【地方こそAI活用のチャンス】にいがたAIサミット2025開催 満席の会場で官民の実践事例共有
「にいがたAIサミット2025」が開催(新潟市中央区)、参加者は約50名の満席に
生成AIの実践的な活用をテーマにした「にいがたAIサミット2025」が11月17日、新潟市中央区で開かれた。リアルとオンラインを合わせて50人を超える参加があり、会場は満席となった。行政、法律、企業の専門家が登壇し、地方企業におけるAI導入の現状や課題、業務改善の具体例を紹介。参加した経営者や実務担当者からは「課題解決の視点が得られた」との声も聞かれた。
主催したのは、にいがたAIビジネス株式会社(NAB、新潟市中央区)と、同社が運営する「にいがたAIコミュニティ」。代表取締役CEOの大竹崇仁氏は開会挨拶で「AIは一部の人の技術ではなく、誰もが恩恵を受けられるべきもの。地方企業が取り残されない環境をつくりたい」と述べ、創業理念を説明した。
開会の挨拶をするにいがたAIビジネスの大竹崇仁代表取締役CEO(右)
にいがたAIビジネスの年次報告を行う朝妻拓海取締役COO
続く年次報告では、取締役COOの朝妻拓海氏がこの1年の活動を紹介した。成功事例の不足が地方企業の導入を妨げていると指摘したうえで、「企業が実感できる導入効果を集めて共有することが重要」と強調。福祉や建設業など書類作業が多く、制度改正の影響を受けやすい業種で成果が出ているとし、新潟市内に加えて千葉、名古屋など県外でも実証を進めていると述べた。今後は官民連携での成功事例づくりを目指す考えを示した。
基調講演で登壇した新潟市議会議員の伊藤健太郎氏
ベンチャーラボ法律事務所(東京都)代表弁護士の淵邊善彦氏
基調講演には2人が登壇した。新潟市議会議員の伊藤健太郎氏は、行政職員として防災や税務、病院業務など幅広い現場でデジタル化に取り組んだ経験を紹介し、「各部署で様々な業務改善を進めてきた」と振り返った。災害時要支援者名簿のシステム開発や児童虐待対応の業務改善にも携わったことに触れ、「現場の課題を整理し、仕組みで支えることが行政には欠かせない」と述べ、その上で「行政だけで取り組むには限界がある。地域の課題をどうAIにつなげるか、民間との連携が重要だ」とし、地方だからこそ官民協働で新しい取り組みを進めやすいと語った。
ベンチャーラボ法律事務所(東京都)代表弁護士の淵邊善彦氏は、生成AIの活用と法的リスクの向き合い方について「リスクは確かにあるが、気にしすぎて使わないより、まず使ってみることが価値になる」と述べた。そのうえで、「リスクは常識の範囲で大体わかる。危ないと感じた時は専門家に相談すればよい」と説明し、利用規約やプライバシーポリシーで責任範囲を整理することが重要だとした。
パネルディスカッションの様子
閉会の挨拶をするコーポレートGPT(東京都)の照山浩由CEO
パネルディスカッションでは、伊藤市議と淵邊氏に加え、製造業の株式会社石川鍍金工場(新潟県加茂市)の石川一行氏、株式会社コーポレートGPT(東京都)の工藤照久CAIOらが登壇し、地方企業が直面する課題を議論した。「何に使えるのか分からない」という企業側の戸惑いが依然として大きい点が示される一方、「スモールスタートで小さな成果を素早く出すことが重要」との意見が相次いだ。石川氏からは、AIが従業員の“相談役”となり、上司との認識のずれを埋めた事例も紹介された。
閉会挨拶で、コーポレートGPTの照山浩由CEOは「地方の課題は日本全体の最先端にある。AIは地方の人材と産業の力を引き上げる」と述べ、新潟での取り組みへの期待を示した。
参加した40代の男性会社役員は「単なるツール紹介ではなく、課題解決の事例が多く参考になった。今後もNABの活動に注目したい」と話した。
記念撮影の様子
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