食品の高騰対策 政府推奨メニュー「おこめ券」は有効か?
11月18日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、「食料品の価格高騰対策に関する政府の“特別枠”」について意見を交わした。
おこめ券は使わなかったらそのまま予算が残る
政府が近くまとめる総合経済対策で、地方自治体が独自の施策に取り組む「重点支援地方交付金」に、食料品の価格高騰対策に使う「特別枠」を設ける方向で検討していることがわかった。自治体は原則として、何らかの食料品高騰対策に取り組むことになる見込みだ。
この交付金は、国が定めた「推奨メニュー」を参考に、各自治体が取り組むメニューを決めるしくみ。これまでも、全世帯にコメを配ったり、水道代の基本料金を減免したり、紙おむつを支給したりした自治体がある。政府はこの制度を活用して、今回の経済対策では「おこめ券」を含めた食料品価格高騰への支援を推奨メニューに加える方向で検討していた。
ただ、物価高のうち食料品の値上がりは特に激しいものとなっている。そのため政府は食料品の高騰対策を推奨メニューとは別枠として予算を分けることで、各自治体の取り組みを促す方向で調整している。
「重点支援地方交付金に食料品の価格高騰対策に使う特別枠を設ける方向。自治体は原則としてなんらかの食料品対策に取り組む見込みだと出ていますが、この経済対策、田中さんはどうご覧になりますか?」(寺島アナ)
「特に“おこめ券”みたいなマスコミが取り上げやすいようなキャッチ―な名称が独り歩きして、“お米なんかいらない!”と暴論を呼んでいますが、実際に食料品価格でも全部が上がっているわけではないですよね? お米と、それを使った加工食品。また菓子類や飲料関係。お米は国内の要因ですが、菓子類のチョコレートは海外でカカオが不作であるとか、あと肉類なんかも海外価格も含めて高いままです。そういった食料品のなかでも高いものに絞って対応するのは良いと思います」(田中氏)
田中氏は、食料品の高騰対策を推奨メニューを用意する意味を考える。
「各自治体の裁量に任せてしまうと、コロナ禍のときに分かったんですけど、自治体によっては率直に言って無能と言っていいくらいの、地元の需要を捉えきれない自治体もあるわけですよ。そういったところはすぐ政府批判するんです。“政府が何か決めて欲しい!”と。でも自治体が一番、住民のニーズを分かっているのが普通なんですが。現実としてそうなので、ある程度、“推奨メニュー”という形でどういった食料品に使うのが適切なのか、どんな工夫でやるのか、食料品の推奨メニューを作る必要があるかと思います。そういったものを作るとマスコミは政府を批判するわけですよ。“お米なんかいらねえ!”と言う人は“おこめ券”を使わなきゃいいだけで、そうすれば予算が余るんです。お金を配るわけじゃないですから」(田中氏)
「そうですよね」(寺島アナ)
「お金を配っちゃうと“使わないなら戻してください”とはできないけど、おこめ券は使わなかったらそのまま予算が残るので。必要ない人が文句言うのはおかしい話です。ただマスコミは“おこめ券はバカらしい”という声を拾って政権批判するわけです。でも地方それぞれのニーズに合った色んなことができると思うんです。例えば東京都だって夏に水道代の基本料金無料化とかエアコン購入補助とかやりましたよね? ああいうことをやろうと思えばできるわけなんで、そのための予算措置というのは効果はあると思います。ただ、そういった住民のニーズを拾うことができない自治体用に、手取り足取りの推奨メニューが必要だと思っています」(田中氏)
〈出典〉
食品の高騰対策、政府が交付金の「特別枠」検討 原則全ての自治体で | 朝日新聞