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ゴルフで福島を盛り上げ、福島でゴルフを盛り上げる|ダンロップがつくる世界への道筋

Sports

ゴルフメーカーとしても有名なダンロップの住友ゴム工業株式会社。2014年から震災復興の意味も込めてゴルフで福島を盛り上げようと「ダンロップ・スリクソン福島オープン」をスタートさせました。2022年からは「ダンロップフェニックストーナメントチャレンジinふくしま」にその形を変え、それまで以上に “地域のため”の活動・枠組みづくりに注力しています。

「復興支援」「ゴルフを通した地域活性」「生涯スポーツゴルフの振興」「ジュニア育成」を4本の柱としたダンロップが行う福島県でのゴルフ活性化の取り組みを、Sports for Socialでは、さまざまな視点からひも解き、ゴルフの持つ価値や地域にとっての意義を発信します。

第1弾は、2022年以降この取り組みの枠組みを作り上げ、福島県のゴルフ振興に尽力している住友ゴム工業株式会社 寶田一義さん(以下、寶田)に登場いただき、ABEMAツアー「ダンロップフェニックスチャレンジinふくしま」の大会開催の目的や、それによって「目的によりフォーカスできるようになった」という地域での取り組みの裏側についてお話を伺います。

中学生の“ゴルフ部”を作ろう

ーー2014年から「ダンロップ・スリクソン福島オープン」を開催し、現在もABEMAツアーの「ダンロップフェニックストーナメントチャレンジ in ふくしま」を開催されている目的などを聞かせてください。

寶田)「ダンロップ・スリクソン福島オープン」は地域への貢献や、ジュニア貢献などを目的でスタートしました。想いとして素晴らしいものを持って取り組んでいましたが、当初の強い想いであった「地域貢献」や「ジュニアへの貢献」という点に対してより強化できるように見直していこうと考えました。姿は変わりましたが現在も「ダンロップフェニックストーナメントチャレンジ in ふくしま」を開催継続しています。入場の際にスナッグゴルフの生徒さんによるキッズエスコートの開催や学生の出場枠を増やしプロの試合に出場できる機会を増やしています。

ーー地域貢献に注力していくために、まずどのようなことに取り組んだのでしょうか?

寳田)まず私たちが話していたことは「中学生の“ゴルフ部”を作りたい」ということです。小学生を対象にしたスナッグゴルフは、2014年にダンロップ・スリクソン福島オープンを始める以前からすでにこの地域では普及していましたが、中学生になると機会が減り、やめてしまうメンバーもいました。それではもったいないと、その先の中学生でゴルフをやれる環境をどうにか作りたいと考えていました。

そこで、西郷村の教育委員会を通じて中学校でのゴルフ部設置を打診しつつ、一方で福島県はじめ福島中央テレビ、福島県ゴルフ連盟、福島県プロゴルフ会、日本女子プロゴルフ協会、日本ゴルフツアー機構、日本高等学校・中学校ゴルフ連盟、白河市、関係各社の皆様にご協力いただき、その中で小学生向けのスナッグゴルフを種目として持っていた西の郷スポーツクラブ(以下、西の郷SC)という総合型地域スポーツクラブに「中学生ゴルフ」も種目として設定していただいたんです。
初年度となる2022年は6名で「中学生ゴルフ」をスタートさせることができました。西郷村にある3つの中学校にも、現状の部活動との掛け持ちなどさまざまな面でご配慮いただき、現在では約20名の部活動になっています。

ーー道筋があることによって、中学生になってもゴルフをしたいという子どもたちの受け皿になっているのですね。

指導者をどうする?“プロ”が派遣される制度の活用

ーースナッグゴルフとも違い、本格化する中学生ゴルフでは指導者の問題もあるのではないでしょうか?

寳田)ゴルフのスキルを指導する人材としては、JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)と福島県が連携したプロジェクトの中から、栗西鈴香プロにきていただいています。
『指導者養成事業』の一環として栗西プロから地域のボランティアの方々に指導に関わるさまざまなことを教えていただく、という形をとっています。

栗西鈴香プロによるジュニアレッスン風景(冬季の室内練習場、小学生も交じって練習しています)

ーー地域ボランティアの方も多く関わられているのですね。

寳田)地域のゴルフ好きで、お仕事を引退された方々にご協力いただいています。栗西プロの指導とはしっかり一線を引いていて、ボランティアの方々はスキル以外の“マナー”や“挨拶”などについて、そしてラウンドのルールや準備、ゴルフ場における危険なことなどについて子どもたちに指導してもらっています。

ーーただスポーツが上手くなるというだけでなく、地域の方々と協力することでマナー面などの向上があることはとても素晴らしいですね。

寳田)今後ゴルフを続け、ゴルフ界に送り込んでいくために必要な知識をまず教えることがメインです。
栗西プロも何年も前から福島県の高校生向けに教えるなど、ティーチングに関しては安心してお願いができ、ありがたく思っています。ただ、なかなか毎回指導に来られるわけではありません。ボランティアの方々との協力体制は、この中学生ゴルフの活動において非常に重要なものです。

西郷村だからこそ、最高峰の環境でのプレー

ーースナッグゴルフや中学生ゴルフの活動に対する、ダンロップ・スリクソン福島オープン時代からツアー会場として協力しているグランディ那須白河ゴルフクラブ(以下、グランディ那須白河GC)の存在も欠かせませんよね。

寳田)グランディ那須白河GCさんには、ハーフコースを使わせていただくなど、育成の面で大変お世話になっています。もちろん、営業の邪魔にならないようにという前提であり、球拾いのお手伝いなども子どもたちでさせてもらっています。

ーーものすごくいい環境ですよね。

寳田)本当にありがたいですね。
また、同じ場所でスナッグゴルフと中学生ゴルフの練習を行うときもあるので、小学生たちが「僕たちも早く大人のゴルフをやりたいな」と自然に思えるような環境づくりにも繋がっています。

ーー自分の成長やなりたい姿をイメージできる環境は、子どもたちの育成にとって理想的ですね。

寳田)ただ、冬場(11月〜3月)はゴルフコースが閉まってしまうので練習環境がなかなかありません。ダンロップとしては、ここに関してもともとあった屋内のゲートボール場を西郷村にお願いし、子どもたちが室内練習できるネットなどの施設を整備させていただきました。子どもたちの雨天や冬場の練習場として十分な活躍をしてくれています。

こうした施設整備なとの貢献から、住友ゴム工業として西郷村から善行賞を授与されました。

一つの成果!中学生全国大会に部活動として参加

ーーこうした中学生向けの活動がスタートして、成果は見えてきましたか?

寳田)成果と言えるかわかりませんが、先日の中学生ゴルフ部の全国大会に西の郷SCで活動するメンバーが西郷一中として出場を果たしました。実は、北海道・東北では中学校のゴルフ部の加盟校がない中で、日本高等学校・中学校ゴルフ連盟様に今回の出場を認めていただきました。

ーー参加したメンバーの感想はいかがでしたか?

寳田)こうした経験が得られていることに、とても感動していましたね。感謝の気持ちを伝えられました。

中学校のゴルフ部は全国的にも数が少なく、小学生向けのスナッグゴルフ以後の活動の場が少ないのは福島だけではない課題ですが、今回こうして子どもたちに貴重な体験をしてもらうことに繋げられたことは、私たちにとっても嬉しいことです。

西の郷SCで活動するメンバーが全国中学校ゴルフ選手権に参加。ボランティアの方が引率されたとのこと。

ーー「ダンロップフェニックストーナメントチャレンジinふくしま」でベストアマチュアを獲得すると、レギュラーツアーである『ダンロップフェニックストーナメント』に参加できる。そしてその先の世界での活躍の舞台にまで繋がっている。その中でこれまで整備しきれなかった「中学生ゴルフ」ができたことは、“未来に繋がる”という意味でも非常に意義が大きいのではないかと思います。

寳田)もちろんそうですね。全員がプロになることを目指さなくても、ゴルフというスポーツは大人になっても社交の場などにも活用されるスポーツです。
スナッグゴルフをスタートとして、「いつ誰にとってもゴルフを楽しめる環境」を整えておくことが、将来にも必ず繋がるものになると思っているので、今後も続けていきたいと思います。

とにかく多方面にわたり関係者の方々のご協力により成り立っており、少しずつ前に進む事が出来ています。大変感謝してもしきれません。

この活動の延長線上で、福島以外の地域でもゴルフで地域を盛り上げようとしているスポーツクラブが出てきています。私たちとしても福島県での活動を一つのモデルとしながら、全国にゴルフに親しむ人たちを増やしていけたらと思っています。福島県内では、各地でゴルフ界を盛り上げようとさまざまなイベントが盛んに行われています。皆で情報共有し協力してより活性化するよう微力ながら貢献していきたいと思います。

ーーありがとうございました。

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