中井貴一ら出演 小津安二郎監督をモデルにした、パルコ・プロデュース2025『先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~』をテレビ初放送
CS放送「衛星劇場」にて、6月から7月にかけて全国5都市で上演されたパルコ・プロデュース2025『先生の背中~ある映画監督の幻影的回想録~』が、2025年9月28日(日)午後7時30分よりテレビ初放送される。この度、放送に寄せて行定勲(映画監督・演出家)のコメントも公開された。
映画監督の行定勲が俳優・中井貴一に熱烈オファーし、名匠・小津安二郎監督をモデルにした本作。舞台は映画の撮影所。苦悩する名匠のとある一日をユーモアと味わいたっぷりに描いた小津作品へのオマージュを込めたフィクション。中井貴一扮する“先生”を取り巻く女性5人に、芳根京子、柚希礼音、土居志央梨、藤谷理子、キムラ緑子。“先生”の相棒的脚本家役には、升毅と確かな実力を持つ精鋭が集結。加えて、撮影所の面々として、久保酎吉、松永玲子、山中崇史、永島敬三、坂本慶介、長友郁真、長村航希、湯川ひなら、ベテランから若手まで個性豊かな俳優が出演。
中井家と小津監督は、家族のような親交があり“祖父”のような存在であったとのこと。そんな中井家に伝わるエピソードや思い出を織り交ぜ、当時の古き良き映画界への想いを重ね、そこに流れていた豊かな時間を“小津調”で、演劇作品として舞台上に紡ぎ出す。
さらに、「舞台『先生の背中』放送記念」と題して、小津監督作品の『東京物語 4Kデジタル修復版』(※2K放送)、『秋刀魚の味 デジタル修復版』も放送される。
【あらすじ】
昭和30年代。テレビ時代を迎え、映画はその黄金期を終えつつあった。「先生」と呼ばれる日本映画界の名匠・小田昌二郎(中井貴一)は新作の撮影を始めたが調子が出ない。娘のように可愛がる食堂の看板娘・幸子(芳根京子)の婚約の報告を受けさらに撮影を引き延ばす小田。脚本家の野崎(升毅)や名女優・谷葉子(柚希礼音)も心配顔だ。皆の前では粋な振る舞いをする小田だったが内心は混乱していた。もう齢だ。健康が優れない。これが最後の一本になるかもしれない。その恐れが小田の心の中から関わりのあった女たちの幻を引き出す。元芸者・花江(キムラ緑子)、戦争未亡人・和美(土居志央梨)、銀座のホステス・千代(藤谷理子)。いつしか小田自身も記憶の中に引きずり込まれて…。
あの頃の映画はこうだった。あの頃の人間はこうだった。昭和の洒脱な大人たちから現代への素敵なメッセージ。
行定勲(映画監督・演出家)コメント
舞台『先生の背中』は、小津安二郎という映画監督をめぐる人間模様をモチーフにして作り上げた喜劇です。誰もが知る“巨匠”のイメージとは少し違う、彼の知られざる姿に光を当てることで、哀しみや可笑しみを含んだ人間像が浮かび上がってくる——そんな作品に仕上がったのではないかと思っています。
映画と現実がないまぜになったような、映画監督の脳内風景。それを舞台装置や照明によって可視化することは、舞台ならではの表現です。
演劇は、その日その場所に居合わせた人々の記憶にしか残らない、儚くも贅沢な体験だと思います。その「今ここでしか起こらない瞬間」を記録した映像が、皆様にどのように届くのか、楽しみにしています。