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近所の家庭で高齢者虐待が起きているかも…判断する3つのポイントを地域包括支援センターの専門家が解説

「みんなの介護」ニュース

藤野 雅一

虐待による悲劇的なニュースは、被害者の年齢を問わず毎日のように報じられています。

高齢者施設の場合は介護職員からの身体的虐待によるケースが特にショッキングに報道されています。

高齢者、障がい者、児童ともに虐待防止法が施行され、虐待を発見した際には通報の義務が定められています。また虐待と疑わしい場合にも通報することが望ましいとされています。

虐待だとはっきり判断できなかったとしても、望ましくない状況にあることが予測される場合は、早期にその状態を改善し虐待に発展することを防ぐ必要があるからです。

今回は、高齢者虐待が疑われたとき、周囲がどのように対応すればいいのかご紹介いたします。

どんな状況だと虐待の可能性が高いのか

まずは、虐待の分類について知っておくと判断しやすくなります。

特に高齢者虐待の場合は次のような5つに定義されています。

身体的虐待
介護・世話の放棄・放任(ネグレクト)
心理的虐待
性的虐待
経済的虐待

上記のうち、家族などによる虐待、施設職員による虐待ともに身体的虐待が最も多いといわれています。

では、どんなときに虐待が疑われるのでしょうか。たとえば、次のようなケースが考えられます。

体にあざや傷がある
怯えている様子がある
いつ見ても同じ服装で、尿臭や便臭がする
お風呂に入っている様子がない
最近姿が見えない
ひどく痩せている

特に、体にあざや傷があることが確認できたときは早急な通報が必要です。暴力による虐待は命に危険が及ぶ可能性が高まるからです。日常的に暴力や暴言にさらされ、怯えている様子があるときなども同様です。

いつ見ても同じ服装だったり入浴していない場合は、介護放棄などが予測されます。ひどく痩せているときは、食事を適切に食べさせてもらえていない可能性もあります。こういった状況になると、第三者に虐待を知られることを恐れて、人前に姿を見せない、あるいは外に出してくれないといったケースも考えられます。

虐待かどうかを判断する3つの視点

上記のような場合、心配はしていても通報するかどうか迷うことがあるでしょう。そんなときは次のような3つの視点で判断すると良いでしょう。

当事者となる高齢者の条件 認知症でコミュニケーションが取れなかったり、排泄に失敗している様子が見受けられる
足の筋力低下や痛みにより歩行が上手くできなかったり、入浴や排泄が自立でできていない様子が見受けられる
当事者の介護者 すでに高齢に達している
就労などの理由から介護力が低い
単独で介護している
男性
密室性 認知症や身体機能の低下により、周囲の人間関係との交流が遮断され虐待があったとしても助けを求められない
周囲からは気づきにくい住環境や生活環境

このような条件が重なっている場合は、すでに虐待されているか虐待になる寸前であると考えられますので、早急な通報が望まれます。

なお、通報者の情報は保護され、仮に誤報だったとしても(悪意による通報でない限り)罰せられることはありません。

この視点は家族による虐待だけでなく介護職員による虐待を疑う際にも指標になります。

ポイントをまとめると以下のようになります。

介護がうまくできずストレスを感じている
介護の量が多く、他に頼る人や相談する人がいない
密室性が高く、虐待が見つかりにくい

介護における虐待を発見するときは、虐待を受けている当事者だけでなく、介護している側にも目を向けることがポイントになります。

通報するポイントと通報先の判断材料

ひとつの指標として認識していただきたいのは、虐待をする対象者には以下の方が多いことです。

未婚の子
息子
50代

すべての未婚の50代の息子が虐待をするということではありませんが、発生頻度が高いことは統計的に明らかにされています。

そして虐待をしてしまった方の多くは次のようなことに悩んでいることが多いようです。

介護について誰にも相談も助けも求められない状態で困っている
一人で介護を担い、心身ともに疲れきっている
大きなストレスを抱えている

こうしたポイントに当てはまる方が近くにいたら、まず地域の民生委員や地域包括支援センターに連絡をしてください。

一方で、明らかに暴力が振るわれている様子があったり、怒鳴り声や悲鳴が聞こえた際にはすぐに近くの警察に連絡しましょう。

警察は虐待の通報を受けた後、市町村の虐待担当窓口に連絡します。そして市町村から地域包括支援センターに情報が共有され、虐待状況を解消するための活動が始まるのです。

虐待をしてしまった方に対しても、担当者がついて、なぜ虐待に至ってしまったのか、どうしたら虐待が解消されるのか話し合いの場を設けます。

これまで私たちが対応した虐待事例に関しては、可能であれば虐待者と被虐待者を分離してきました。

これは虐待を受けた高齢者を施設等に入所していただくと言った対応です。双方が離れて暮らすことで身体的虐待やネグレクトなど生命の危機から最大限遠ざけます。

完全分離までとはいかなくとも、デイサービスやヘルパーを利用することで介護者の負担を軽減し、虐待状況が改善されることもあります。

大切なのは暴力や暴言を発してしまうストレス状態や介護負担を低減することなのです。

私が管轄している地域では警察署、行政、地域包括支援センターで連携し、『ウォーキング・わんわんパトロール』のお願いを地域住民にしています。

ペットの散歩中などに「虐待が疑われる光景を見聞きした際に、誰かにつなげることで命を守って行こう」という活動です。

ポスターを作成して市内全域に掲示したり、協力してくださる住民に、警察署や地域包括支援センターの連絡先が記入されたバンダナを配布しています。

あなたのちょっとした勇気、誰かにつなげる心づかいが虐待で苦しむ方を救うきっかけになるのです。

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