<静岡県高校総体サッカー>浜松工業エース伊藤幸平が2得点1アシスト。藤枝明誠戦に向け「自分が決めて勝つ」鈴木崇記監督「やること徹底したい」
<静岡県高校総体サッカー2回戦 浜松工業 3-1 韮山・5月18日>
静岡県高校総体のサッカー男子2回戦で、浜松工業(西部地区4位)が3−1で韮山(東部4位)に競り勝ち、3年ぶりの16強入りを決めた。5月24日の3回戦はシード校の藤枝明誠に挑む。
エース伊藤幸平、圧巻の2得点1アシスト
10番らしい圧巻のパフォーマンスだった。浜松工業の2トップの一角に入った伊藤幸平(浜松開誠館中)が得意の左足で2得点1アシスト。チームの全得点に絡む働きを見せ、「自分が決めるしかないと思っていた」と胸を張った。
まずは前半6分、CKのキッカーとしてDF宮野宙(浜松与進中)の先制点をお膳立て。
圧巻だったのは1−1で迎えた後半20分のプレーだ。相手の最終ラインの背後に抜け出してDFのファウルを誘い、絶好の位置でフリーキックを獲得。相手DFはこのプレーで一発退場となり、伊藤は自身が得たフリーキックを左足で直接ねじ込んだ。5枚の壁を避けるようにしてファーサイドを射抜く、美しいゴールだった。
ダメ押し点をたたき込んだのは後半30分。右サイドからドリブルでカットインすると、「相手がスライディングしてくるのが見えていたので、自分で行っちゃおうと思った」。キックフェイントで次々に敵をかわしてネットに突き刺した。
伊藤は浜松開誠館中時代、切り札役として全国中学校体育大会の優勝に貢献。浜松工業に進学したのは、中学時代に憧れていた一つ上の先輩と同じ道を進みたかったからという。これまで参考にしてきたのはメッシ。伊藤も163センチと小柄で、左足は何よりの武器だ。
3回戦の藤枝明誠戦に向けて、エースは力は込める。「球際からビビらずにいきたい。少ないチャンスを決めることができれば勝てる。自分が決めて勝ちます」。番狂わせのイメージはできている。
鈴木監督「愛される浜工に」
浜松工業を指揮するのは、かつて選手として静岡の高校サッカー界を盛り上げた鈴木崇記監督だ。就任5年目。今、どんなコンセプトを掲げてチームづくりを進めているのか聞いた。
【すずき・たかのり】浜松市出身、37歳。浜松の芳川SSSー浜松東陽中から藤枝東高に進み、U−16日本代表に選出。1年、2年時に全国高校選手権に出場。1年時はサイドアタッカーとして県大会で最優秀新人賞を獲得し、主将を務めた3年時はベストイレブンに名を連ねた。筑波大卒業後、藤枝東などの講師を経て教員採用試験に合格。新居高、袋井中の監督を歴任し2021年から浜松工業を指揮する。
ー2回戦の韮山戦を振り返ってください。
サイドを徹底して使うことができなかったこと。「ノーファウル、ノーコーナーキック」を掲げていたのに、フリーキックから失点したこと。反省点の多い試合でした。ただ、今日は緊張もあったと思うけれど、その中でも勝ちきったことは彼らにとって大きな自信になったと思います。
ーどんなチームづくりを進めていますか。
「強く愛される浜工」ということを当初から掲げていて、そこは今もブレていません。やっぱり周りの方々から応援されないと意味がないよねと。ピッチの中では、最後まであきらめない姿勢を見せたい。ピッチの外や学校内では、クラスメートと協力しながら当たり前のことがしっかりできるようになること。結局、最後は「人」だと思うので、「自立する」ということを言い続けています。
ーチームの目標は?
選手たちで決めさせていて、今は県大会ベスト8と県Bリーグ昇格を目標にしています。1年1年積み重ねてきたことが生きて、昨年、選手権のベスト16に入ることができたのは大きなことだったと思います。
毎年メンバーは変わるので、それぞれの代で自分たちの良さを出していければいいと思っています。いるメンバーでベストの戦い方を探していくことを続けています。
ー常に県大会に出場できるようになってきた印象はあるけれど、プリンスリーグ勢を倒して、その先に進むのは相当難しくなります。
そうですね。全然違う話になってきますよね。プリンス勢の強度には、日頃から経験していないと対応するのは難しい。ただ、県大会ベスト8に入るためには、どうしてもプリンス勢を一つ倒さなければいけない。常にブレずに、その目標を掲げて毎日の練習に集中するしかないと思っています。
ー常にトップレベルでプレーしてきた監督が今は挑戦する側に。充実していますか。
毎日楽しいですよ(笑)「部活動、頑張れ」と応援してくれる学校なので、他の部活動も盛んだし、僕らも負けないように。
ー次の藤枝明誠戦に向けて一言。
やることを徹底していきたい。映像を分析しても、自分たちがやることはそれほど変わらないと思います。「これで戦うんだ」という狙いを1週間、全員でしっかり整理して臨みたいと思います。