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筋肉少女帯、メジャー36周年をお祝い!! 2024.6.21 豊洲PIT ライヴ・レポート

YOUNG

筋肉少女帯2024

「今日は筋肉少女帯のメジャー・デビュー36周年記念ライヴ“#筋少の日2024”だぜ! けっこうなお客様が来てくれていて…。僕、この勢いで都知事選に出ようかな。そこそこイケるんじゃないかなって思うんだよ、うん。だから今日はライヴじゃなくて、“政治集会”として…!」(大槻ケンヂ)

2024年6月21日、筋肉少女帯が東京・豊洲PITで“「#筋少の日2024」〜筋肉少女帯メジャーデビュー36周年!”を行なった。文字どおりバンドのメジャー・デビュー36周年を記念して開催されたもので、チケットは瞬く間にソールドアウト。お祝いのライヴだからこそ生まれる温かい空気感の中、最新ナンバー「医者にオカルトを止められた男」からライヴはスタートした。音頭のごとく陽気なリズムも入る曲で、ライヴともなれば笑顔のオーディエンスが手拍子やペンライトの光でバンドや曲を彩る。愛情も溢れる一体感は、メンバー全員の表情をたちまちほころばせていく。立て続けに「心の折れたエンジェル」を披露した直後、大槻ケンヂ(vo)は冒頭のようなことを言って場を和ませた。

そのまま展開するのは曲ではなくて、とりとめのない話題の数々。漫談なのかMCなのか分からなくなる瞬間も多いが、話題も笑いも底なし沼状態。内田雄一郎(b)もプロレスラーばりに「都庁に卍固め!」と叫ぶなど、オーケン(大槻ケンヂ)の応援演説をする気満々の様子だ。しかし大槻は突然、ライヴであることを思い出したようにロック・バンドらしい煽りを食らわせ、曲へ突入するというプロレスラー並みの大ワザで、これまた爆笑をかっさらう。

そこから続くキラー・チューンの数々や久々にプレイされるレア・ナンバーたち。オーディエンスにとって、大好物ばかりのトークと曲の満漢全席と言えるライヴである。しかも、どれもが味付けは濃いめで独創的。もともと筋肉少女帯は音楽性で共鳴したメンバーによるバンドではなく、異物同士が奇跡的に集まったバンド。異物が掛け合わさることで、オカルトばりに奇妙な相乗効果が生まれ、常識を軽々と超えた個性と斬新さを現実のものにしているのだ。

メジャー・デビューして36周年だが、デビュー1年後の1989年に加入したのが橘高文彦(g)と、再加入したのが本城聡章(g)。1967年製のギブソン・フライングVやキャパリソン“FKV”を相棒に、自分だけのトーンを放ちながら “ひとり様式美野郎”として華麗な速弾きもメロディーも繰り出すのが橘高。曲によって黒や白のフェンダー・ストラトキャスター、キャパリソン“Dellinger”を使い分けながら、コード・カッティングやらハーモニクスを絡めたリフ刻み、さらにはアーミングも駆使したフレージングを決める本城。それぞれベクトルの違ったアプローチで刺激をまき散らし、アンサンブルに個々の聴かせ場も作り出す。

また近年、橘高と本城は“Dream On Guitars”というアコースティック・ユニットでも精力的に活動。筋肉少女帯の曲も弾き語りのレパートリーに加え、自分で歌ってみることで曲と詞の良さを何度も噛みしめることができたという。その経験もごく自然に筋肉少女帯にフィードバックされ、大槻の歌と一緒に呼吸するように、あるいは合いの手のように、橘高と本城はフレーズやコードを響かせ、曲に新たな深みも与えていた。

「オーケンの都知事選の立候補パーティに来てくれてありがとう。マニフェストとして、筋肉少女帯のメンバーはもうじき還暦とかなんで、その時に素敵なライヴができたらいいな。武道館とかさ。青いシートいっぱい掛けて、さいたまスーパーアリーナとか」(大槻)

話し出すと危険なほどに冗談も混ぜる大槻だが、オーディエンスの声援も受けて、日本武道館ライヴは本気に考え始めたようだ。橘高も「再結成してすぐに武道館やったじゃないですか。もう一度、武道館に立ったら“いいバンド人生だった”と思える」と満面の笑み。

とは言いながら、いつまでも新人の気持ちでとアコースティック・ナンバー「新人バンドのテーマ」から始まったライヴ後半。意識せずともにじみ出る人生経験の豊かさで、温かく感動的に聴かせる「蓮華畑」や「おもちゃやめぐり」。そこには、みんなが来てくれた嬉しさで笑顔もこぼしながら気持ち良さそうに歌う大槻ケンヂの姿があった。そして「くるくる少女(四半世紀ver.)」からエンディングに向けてライヴは激しさを増し、重厚なサウンドで攻め立てる筋肉少女帯。ライヴの楽しさはオーディエンスをどんどん輝かせていくばかりだ。

「36周年をお祝いしてくれて、ありがとう。36周年をみんなで共有できて、とても良かったです。万感の想いを込めて、みんなで叫びますか!」(大槻)

そう言って、オーディエンス全員と一緒に「50を過ぎたらバンドはアイドル」と叫んでラスト・ナンバーへ。ステージにいる永遠のアイドルと、客席に広がる永遠の親衛隊。アンコール「イワンのばか」ではコール&レスポンスも起きるなど、互いに気持ちをさらに強く結びつけながら、筋肉少女帯の36年目は今、スタートした。

筋肉少女帯 “#筋少の日2024」〜筋肉少女帯メジャーデビュー36周年! ”2024.6.21 東京・豊洲PIT セットリスト

1. 医者にオカルトを止められた男
2. 心の折れたエンジェル
3. 日本印度化計画
4. 踊るダメ人間(四半世紀ver.)
5. モコモコボンボン
6. 元祖 高木ブー伝説
7. 君よ!俺で変われ!
8. 喝采よ!喝采よ!
9. 新人バンドのテーマ
10. 蓮華畑
11. おもちゃやめぐり
12. くるくる少女(四半世紀ver.)
13. ムツオさん
14. 50を過ぎたらバンドはアイドル

[encore]
15. イワンのばか

(レポート●長谷川幸信 写真●コザイリサ)

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