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人気メニューはミカンの太巻き!?スローライフな農家民宿「須恵器の里 清久」

まるごと青森

人気メニューはミカンの太巻き!?スローライフな農家民宿「須恵器の里 清久」

ゆっくりのんびりスローな農村暮らしを体験できる宿

「須恵器(すえき)の里 清久(きよひさ)」。
ちょっと変わった名前のこの場所は、田舎のおばあちゃんの家に遊びに来た感覚で農村の暮らしぶりを体験できる「農家民宿」です。

お部屋は1室のみ、定員は4名。受け入れているのは年間十数組ほどです。
午前中は農業体験、午後は好きに過ごしてもらう…お客さんも受け入れる側も無理しない、スローな過ごし方ができる宿です。

「人との繋がりを大事にしてるの」とニコニコ語るのは、「清久」を経営する斉藤久子(さいとうひさこ)さん。
りんごや野菜の収穫、郷土料理づくりなど、一緒に過ごすうちにお客さんは久子さんのファンになってしまうこと間違いなし。
毎年のようにやってくるリピーターや、海外からの留学生もいるそうです。

「来てくれたお客さんはみんな私の子どものようなもの。だから孫が全国に何十人、何百人とどんどん増えていくの」と嬉しそうに語ってくれました。

津軽の農家民宿の第一人者

今から約30年前、県の事業でヨーロッパを視察した久子さんは、ドイツで体験した農家民宿が忘れられませんでした。訪れたブドウ農家の生活は簡素でしたが、花に囲まれた家で何十年ものの鍋をピカピカにして使っていて、「自分でもやってみたい」と強く憧れたのだそうです。

当時、津軽地方には農家民宿というものはなく、全て久子さんが自分で始めなくてはならない状況でした。
一から勉強して、保健所や消防署の許可などを一つ一つクリアし、関心のありそうな人たちに声をかけて仲間を増やしていきました。五所川原市に話題を提供して、議会でも取り上げてもらいました。

農家民宿を体験する人が宿泊するお部屋

平成20年、久子さんが60歳のとき、13年間温めた農家民宿の夢がようやく叶いまし た。
「あおもり五所川原グリーン・ツーリズム協議会」を立ち上げ、今では五所川原市だけでなく近隣の市町村にも輪が広がっています。

熱くてゆるめの久子さんマインド

人との繋がりを大事にすること、周りに感謝すること、「忙しい」と言わないこと。
久子さんが大切にしていることです。どれも特に意識しているわけではなく、自然にそう思えているのだそうです。

「大変な仕事でしょと言われるけど、楽しんでいるの。お客さんがどんな顔して喜んでくれるかしらと考えながらお皿を選んだり、山菜で創作料理を作ったりね。農村の良さや食べ物のおいしさを知って“また来たい”と言ってもらえるから、農家でよかったと思える幸せな仕事です。仲間には80代で農家民宿をやっている人もいるから、私も元気なうちは続けていきたいと思っているけど、無理はしないつもり」

そう言いながらも久子さんは「お願いされたら断れない」のだそうです。

夢のために情熱を燃やして周りを引っ張り、一方で肩の力を抜いて楽しめる範囲で続け ていく。
そんな久子さんマインドに惹かれたお客さんや仕事仲間に囲まれて、久子さんは 農家民宿を続けています。

「須恵器の里清久」の由来

「須恵器の里 清久」という名前は 、この近辺が1300年前に焼物の一大産地であり、 国史跡「五所川原須恵器窯跡」となっていることからつけられました。

では「清久」は?というと、
「お父さん(旦那さん)の清光と、私の久子から取ったの。保健所で名前を聞かれて、とっさに出てきたの。お父さんの名前を先にしておくと何かと都合がいいでしょ」
と久子さんが笑いながら教えてくれました。

清光さんは久子さんの夢にずっと協力的で、今も民宿で出す郷土料理のために山菜を 採りに行ってくれるそうです。

久子さんが作ってくれた郷土料理「けの汁」

鮮やかな断面に驚き!ミカンの太巻き

「清久」では様々な体験メニューがあります。
中でも目を引くのが「ミカンの太巻きづくり」!
久子さんが25歳くらいの頃に教わったレシピをヒントに試行錯誤を重ねて今の形になったのだそう。お孫さんの運動会にリクエストされるほど人気の一品です。

きれいな断面を作るためにはご飯の量の調整が大事です。ご飯の上に重ねた海苔の上に、さらにご飯を盛るときは…
「米粒一粒分の厚さよ!」と久子さん。

「ミカンの太巻きを作っているのは、この辺では私だけ。ぜひ継承していきたいから、 太巻き作りになるとつい厳しくなっちゃって…ごめんなさいね」

穏やかな久子さんの真剣な表情が見える瞬間です。

久子さんが1ステップずつ丁寧に教えてくれます

出来上がった太巻きは、甘めに仕上げた餅米に瑞々しいミカンが驚くほどマッチしています。

もともと津軽地方ではいなり寿司や赤飯など、甘いご飯は身近な存在です。
なぜミカンを使うことになったのか詳細は不明ですが、見た目の鮮やかさとほどよい甘さが、ハレの日にぴったりだったのでしょう。

「自分のものにするのには時間がかかってね。家族に飽きられるほど何度も何度も作りました」

久子さんは一人でも多くの人たちに伝授したいと考えており、ミカン太巻き作りの後継人を絶賛募集中です。
久子さんと一緒に鮮やかな太巻きを作ってみませんか?

By ぺすか

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