PayPay給与受取、一般企業でも開始 人事・労務系サービスなど9社が2024年度内に対応
PayPay(東京都港区)は11月5日、給与デジタル払いサービスの対象を拡大。ソフトバンクグループ以外の企業にも、デジタルマネーで給与支払いができるサービスの提供を開始した。
企業側の追加サービス契約は不要、従業員と労使協定締結など事前対応あり
企業側の新たなサービス契約は不要。PayPay側が「PayPay給与受取」に申し込む従業員(ユーザー)に割り当てたPayPayアプリのアカウントへチャージするための「給与受取口座の入金用口座番号(銀行口座)」を宛先とする方式をとっているため、企業は従来どおりに従業員の銀行口座へ振込を行うことで給与支払いができる。ただし、給与デジタル払いを導入するには、企業はサービスを希望する従業員と労使協定を結び、サービス説明と同意取得を個別に行う必要がある。
すでにサカイ引越センター(大阪府堺市)や日本瓦斯(ニチガス、東京都渋谷区)などがサービスの利用を開始している。
2024年度内に対応予定の人事・労務、給与管理系サービスは?
企業側がスムーズに給与デジタル払いに対応できるよう、人事・労務、給与管理系サービスを提供する9社が2024年度内に機能対応する。申請対応が予定されているサービスは以下の通り。
サービス名提供企業名SAP® SuccessFactors®SAPジャパン(東京都千代田区)OBIC7オービック(東京都中央区)
奉行クラウド HR DX Suite
給与奉行クラウド
奉行Edge 労務管理電子化クラウド
オービックビジネスコンサルタント(東京都新宿区)ADPSカシオヒューマンシステムズ(東京都渋谷区)ジンジャー(jinjer)jinjer(東京都新宿区)SmartHRSmartHR(東京都港区)freee人事労務フリー(東京都品川区)PROSRV(プロサーブ)三菱総研DCS(同上)
Galileopt DX
Galileopt NX-Plus
MJSLINK DX
ミロク情報サービス(東京都新宿区)
希望する従業員は、PayPayアプリ内の「給与受取」から「PayPay給与受取」に申し込む。PayPayアカウントで保有できる残高(給与)の上限は20万円。上限額超過分は、従業員が指定した本人名義の金融機関口座に手数料無料で自動送金される。
導入企業は利便性だけでなく、人材確保や企業イメージ向上にも期待
上述の通り、すでに複数の企業で「PayPay給与受取」に対応している。導入した企業では以下のような狙いがあるようだ。
利便性の向上で人材確保にもつなげたい
サカイ引越センターは、日払い・週払いで給与支払を行っているアルバイトが対象。フレックスタイム制や副業が一般化するなど働き方が多様化していることから、給与の受け取り方についても新しい需要が発生すると想定。新しいニーズにいち早く対応し、従業員の利便性を高めることが、人材確保にもつながるとしている。
企業イメージの向上により採用にも効果が出ることを期待
ニチガスは、嘱託・パートを含めた全社員が対象。社内アンケートでも30歳代から50歳代の従業員のうち3割前後がデジタル給与での受け取りを希望するという回答が得られており、従業員の利便性向上につながると考え対応を決めた。従業員のDXへの理解が深まることや、企業イメージの向上が採用活動につながることなどを見込んでいる。
月刊総務オンラインでも既報の通り、PayPay給与受取サービスは、ソフトバンクグループ各社の社員に向けて先行提供を開始。2024年内に全ユーザーに提供する考えを示していた。
今回の発表の詳細は公式リリースにて確認できる。