【終活】親も子も困らないために!「元気なうちにしておきたいこと」まとめ
いつまでも元気でいてほしい親世代。しかし、高齢になるにつれて身体機能や認知機能の低下は避けられません。
親世代がケガや病気等で体調を崩してしまってからでは、準備できることにも限りがあります。
いざというときに親も子も困らないよう、整理すべきことをおさえておきましょう。
そもそも『終活』とは?
厚生労働省発表の令和元年簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.41年、女性の平均寿命は87.45年となっています。
日本が超高齢化社会に突入したことで、認知症や介護、老後破産や相続トラブル等の増加が社会問題となっている背景をふまえて、近年『終活』が注目されています。
比較的新しい言葉であるため、厳密な定義があるわけではありませんが、一言でいえば『終活』とは『人生の終焉を想定し、そのための様々な準備をする活動』であるといえます。
終焉と言っても、お墓や葬儀のことだけにとどまらず、主に5つの分野に分類され、その項目は多岐に渡ります。
終活の5つの分野
1. 資産管理→預貯金・不動産・株式・ローン・税金・公的年金・企業年金・生命保険・損害保険等
2. 医療・介護→かかりつけ病院や持病について・延命治療・終末医療・介護費用等
3. 住居→バリアフリーやリフォームの希望・高齢者向け住宅や施設等への住み替えについて等
4. 相続→遺言の有無・法定相続人・相続関係の相談先や依頼先等
5. 葬儀・お墓→宗教宗派・互助会や葬儀社との生前予約の有無・お墓の維持管理費用等
中でも子の立場から気になるのは、1の資産管理の分野ではないでしょうか。
親の資産について子供が全く知らない場合、親が病気やけがで入院したり、介護が必要になって施設に入居する際に、その費用をどこから出すか不安に感じるのは当然のことです。
そのような不安を解消するためには、いきなり親に『資産総額を教えてほしい』と伝えるのではなく、『今後起こりうる入院や介護などのリスクを想定して、今のうちからある程度は把握しておく必要がある』という意図をきちんと伝えることが大切です。
資産管理分野では不動産や預貯金等、確認項目は多岐に渡りますが、早めに確認しておきたいことのひとつが『生命保険・損害保険』です。
親世代がどのような種類の保険や共済に加入しているのか、内容を把握されていない現役世代がほとんどですが、契約者・被保険者・受取人は誰か、どのような時にどのような保障があるのか、保険期間や保険料払込期間等、基本的なポイントはおさえておきましょう。
最近はほとんどの保険会社が、『ご家族登録サービス』または『ご家族による契約内容確認制度』等の名称で、契約者本人に代わって保険契約内容(保障内容や保険料の払込状況、解約払戻金等)や各種手続きについて問合せができるサービスを無償で提供していますので、ご家族で話し合いの上、どなたかお一人(※)を代表者として登録しておくことをお勧めします。
(※原則として、契約者の配偶者又は3親等以内の未成年者・海外在住者以外の親族が登録可能です。サービス内容につきましては各保険会社の担当窓口にご確認下さい)
当然ながら、保険や共済は、誰かが請求しないともらえません。高齢となった親自身が、請求手続きが難しいケースでも、子や関係者が請求のサポートをすることができれば、請求漏れがなくなります。
エンディングノートにトライ!
多くの確認作業が必要となる『終活』にとりかかる際は、ファーストステップとして『エンディングノート』を活用されるのがお勧めです。
最近では、エンディングノートが広く認知され、様々な形式のものが発売されていますが、お住まいの市町村によっては無償又は有償で市民に配布しているところもあります。
インターネット上でも『エンディングノート 無料』と検索すると、地方自治体やNPO団体等が独自に作成したエンディングノートが無料でダウンロードできます。
種類により詳細な項目を記載するタイプもありますが、あまり項目が細かいと初心者にはハードルが高いため、最初に記入するノートはなるべく項目の少ないシンプルなタイプがお勧めです。
エンディングノート活用のポイント5つ
最初から順番に書く必要はありません。記入しやすい項目から埋めていきましょう。当初記入した項目が、年数の経過や環境変化により修正が必要な場合があります。変更事項はその都度分かりやすく記載し、更新日も記入しましょう。可能な範囲でご家族や関係者にも内容を見てもらい、自分の意向を伝えておきましょう。ノートの存在と保管場所を、ご家族などに伝えておきましょう。毎年の誕生日や元旦等の節目に定期的に読み直し、変更事項がないか確認しましょう。
現役世代に必要なのは、単に親世代にノートを渡すだけでなく、一緒に確認しながら記入の作業を進めてもらうことです。
資産管理などの各項目をひとつひとつ整理しながらしっかりサポートをすることで、不明な点があれば都度確認し、親と子のお互いの認識のズレを減らすことが可能となります。
なお、エンディングノートはあくまでも個人的な情報や人生の記録を書き記すものであり、ノート自体には『遺言書』のような法的効力はありませんのでご注意下さい。
法的効力が必要な場合は、別途所定の手順に従い遺言書を作成しておくことが必要です。
ポジティブな『終活』
筆者自身、30代後半でエンディングノートの存在を知り、実際に記入してみた経験があります。その時にはじめて自分自身の死について向き合う時間を持ったことで、残された時間は無限でないことをはっきり自覚し、やや漠然としていた人生の夢や目標がより明確になりました。
『終活』と聞くとどうしても『縁起でもない』とネガティブな印象を持つ方も多いかもしれませんが、いつかは誰しも人生の終わりを迎えます。逆説的ですが、自分の人生の終わりを考えることは、自分にとってよりよい人生を選択するための貴重なきっかけとなるため、実はポジティブな活動ではないかと考えられます。
自分の人生における優先順位を整理し、かけがえのない日々を大切に過ごすため、ぜひ子育て世代の皆さまにも、一度エンディングノートを書いてみることをお勧めします。
介護や延命治療、資産やお墓、相続関連等、把握しておくべきことは少なくありません。
子供の立場からはなかなか切り出しづらいテーマではありますが、親が元気な時しか聞けないことは多いものです。まだまだ親には元気でいてほしい…そんな今こそ始めるチャンスです!
日々のコミュニケーションを欠かさずに、親本人に確認しておきたいことを都度整理し、いざというときに判断に迷うことのないよう、できることからひとつずつ、手をつけてみてはいかがでしょうか。
※令和4年11月現在の情報です
【執筆者プロフィール】髙柳 万里
キッズ・マネー・ステーション認定講師/ファイナンシャルプランナー
金銭教育を受ける機会が全くないまま社会人となっていたことに愕然とし、
必要に迫られて平成二十年FP資格取得。「創意工夫と試行錯誤」をモットーに、主に親子向け金銭教育や教育費関連について執筆しています。
(ハピママ*/キッズ・マネー・ステーション)