鎌倉市 諏訪神社に説明板 住民要望、逃げ若追い風に
春の観光シーズンへ、市内に新たな名所掲示板が加わった。鎌倉市役所そば、商工会議所の隣にある諏訪神社(御成町)。漫画やアニメ化で話題を呼ぶ『逃げ上手の若君』に登場する主要人物・諏訪頼重ゆかりの場所だ。近隣住民からの要望もあり、鎌倉市が2月下旬に説明板を設置した。
名所掲示板が設けられた場所には、1年ほど前まで神社を説明するものが何もなかった。
2021年に週刊少年ジャンプで逃げ上手の若君の連載がスタート。作品は人気を博し、24年7月にはアニメ化。同年11月から1カ月間、作品ゆかりの地を巡るスタンプラリーが行われ、その1カ所の諏訪神社にも2700人ほどが訪れた。
神社を管理する地元の体制も変化。23年11月に住民らで「諏訪神社世話人会・末広地区」を設立。メンバーで独自に制作した案内チラシを初めて境内に掲示後、24年春から市へ名所掲示板設置に向けた要望を始めた。
市内53カ所目
住民からの要望と「逃げ若」人気を背景に、市観光課は53カ所目となる名所掲示板の導入を決めた。設置費は45万円。市によると、前回の新規掲示板設置は昭和時代まで遡る可能性があると言い、「新たな魅力発信になれば」と話す。世話人会の佐藤信一さん(77)も「もっと広く知ってほしい」と期待を寄せる。
神社は、諏訪大社の祭神の分霊を鎌倉へ移して祀ったのが始まりとされる。諏訪頼重は鎌倉幕府滅亡後、北条時行を擁立して「中先代(なかせんだい)の乱」を起こし鎌倉奪還を果たす。市観光協会の大津定博専務理事(62)は名所掲示板の内容に触れ、「北条時行や中先代の乱も明記された案内は希少で意義がある」と話す。
同作の漫画連載は続いており、アニメも第2期が今後放映される予定。