て直す。コーチはもちろん、トレーナーの方も含め、できるだけ多くの「他者の意見」を聞くことが第一歩でした。

正直に言うと細かな“ズレ”や“狂い”みたいなものは、実は毎年あるんです。長いシーズンを戦っていると、常にベストコンディションでいられることなんてまずありません。ただ、今年に関してはその“ズレ”が例年よりも大きくて、だからあんな崩れ方をしてしまった。いつもならシーズン中に修正しながらやれるんですけど、今年の場合はその修正がちょっと追いつかない感じがありました。

感覚的な話ですけど、「枝葉」の部分だけ見てもたぶん無理だなと。これはもう「幹や根っこ」の部分から見直さなければいけない。そのために必要なのが、「何がおかしいのか」を自分の目だけで判断しないこと。だって、自分だけで判断できて、それが正しいのであればいつものように修正できるはずなんです。それができないのであれば、自分以外、つまり他者の目で見てもらって、そこから改善策やヒントを得る。そういう必要がありました。

そんな中で最終的に到達したのが「グラブの位置」でした。でも、実はこれに気付いたのは他者ではなくて自分自身。こう言うと「他者の目で見てもらう必要があった」という言葉と矛盾していると思われるかもしれないけど、いろんな人の話や意見を聞いて、それを自分の中に落とし込んで考えたからこそ行きついた答えなので、決して無駄ではありません。

これは投球フォームに限った話ではないんですけど、何かが狂っていて、どこかを直さなければいけないとき、ベストなのは「一個直して、全部直る」。たとえば足の出し方を直しても、そこだけが修正されて腕の出方が直らなければ、結局さっき書いた「枝葉」の改善にしかなっていないんです。投球フォームはもちろん、世の中のほとんどのことは何かと連動しているので、1カ所を直すことで全体の狂いが正しい形に修正されることもある。それがどこなのかを探るのが、時間はかかるけど一番確実でシンプルな修正法だと思います。

今回で言うと、それが「グラブの位置」だった。もちろん、そこを直したからと言ってすべてが「元通り」というシンプルな話ではなく、そこからコンディション、メカニック、フィジカルの部分も含めてしっかりと戻していく。今はファームで、それを考えて日々を過ごしています。

プロ野球選手は一軍で活躍してなんぼの世界です。特に、プロで9年間やっている僕のような立場であればなおさらです。だから今、ファームにいるというこの状況を「プロ野球人生の中では必要な時間だった」とか、「この時期があったからさらに成長できた」みたいに捉えるつもりはありません。

だって、調子を崩さず常に高いパフォーマンスを発揮できて一軍で活躍を続けられた方が、絶対に良いに決まっているから。だからもし、本当にこの時間が「必要なモノ」だったとしても、それが分かるのはだいぶ先になるはずです。

でも、だからと言ってそんな僕が「いつまでに一軍に上がりたい」みたいな目標設定をしているのかというと、それもちょっと違います。プロ野球には一軍の「枠」があって、チーム事情や方針で、その枠に誰を当てはめるのかが決まります。そして、それを決めるのは僕ではありません。自分に決定権がないのに目標を定めることはできない。

僕自身、去年も開幕時点ではファームにいましたし、巨人にトレードで移籍する前は楽天でファーム暮らしも経験しています。それを踏まえて大事だと思うのは「ジタバタしないで、自分のやるべきことをやる」。

ただ、これも実はちょっと難しくて、僕自身は過去に「ジタバタした」経験もあるんです。そのうえで「ジタバタしなかった」経験もある。どちらもやったうえで、結局は「自分には決定権がないことで、もがいても仕方がない」という考え方に行き着いた。最初に行動(プロセス)があって、初めてそういうマインドセットに落ち着いたんです。

野球に限らず、仕事でもプライベートでも自分の思い通りに事が運ばなかったときは、マインドセットが先ではダメだと思うんです。まずは行動が先。選択肢があるならどちらもやってみて、その先に初めて結論=どんなマインドセットが適しているかに辿り着く。

今の僕がやれることはとにかく自分の状態を上げて、あとはいつ一軍から声がかかっても自信を持って「行く」と言える状態に上げておくこと。プロ野球選手として、そこだけはブレずにやっていきたいと思っています。次回のコラムも是非、お楽しみに!

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