無人駅のにぎわい創出に一工夫! 南海が就労支援施設の駅マルシェ(大阪府大阪市、河内長野市)
鉄道会社で代表的な業務効率化策といえば駅の無人化。ただ、無人駅は鉄道利用客や近隣住民にさびれた印象を与えるほか、防犯面でも課題が多い。そんな、駅係員終日不在駅のにぎわい創出に創意工夫するのが南海電気鉄道……。
南海が取り組む駅員不在駅のにぎわい創出策は、「就労支援事業者による駅係員終日不在駅での出店・駅支援業務」、「地元自治会のサポーターが、通勤・通学時間帯に駅支援業務」の2点。
就労支援事業者の出店・駅支援は2023年度に204回を数え、南海と地域の連携を強化する。就労支援施設で働く人たちも、社会とのつながりを持てるメリットがある。
モデルケースが高野線我孫子前駅(大阪市住吉区)。南海は、グループの南海ライフリレーションが大阪市住吉区で高齢者施設を運営する。施設は労継続支援A型事業を展開、障がい者などに働く場を提供する。
もう一つの実践例が、同じ高野線の千代田駅(大阪府河内長野市)。授産品を販売するマルシェを開催し、クッキーやパン類にはファンが多い。
一方、2024年10月からスタートした自治会サポーターによる駅支援業務では、自治会ボランティアが駅付近案内や駅清掃などに活躍する。
当初は5団体・2駅で始まった南海の協働パートナー事業、現在は沿線26団体の就労支援事業者や社会福祉法人にネットワークが広がり、2024年度上期は12駅、駅清掃を含む活動回数は130回を数える。
南海の無人駅にぎわい創出は、駅利用者からも「サポーターからのあいさつで明るい気分に」、「安心感がある」とグッジョブの評価。同社は今後も、「さまざまな創意工夫で地域とのつながりを深めたい」と張り切る。
記事:上里夏生