マグロの「血合肉」が注目されているワケ 抗酸化物質が含まれていて健康食品としても期待
マグロは我が国のみならず世界中で需要のある魚です。主に食用として需要が高く赤身やトロ、近年は脳天や頬肉などが希少部位として流通したりと、マグロの楽しみ方も増えています。そんなマグロですが、実は食用にならない部位があるのをご存知でしょうか?この記事では食用にならないマグロの部位についてご紹介します。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
血合いとは
マグロは捨てる部分がほとんどないと言われる程、様々な用途で使われる魚です。赤身やトロはもちろんのこと目玉や尾の肉(テール)までも食用となります。
市場のマグロ
一方、マグロの筋肉の中でも食用にならない部位も存在するようです。マグロの筋肉で一際色の濃い部分があるのを、誰しも見たことあるのではないでしょうか?
この部分は血合いまたは血合肉(ちあいにく)という部分で魚類特有の筋肉です。
体重に対しての血合肉の割合は種や個体によってまちまちですが、マグロやカツオでは体重の6~9%を占めるといいます(未利用資源有効利用の取組(血合肉を利用したさつま揚げ)-鹿児島県水産技術開発センター)。
マグロやカツオに血合肉が多い理由
この血合肉は多くの魚が持ちますが、マグロやカツオなどの活発な運動をする魚種に多い傾向があり、反対にヒラメなどの待ち伏せタイプの魚には少ない傾向があります。
魚の他にも、クジラなどの海中に長時間潜る動物も筋肉中のミオグロビン含有量が多いことが知られています。これはミオグロビンが酸素を貯蓄する役割を持っているからだそうです(魚肉の生鮮度とミオグロビンについて-京都女子大学)。
血合肉は劣化が早い
血合肉は他の筋肉と比較してミオグロビンを多く含み、色が赤黒いことが特徴。鮮度が落ちると黒ずんだり茶色くなることから鮮度の良さを判断する基準にもなります。
また、強い血液臭があることに加え、鮮度の低下が早いことから通常は食用にならず飼料などに使われることが多いです。
特にサバ科に属する魚では血合いを取り除くことが多く、生食用のソウダガツオやマグロでは血合肉が見られません。
今、血合肉が注目されつつある?
劣化の早さや独特な臭いから食用として向かないとされていたマグロの血合肉ですが、最近、食用として注目されつつあるといいます(これまで「1kg数円」で処分していたが…マグロの希少部位「血合い」に水産業界の注目が集まっている理由-Yahoo!ニュース)。
血合肉は鮮度が良ければ生で美味しく食べることも可能で、味も良好。さらに、抗酸化物質の1種であるセレノネインが多く含まれていることが判明しており、健康食品としても活用できるのでないか?という期待の声もあるようです。
マグロの血合肉の廃棄量は膨大な量があると推測されています。今後、大きな需要が生まれれば漁業関係者の収入増加にも繋がるかもしれません。
<サカナト編集部>