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川崎さんぽのおすすめ8スポット。チャレンジ精神が街の魅力に昇華する!

さんたつ

【散歩の達人】川崎エボリューション

東京と横浜の中間にあるから少しはのんびりしていてもよいものの、川崎の発展は日々めざましい。宿場町で工場と労働者の街という歩みの上に育まれる都市の今を歩く。

ほんのり甘~い生地の秘密は?『Parking Store Donut』

店主の栗林良行さんとたまに会える子供店長(娘さん)。「私のおすすめはチルディッシュチョコ!」。

仲見世通の路地裏に、2024年11月に開店。プレーン300円をはじめ6つの味があるドーナツは、生地自体がほんのり甘くてパンのようにふっかふか。アメリカ東海岸のアップルサイダードーナツのように生地にリンゴジュースを加え、湯種製法と長時間発酵で丁寧に作られる。油っこくなく、大ぶりで食べごたえあり!

11:30~18:30(売り切れ次第閉店)、金・土・日のみ営業。
☎なし

市民におなじみのあの曲をお手元に!『大西の家具』

1947年創業の老舗家具店は木製オルゴールも目玉。職人の手作り品を中心に、意匠も曲も多彩なオルゴールが100種類以上! オリジナルでは、市で親しまれる曲「好きですかわさき愛の街」のオルゴール(クリスタルケースタイプ2970円、木製写真立てタイプ5500円)も販売。「(2025年)3月末には木箱タイプも発売します」と大西直治さん、娘の未華さん。

10:00~18:00、木休。
☎044-211-0024

四者協業の名作に見入る『川崎浮世絵ギャラリー』

川崎・砂子の里資料館所蔵の約6000点を公開する、2019年開館のギャラリー。コレクションには川崎や神奈川にゆかりある作品も多いのが特徴だ。取材時は、川瀬巴水(はすい)などの画家による大正~昭和初期の風景画がテーマの「新版画」展を開催(2025年2月15日~4月20日)。絵師(画家)、摺(すり)師、彫師、版元の協業に見入る。入館料500円。

11:00~18:30(入館は~18:15)、月休(祝の場合は翌休)。
☎044-280-9511

今の川崎ってどんな香り?『MeRveilles(メルヴェイユ)』

調香師の妹尾龍哉さん、コスメコンシェルジュの美花子さん夫妻が営む香りの専門店では、オリジナル香水の「街の香りシリーズ」を展開。2024年に作った川崎の香水「044 紫の音」(1万1000円)は実際に市内を歩き、長十郎梨やツツジ、香辛子(川崎発祥の唐辛子)などの香りを調合。嗅ぐたびに変わる印象が楽しい。ちなみに写真2枚目の右は2020年発売の初代「044」で鉄の香りを表現。

10:00~21:00、無休。
☎044-223-7367

ひと息つける止まり木的カフェ『LEAFLETTER』

隣接する建設会社のカフェとして始まり、2025年2月独立オープン。木を多用した店内では、ブレンドはじめ6種類のコーヒー豆を幅広い焙煎で提供する。カフェラテ600円は大きなカップになみなみと。コーヒーの深みとミルクの甘さにほっ!「ひと息つける時間を提供できたら」と上遠野哲治さん、北村あゆ里さん。シトロンケーキ380円も人気。

8:00~16:00LO、月・水休。
☎なし

ここは湯のワンダーランドか⁉『小松湯』

1950年創業、薪でたく湯が自慢の銭湯は刺激が満載。2023年に改装したサウナは驚異の124℃(女湯130℃)で、9口から蒸気が出る大魔王やかんが鎮座。浴室は緑のロープを張り巡らせ、アーティスティック!「お客さんを楽しませて銭湯好きを増やしたい」と3代目・小松亮介さん。入浴料550円、サウナ300円。

13:00~翌2:00、8の付く日休(金・日・祝の場合は9の付く日休)。
☎044-233-3371

ふわふわで優しい、幸せな味わい『だし巻き玉子 ぴよ』

だし巻き玉子と海苔をはさんだたまごサンド380円。

だし巻き玉子を焼いて30年の松浦由紀子さんが、満を持して2023年に開いた専門店。1本(長さ約20㎝)に使う卵は10個! 丁寧な裏ごしと白だしを使っただしにこだわり、ふわふわで優しい甘さ。種類はプレーン、ひじき、桜エビ、明太子、ネギ、五目のほか、娘の北浦舞子さんと考えたたまごサンドもあり。重量級で満腹必至だ。

10:00~18:00(売り切れ次第閉店)、火・水休。
☎080-4188-1122

蔵元直営ホテルで自慢の酒を堪能『SAKE Kura Hotel 川崎宿』

2024年に開業したのは、県内の吉川醸造が直営する“蔵(倉)”がテーマのホテル。ロビー兼バーでは代表ブランドの「雨降(あふり)」が多種飲み比べできるほか、生ビールやカクテル、おばんざいなどが味わえる。宿泊せずとも2時間飲み放題3000円~、グラス1杯500円~で利用可。全17室の客室は現代アートが飾られシックな空間だ。

1室1万6900円~(バー24時間利用料込み)。
☎044-210-0184

眠らない臨海都市の魅力をキャッチ!

ラゾーナ、ミューザ、アトレ、ルフロン……、カタカナだらけの商業・文化施設が直結し、スケールが大きい川崎駅。さすが川崎市の中心地。でも、地上を巡らないと街の息吹は分からない。

元は大きな用地が並ぶ工場地で1990年代後半から再開発が始まった西口側。一方、東口側は昔からの繁華街で、網の目のように商店街が発達。川崎一の飲食街を誇る猥雑な仲見世通商店街を行けば、怪しげな路地にまさかのドーナツ屋!

「ここは偶然、製造場所として借りたんです。キッチンカーで移動販売する予定が、管理会社の人に『ここで売れば?』と言われて面白そうかなって」と『Parking Store Donut』の栗林良行さん。店を開くと「川崎は温かい人が多かった」そう。

2024年、歩道橋「川崎ハローブリッジ」は芝生緑化し、富士見公園は開放的にリニューアル。

「酔ってご機嫌な人も来ますが、『甘いな』ってぼやきつつ何度も買ってくれたり、おすそ分け文化があるのか『おいしかったから人にあげたよ』と分け合って広めてくれたりするんです」とうれしそう。

地下の商店街・アゼリアではなんと斬新な川崎市の香りを発見!『MeRveilles』が手掛ける「紫の音」という香水だ。

「川崎市って北部と南部で街の香りが全く違うんです。雑多、ディープ、多様性といったイメージを紫色で表し、45種類以上の香料から作りました」とは地元っ子の妹尾龍哉さん。その香りは意外にも高級なお香のようで崇高な印象。「南部であるここ川崎は、僕も含めて、何者かになりたい、成し遂げたいと思っている人が多くて、チャレンジしやすい街だと思います」。妹尾さんもさまざまな街を香りで表現することに挑んでいる。

街と重なる、哀愁と明るさの旋律

チャレンジといえば、『小松湯』もすごい。工場の街らしく銭湯が元気で、川崎区だけで14軒もあるが、湯船やサウナに漫画持ち込みOKとか、水風呂が約7℃とか、内装から設備、ドリンク、オリジナルグッズまでこんな攻めた湯はない。

「銭湯って実は正解がない。自由度は高いと思うんです。結局やるかやらないか。やってみないと分からない」と小松亮介さん。夢は大きく、銭湯の世界普及だ。

第一京浜そばの住宅地では、音楽が流れるごみ収集車と遭遇。この曲は何?

「川崎市民の歌『好きですかわさき愛の街』です。これが聴こえるとみんなゴミを出す(笑)。うちでは、他県へ転居したお客さまの要望でこの曲のオルゴールを作りました」と『大西の家具』の大西直治さん。

「工場が多かった時代は工員さんが街のにぎわいを作った。工場がマンションに変わり人も変わり、若返った街は今、違う活気が生まれています。川崎のイベントもここ10年でとても増えたんですよ」。哀愁漂う旋律から明るく展開していくこの曲は、そんな街の歩みとシンクロする。

京急の線路沿いにはドヤ街。現役宿は少ないが1000円台から宿泊可。

さて、散歩の締めくくりは旧東海道にほど近い『SAKE Kura Hotel 川崎宿』で一献。ここは東海道五十三次2番目の川崎宿誕生400年を機に開業した。「川崎は羽田からアクセス抜群なのに実はあまり知られてないんです。宿泊地としてもっと施設が増えて、川崎を目当てに多くの人に来てほしい」と広報の瀧口喜子さん。川崎宿第2章は世界の旅人が行き交うのかと思うとわくわくする。

街で出合えるさまざまなチャレンジ精神。今、川崎の魅力として昇華していく。

取材・文=下里康子 撮影=オカダタカオ
『散歩の達人』2025年4月号より

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