昭和歌謡リバイバルの先駆け【小島麻由美 インタビュー】② 今こそ聴くべき30周年ベスト!
高校時代にふと耳にしたローズマリー・クルーニーの音楽でアメリカン50'sの虜になった小島麻由美。処女作「真夏の海」のデモテープがレコード会社に認められ、1995年7月21日にシングル「結婚相談所」でメジャーデビュー。2025年7月に30周年を迎え、10月15日にはポニーキャニオン時代に発表した楽曲を収録したベストアルバム『小島麻由美グラフィティ〜30th Anniversary Best〜』がリリースされた。
今回、ベストアルバムの発売を記念して取材を申し込んだのだが、音楽的なインタビューというより、美味しいコーヒーを飲みながら世間話をしているような、そんなゆったりとした時間になった。後篇では今年の7月に行われたワンマンライブのことや、発売されたベストアルバムについて語っていただきました。
ライブでは何を演ったらファンの方が喜んでくれるかを考えて選曲
―― 7月に渋谷のWWWで行われたデビュー30周年記念ライブ『Kojima Mayumi 30th Anniversary LIVE』を拝見させていただきました。チケットがあっという間に売り切れてしまったようで、小島さんの人気を改めて実感しました。会場には若い世代の方も多かったような感じがしましたけど。
小島麻由美(以下:小島):ありがとうございます。どうなんだろう、お客さんが入れ替わったのかな。
―― YouTubeやサブスクで小島さんの音楽を知った世代の方も来ていたかもしれませんね。会場の後ろの方までギューギューでしたから。
小島:そうかYouTubeとかで知って来てくれたのかもしれないですね。だって私最近CD出してないもんね(笑)
―― ライブはいかがでしたか。あまり緊張しているようには見えませんでしたが。
小島:一番嫌なのは、ステージに出る前なんですよ。いったん出てしまえば平気なんですけどね。
―― 待ち望んでいたファンの方が、すごく歓迎ムードでした。
小島:もう泣いちゃいますよ。すごく嬉しいです。
―― ライブの選曲は、小島さんの直近の心境で決めていくんですか。
小島:バンドのみんなと話し合って、何を演ったらファンの方が喜んでくれるかを考えて選曲しています。自分がこれを歌いたいという強いものはないので、みんながこれを聴きたいだろうというものを選曲しています。
―― 人気曲はやはりファンの方のリアクションが大きかったですよね。
小島:そうなんですよ。 “あ!これは好きなんだ” とか、 “これはイマイチ” とか思いながら歌っています(笑)。やっぱり聴いてもらって喜んで欲しいという気持ちが一番強いです。
ベストアルバムは私が死んだつもりで選曲して
―― 10月15日には、ポニーキャニオン時代に発表した楽曲を収録したベストアルバム『小島麻由美グラフィティ~30th Anniversary Best~』がリリースされますが、小島さんの曲は、短めの曲も多いので、今回は21曲も収録されますね。選曲はどんな感じで決めたんですか。
小島:選曲は、ほとんどおまかせしちゃいました。 “私が死んだつもりで選曲して” って(笑)。なんかその方がいいじゃない。なんかアーティストのこだわりで作りましたって嫌じゃない、マイナーな曲ばっかり入ってたりして。聴いた方に喜んでもらえたら、私のことは通り越してもらっていいんです。
―― じゃ、もし小島麻由美セレクションじゃないとダメと言われたら選曲は変わってきますか。
小島:…ん? あまり変わらないんじゃないかな。きっと同じような選曲になると思います。
―― 7月21日のデビュー記念日には、デビュー曲「結婚相談所」がアナログで発売になりましたが、ベストアルバムもレコードが2種類に分けて発売されますね。赤と青のカラーヴァイナルがいいですね。
小島:ジャケットのイラスト可愛いでしょ。これは飯田さんというイラストレーターの方に
に描いてもらったんです。
――『セシルのブルース』のジャケットを踏襲した素敵なジャケットですね。小島さんの音楽って、パッケージ含めて “小島麻由美の世界” なので、手元に置いておきたくなります、年末には京都と東京でライブが予定されていますね。
小島:今回のライブはベストアルバムに収録されている楽曲を中心に歌うと思いますが、チケットも発売中なのでよろしくお願いします。
▶ 京都磔磔:2025年12月3日(水)
OPEN 18:30 / START 19:00
▶ 渋谷WWW X:2025年12月15日(月)
OPEN 18:15 / START 19:00
* チケットは既にソールドアウト
すごくやりたいようにやらせてもらったポニーキャニオン時代
―― 小島さんの活動の中で、ポニーキャニオンでの活動は大きな比重を占めていると思いますが、改めてポニーキャニオン時代を振り返ってどんな感想をお持ちですか。
小島:オリジナルアルバムだけで8枚リリースさせていただいて(うち1枚はミニアルバム)、すごくやりたいようにやらせてもらいましたね。
―― 当時は、毎年アルバムがリリースされていたので、常に曲を書いてレコーディングをして、大変でしたか。
小島:レコーディングは大好きなので、まったく苦ではなかったです。だけど、初期の頃はライブが苦手でした。もともと人見知りだし、人前に出てパフォーマンスをするということが、まだよくわかってなかったんですね。でも3回目のライブの時だったかな、盛り上がってくるとバックの演奏が荒々しくなってくるから、私もレコーディングみたいに平坦な感じで歌わないでしょ。そのライブを録音したものを後から聴いたら、ライブっていいなと思って、目覚めた感じがしましたね。
―― じゃ、初期の段階でライブの苦手感覚は克服できたということですね。
小島:荒くて熱い感じというのは、ライブならではの感覚ですよね。ライブはやっている最中と終わった時が最高ですね。ライブが始まるまでが緊張するんですよね、風邪ひいたらどうしようみたいな。
―― ポニーキャニオン時代の活動を振り返って、楽しいことだけじゃなく、辛い思い出のようなものはありますか。
小島:やっぱり産みの苦しみはありましたね。曲が上手くできないときは “もう私には才能がない!” と思ってしまうんですけど、いざ、CDが完成すると喜びの方が大きくなるので、いい思い出しか残ってないですね。
―― 小島さんの作る曲に対して、もっとこうしたほうがいいよ、みたいに頭ごなしに言ってくる人はいなかったんですか。そういうのは小島さん一番嫌いですよね(笑)
小島:みんな、私の扱い方が上手いの(笑)。私が何を言われたらどんな態度になるかよくわかっているので、頭ごなしに何かを言ってくることはないんです。 “そろそろサビがある曲を聴いてみたいな” とか。。それで、私も乗せられやすいのね。うん、わかった!って。いい曲ができるかどうかは置いておいて、アイデアをくれたらやってみるタイプですね。
私は変わらず、曲を作って、レコーディングをしています
―― ここ10年くらいは、活動ペースがゆるやかな印象でした。
小島:レコーディングは度々やっていました。だけど、何か上手く行かなくて、そのうちにコロナになってしまって、そのあと2回くらいレコーディングにトライして、やっぱり思った感じにならなかったから、どういう風にもう1回やり直そうかと考えているうちにあっという間に時間が経ってしまった感じですね。
―― 何か心境の変化があったんですか。
小島:今作ろうとしている曲が、今までのような生のセッションっぽいものでないからかもしれません。今までの作り方だと上手く運ばないというか。ファーストアルバム(セシルのブルース)は打ち込みと生が混ざった感じだったんですけど、それ以降はずっと生でやってきたんです。でも、最近打ち込みにトライしてみたら面白いんですよ。今まではあまりそういう風に思わなかったんですけど、打ち込みは打ち込みの良さがあるというか。
―― 活動30周年にして心境の変化という感じですか。
小島:変化もクソもないですけどね(笑)。しばらくリリースしてないので。最近またレコーディングしているので、打ち込み部分を生に差し替えるかはこれから相談しつつという感じですね。
―― 曲は常に出来ている感じですか。
小島:曲を作るのは好きなので、似た雰囲気のものを作ってはボツにして、作ってはボツにしてという感じです。
―― ボツにした曲はもう出てこない感じですか。
小島:そんなことはないですよ。5年ぶりに引っ張り上げると、それがきっかけになって発展することもあります。
―― 小島さんがデビューした1990年代はCD時代で、あれから30年経過してサブスクが主流になってきましたが、こういう時代になってみてどんな感想をお持ちですか。
小島:こういうインタビューを受けたりするのも10年ぶりなんですが、音楽業界がこんな風に変わっているなんて知らなかったんです。でも、そういうことは周りにおまかせして、私は変わらず、曲を作って、レコーディングをしています。年内には、新作について何らかのお知らせができると思いますので、皆さんよろしくお願いします~🎵
Information
小島麻由美グラフィティ〜30th Anniversary Best〜
▶ 発売日:2025年10月15日
▶ CD:UHQCD仕様 / ¥3,630(税込み)
▶ LP:カラーヴァイナル仕様(PARTⅠクリアレッド、PARTⅡクリアスカイブルー)/ 各¥4,400(税込み)
▶ 収録楽曲(LPはM1~11がPARTⅠ、M12~21がPARTⅡに収録)
01. おしゃべり!おしゃべり!
02. 恋の極楽特急
03. 結婚相談所
04. 飾窓の少女
05. パレード
06. 真夏の海
07. あの娘の彼
08. ショートケーキのサンバ
09. 私の運命線
10. セシルカットブルース
11. やられちゃった女の子
12. ひまわり
13. 甘い恋(Single Version)
14. ポルターガイスト
15. 眩暈
16. 黒い革のブルース
17. ロック ステディ ガール(Single Version)
18. ブルーメロディ
19. ハートに火をつけて
20. サマータイム
21. 赤い帽子(Alternate Mix)
▶ 小島麻由美オフィシャルサイト
https://kojimamayumi.com/