誰もが笑顔になるラブコメディ、ロッシーニ随一の人気オペラ『セビリアの理髪師』が新国立劇場にて上演
2025年5月25日(日)~6月3日(火)新国立劇場 オペラパレスにて、2024/2025シーズンオペラ ロッシーニ『セビリアの理髪師』が上演される。
軽妙洒脱なストーリー展開と軽やかな声の妙技が楽しい、ロッシーニ随一の人気作が『セビリアの理髪師』だ。ロッシーニ・クレッシェンドで盛り上がる有名な序曲に始まり、理髪師フィガロが早口で自慢をまくし立てる「私は町の何でも屋」、ロジーナが恋心を軽やかに歌うコロラトゥーラの人気曲「今の歌声は」など、おなじみの華やかなナンバーにのせて、箱入り娘ロジーナと伯爵がフィガロの活躍で結ばれる、痛快な恋物語が繰り広げられる。
ケップリンガー演出は、1960年代後期のフランコ政権時代のスペインが舞台。60年代のポップでキッチュな空気を、800種にも及ぶ小道具が埋め尽くすカラフルな美術で表現。社会変革期の“熱い”市民の勢いを背景に設定、権力と不道徳の絶妙なバランスのもとでコメディを練り上げた演出は、ユーモアいっぱいでスピーディー。見た目もお金も大事なロジーナ、ちびっこギャング団を従えたフィガロ、娼館を営む家政婦ベルタら、したたかでちょっとずる賢くリアルな登場人物が、観客を抱腹絶倒にさせる。
あの手この手でロジーナに近づこうと奮闘する伯爵とフィガロが何度も変装して作戦を遂行、ぐるぐる回る舞台を駆け巡りついに結ばれるオペラ『セビリアの理髪師』は、笑いに次ぐ笑いを誘い、洒脱な音楽と人間の妙味が人生の喜びをじんわり実感させる。オペラが初めての方、「『セビリアの理髪師』は序曲しか聴いたことがない」という方でも楽しめる、新国立劇場鉄壁のレパートリーだ。
ヒロイン・ロジーナ役に登場するのは、世界のロジーナ歌いとして活躍する脇園彩。イタリアを拠点にヨーロッパの劇場で次々に主役を射止め、その活躍が『情熱大陸』でも紹介された旬の歌手脇園彩にとって、ロジーナは最大の当たり役。才気煥発なロジーナが、ミラノ、ボローニャ、フィレンツェ、トリエステ、そしてロッシーニの聖地ペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティバルでも大評判を獲得している。新国立劇場でも2020年にロジーナ役を披露し、オペラパレスを沸かせに沸かせた。成熟と共にレパートリーを拡げ、昨年はジュネーヴ大劇場で『ロベルト・デヴェリュー』サラ、ロッシーニ・オペラ・フェスティバルで『ビアンカとファッリエーロ』ファッリエーロ、パレルモ・マッシモ劇場で『イングランド女王エリザベッタ』エリザベッタと次々にロールデビューを成功させた脇園彩のスケールアップした姿に期待が高まる。
アルマヴィーヴァ伯爵には、驚異的な高音の持ち主で世界最高峰のベルカント・テノールとして活躍を続けるローレンス・ブラウンリーが21年『ルチア』以来のカムバック。そして理髪師フィガロ役にバリトンの大人気スター、ロベルト・デ・カンディア、ロジーナの恋路を妨害する後見人バルトロには実力派ロッシーニ歌手ジュリオ・マストロトータロが登場する最高の顔合わせとなっている。
指揮は特にベルカント・オペラで評価されるコッラード・ロヴァーリス。世界のオペラファンが羨むカンパニーが妙技を繰り広げ、極上の時間をおくる。
新国立劇場オペラ『セビリアの理髪師』より(2020年)Il Barbiere di Siviglia- New National Theatre Tokyo, 2020
【あらすじ】
アルマヴィーヴァ伯爵は、町一番の美人ロジーナに一目惚れ。しかし、財産目当てでご執心の後見人バルトロのせいで、ロジーナはアプローチ不可能の箱入り娘状態。
そこで伯爵は、お金さえもらえれば散髪から身の上相談、恋の仲介、手紙の代筆まで何でもする町の便利屋フィガロに助けを求める。あの手この手でバルトロ家に侵入し、伯爵の想いはロジーナに伝えられるが、大混乱を巻き起こす。フィガロの機転でピンチを脱し、すったもんだの末ハッピーエンドで幕となる。