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国際女性デーに企業や自治体がジェンダー平等の取り組みを推進 調査では「逆差別」の声も

月刊総務オンライン

国際女性デーに企業や自治体がジェンダー平等の取り組みを推進 調査では「逆差別」の声も

3月8日は「国際女性デー(International Women’s Day)」。女性の社会的、経済的、文化的、政治的な成果を称える日として、国連が1975年に制定した。当日は、各地でジェンダー平等の推進や女性の権利を守ろうと訴える行進「ウィメンズマーチ」や、企業や社会生活の中でジェンダー平等を再確認するための啓発活動やイベントが行われた。

米国ではトランプ大統領が「DE&Iは逆差別を助長する」として、就任と同時にDE&I政策を次々に廃止しており、民間企業でもDE&Iの取り組みを見直す動きが広がっている。こうした中、世論調査会社イプソス(日本オフィス:東京都港区)が発表したジェンダー平等に関する国際比較調査によると、「男性は、平等を支えるために多くを求められすぎている」という問いに同意した日本人は2019年の調査から6年間で10ポイント上昇し、逆差別を感じている人が増加していることが明らかになった。

世論調査ではジェンダー逆差別の認識が増加

イプソスの調査によると、「男性は、平等を支えるために多くを求められすぎている」に「やや/とてもよく当てはまる」と回答した日本人は45%で、2019年からの6年間で10ポイント増加した。特に男性の同意率が高く、男性53%、女性38%と約1.4倍の差があった。世代別では、ベビーブーマー世代以外(60歳未満の男女)が同様に感じていた。

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また、「今後5年間で、男女平等の達成に関して大きな進展が見られる可能性はどの程度あるか」との問いには、「可能性はとても/ある程度高い」と回答した日本人が19%と、調査対象30か国の中で最も低かった。(全体平均は42%)

同社は、男女平等推進に向けて求められることが多くなり、いわゆる逆差別を受けていると感じる日本人が増えていると分析している。

中堅企業・経営幹部のジェンダーバランス、世界では進展も日本は遅れ

会計コンサルティングの太陽グラントソントン(東京事務所:東京都港区)は3月7日、非上場企業を中心とする世界31か国の中堅企業経営者を対象に、経営幹部の女性登用率を調査した結果を発表した。

過去21年間の推移を見ると、世界の中堅企業における女性経営幹部の割合は34%に上昇した。また、経営幹部における男女平等の進展が、過去5年間の推移よりも加速していることから、同社は2051年には経営幹部の半数を女性が占めると予測した。これは前回調査の予測より2年早い。

中堅企業の経営幹部における女性登用率(%)(過去21年間) ※画像クリックで拡大

日本における経営幹部の女性比率は18.4%で、調査対象国の中で最も低かった。しかし、同社は「2004年の調査開始から2018年まで一桁台の比率であったことを考えると、2019年以降の増加は大幅な改善」と評価している。

過去12か月で、経営幹部の男女バランスや多様性の改善を求めた外部関係者について調査したところ、対象国全体では以下のような結果となった。

 ・潜在的な新規投資家(35.2%)

 ・潜在的な新規顧客(31.1%)

 ・既存投資家(26.5%)

一方、日本では「該当なし」(41.3%)が最も多く、「潜在的な新規顧客」(18.9%)、「潜在的な投資家」(18.2%)、「既存投資家」(16.1%)と続いた。日本では、外部からの圧力が他国と比べて弱いことがうかがえる。

国内では啓発イベントの広がり

3月8日には、ジェンダーに基づく差別や暴力に反対する人々が行進する「ウィメンズマーチ」が、東京都内をはじめ各地で開催された。また、自治体や企業でもさまざまなイベントが行われた。

女性活躍の輪を日本全体に広げるプロジェクト「Women in Action」を推進する東京都は、小池百合子都知事の「まずは都庁で、家庭と仕事の両立支援や働き方の見直しを徹底する」との動画メッセージを発信。都庁も初めてミモザ色にライトアップされた。

資生堂(東京都中央区)は、3月に社内外でジェンダー平等を推進するイベント「Diversity Week for Gender 2025」を開催。社内向けには、家庭での家事分担を見直すワークショップなどを行い、一人ひとりがジェンダー平等についてあらためて考える機会を提供する。

また、2023年に開設した「資生堂DE&Iラボ」は、3月19日にシンポジウムを開催する。東京大学の山口慎太郎教授(東京大学大学院経済学研究科)が、育児による所得格差「チャイルドペナルティ」を防ぐための人材評価の仕組みについて講演を行う予定だ。

イベントは、3月19日の午後2時からオンラインで開催。無料配信だが、事前の申し込みが必要。詳細は、同社公式ホームページで確認できる。

イプソスの調査結果、太陽グラントソントンの調査結果の詳細はそれぞれ公式プレスリリースで確認できる。

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