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【市町村長リレーコラム】第12回 新潟県小千谷市 宮崎悦男市長 「挑戦するまち おぢや」を目指して

にいがた経済新聞

新潟県小千谷氏の宮崎悦男(提供 小千谷市)

新潟県内30市町村の首長に、地域での取り組みや課題や首長としての想いなどをコラムとして寄稿いただき、次に寄稿いただく首長を指名いただきつないでいく「市町村長リレーコラム」。第12回は、新潟県妙高市の城戸陽二市長からバトンをつないでいただいた、新潟県小千谷市の宮崎悦男市長のコラムをお届けします。

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「支え合う心豊かなまち おぢや」「挑戦を応援するまち おぢや」を目指して県議会議員を辞職し、市長に就任してから1年が経とうとしています。この間、市民のみなさんをはじめ、多くの方にお会いし、対話をし、小千谷の10年後、20年後の姿をイメージして種まきをしてきました。

小千谷市には、国魚錦鯉、小千谷縮、花火、へぎそば、牛の角突き、標高336mの山本山など、たくさんの「宝」があります。また、平成16年に中越大震災を経験した私たちは、その際の支えあった気持ちから、お互いをいたわりあう心、利他の精神を強く持っている、人という「宝」があると感じています。

全国で人口が減少する中、その社会を座して待つのか、挑戦・変革するのか。

私は、「挑んで戦うからこそ挑戦。ギリギリに挑むから成功の財産がある」、「本気の失敗は財産」との想いから、小千谷の「宝」を磨き上げ、将来への希望と誇りを持てるまちを目指し、挑戦を選択しました。

錦鯉(提供 小千谷市)

小千谷縮(提供 小千谷市)

花火(提供 小千谷市)

重点政策プロジェクト・チームの設置

今年5月、小千谷市が抱える人口減少や産業の活性化、まちの魅力再生などの重要課題解決に部署を超えて取組む「重点政策プロジェクト・チーム」を設置しました。このチームは、3つの政策に取組むため、小千谷の頭文字をとり「チームO・J・Y」と命名しました。

チームO「雇用確保による人口減少対策」

雇用とU・Iターン人材の確保による人口増加を目指します。

小千谷市最大の課題の一つであった旧三洋半導体製造株式会社の事業継承が、多くの方々のお力添えにより、株式会社JSファンダリから経営していただくことになりました。また、同敷地内に、新潟サンケン株式会社からも操業いただき、2社と連携して新たな雇用を生み出したいと考えています。

現在、この2社により、新規雇用400人が生まれる予定であり、県と連携して人材確保に努めるとともに、新潟県のパワー半導体の拠点化を進めていきます。しかし、これにより地元企業の人材不足に拍車がかかることは避けなければなりません。そのため、若者が戻りやすい環境を整え、U・Iターンを推進するため「おぢやつつみ WISH WISH.」という事業を始めました。

これは、ふるさと小千谷を離れ、夢に向かって挑戦している学生に、小千谷の特産品とともに就職などの情報を送ることで小千谷を思い出してもらい、離れていても小千谷と繋がることができるものです。今後も継続し、学生たちを応援したいと考えています。

「おぢやつつみ WISH WISH.」(提供 小千谷市)

チームJ「国魚錦鯉を切り口にした地場産業の振興」

小千谷・新潟産品の輸出拡大や産業・観光振興を目指します。

昨年11月、新潟県議会及び錦鯉文化産業振興議員連盟をはじめ、多くの方々の協力により、21カ国参加の世界錦鯉サミットを開催し、その席で、錦鯉が「国魚」であることが宣言されました。

サミットの際、21カ国の大使等のみなさんから小千谷市で錦鯉を放流していただいたことがきっかけとなり、ナショナルデーに招待いただいたり、インバウンド観光にお越しいただいたり、新たな交流が生まれています。

今年の11月には、さらに8カ国から錦鯉を放流いただきました。小千谷・新潟はもとより、日本と世界各国の経済交流、国際平和に貢献できるよう挑戦していきます。

また、世界サミットと同時開催されたクールジャパンEXPOでは、市内の食品や繊維、製造業等の異業種同士が高付加価値化を図り、新しい錦鯉のブランドを立ち上げました。他業種への波及も見据え、新ブランドとともに産業振興を図りたいと考えています。

小千谷市以外で錦鯉を見ることができる場として、東京駅前にある常盤橋街区の庭園があります。小千谷産錦鯉50尾が悠々と泳いでいる姿を都心で見ることができます。同地区に2027年度完成予定の「Torch Tower」最上階でも、小千谷の錦鯉を見ることができる庭園づくりに挑戦します。

小千谷市内においても、さらなる文化交流や世界平和の場となる錦鯉ミュージアム整備の研究を進めていきます。

2023年11月の大使などの視察の様子(提供 小千谷市)

チームY「地域の魅力再生」

中心市街地の活性化や市民参加による山本山の魅力再生を目指します。

中心市街地にあった旧小千谷総合病院の跡地に図書館等複合施設「ホントカ。」が令和6年9月、オープンします。「ホントカ。」には、アンカーと呼ばれる空間があり、子どもが靴を脱いで過ごせる「子」や、演奏会やコンサートを行う「演」などのアンカーがあります。

現在、市民と行政が一緒に施設の運営方法やオープン後の施設の活用方法などを考える小千谷リビングラボ「at!おぢや」を行っています。「ホントカ。」を中心に、中心市街地に賑わいを創出するため、新たな移住者や起業を希望する人などを支援することで中心市街地の活性化を図っていきたいと考えています。

また、小千谷市のほぼ中央にある山本山は、春は菜の花、夏はヒマワリ、秋はそば畑、そして雲海、越後三山を見渡せる絶景と、その魅力は図りしれません。その魅力を磨き上げ、「小千谷の誇り」と思ってもらえるよう、市民とともにその魅力再生を行います。日本一の里山を目指し、シビックプライドを醸成する場としていきたいと考えています。

図書館等複合施設「ホントカ。」(提供 小千谷市)

山本山ヒマワリ畑(宮崎市長撮影)

市民総参加による挑戦するまちづくり

上記のプロジェクトは行政だけで行うのではなく、市民との協働により、市民の主体性を引き出していくこと、自分たちのまちは自分たちで作っていく気持ちも醸成し、「市民総参加」で挑戦するまちづくりを進めていきます。そのために、重点政策プロジェクト・チームには、行政特有の縦割りではなく、市民とともに作っていく意識を持ってもらいたいと、常に伝えています。

また、人口減少が加速している地方の課題を解決するには、今後より一層、県内自治体、県、国と連携を深め、力を合わせて、ふるさとの価値を高めていくことが重要と考えています。

「追いかけ続ける勇気さえあれば、夢は必ず叶う」

歩みを止めず、常に挑戦するまちづくりを行うことで、誰もが笑顔で暮らせる小千谷を目指していきます。

新潟県小千谷氏の宮崎悦男(提供 小千谷市)

【市町村長プロフィール】

小千谷市長 宮崎悦男(みやざき えつお)。1966年11月11日生まれ。日本工学院専門学校卒業。1995年にアンシャンテを創業し、2000年8月にはアンシャンテ株式会社の代表取締役に就任。地方政治への道を歩み、2007年5月から2011年3月まで小千谷市議会議員を務めた後、2011年4月から新潟県議会議員として3期連続で務める。2022年11月に県議会議員を任期途中で辞任した後、その同年11月に小千谷市長に就任。影響を受けた人は、司馬遼太郎。影響を受けた本は、稲盛和夫著「生き方」「考え方」。趣味はバーベキューとランニング。

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