トランプ政権との関税交渉、日本での報道以上に進んでいる?
ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、4月17日の放送に経済評論家の佐藤治彦が出演した。FRBのパウエル議長が、予想を上回るトランプ政権の関税の影響に警戒感を示すなど、先行きが不安視されるアメリカ経済について解説した。
長野智子「(トランプ政権との関税交渉について)今回、日本がいち早く交渉に出た、と。これに関してはどう評価されていますか?」
佐藤治彦「一番乗りと日本国内の報道ではいわれています。でもレベット(レビット)さんという報道官が、もう15の国と文面をつくるところまで交渉が進んでいる、と発表しています」
長野「一番乗りというわけでもない?」
佐藤「出かけての交渉は最初かもしれませんけど。イギリスの公共放送BBCは、きのう辺りから交渉が相当進んでいて、いまポイントは自動車関税。イギリスにも25%かけられていますけど、これを一般的な税率と同じ10%まで下げる、という交渉の段階まで入っていると。税率まで出して報じているので、いろいろなところで進んでいるな、と思います」
長野「実際にあったことでは、赤澤さん(経済再生担当大臣)が、トランプ大統領まで出てきた、ベッセント財務長官も出てくる、と」
佐藤「最初にベッセントさんが交渉の相手だと聞いたとき、なるほどな、と思いました。今回トランプさんが、例の相互関税というものを出して。大きなフリップで日本は24%だ、と。そのあと株価がドンと下がりましたよね。株価が下がったことに関しては予想していたはずなんです。それに加えて、アメリカ国債まで売られてしまった。ここに衝撃があって」
長野「はい」
佐藤「ベッセントさんが『これはまずい』と言って13時間後に、相互関税の上乗せ部分をなくした。90日間停止します、という状況になったわけじゃないですか。透けて見えますね、トランプ政権の弱み。これはアメリカ国債を売られることだ、ということですよ」
長野「ほう」
佐藤「国債が下がっているときにはアメリカのテレビニュース、ABCやいろいろな新聞メディアから、中国が売っているんじゃないか、日本も売っているんじゃないか、などと情報が出たんです。実際に調べると今回、中国も日本も売っていなかった。どうもヘッジファンドの一部が少し売ったという感じ。でもそれだけじゃない。全世界的に売られているような状況なんです。アメリカ国債の金利が上がったと同時に、ドイツ国際の金利が下がった」
長野「へえ~!」
佐藤「アメリカで投資していたお金がヨーロッパや世界中に出ていってしまっているんですよ。通常はアメリカの株が下がると、そのお金でいちばん安全な投資先といわれるアメリカ国債を買うんです。株を売ってアメリカ国債を買う。買われるからアメリカ国債は上がるんですね。だからアメリカからお金は出ていかないんです」
長野「はい」
佐藤「ところが今回、株を売ってできたお金をアメリカに残さないで、ドルまで売ってしまった。その流れで国債も売った。トランプさんが、前からパウエルさんに『金利を下げる絶好のチャンスだ。今すぐ下げろ』と言っていたじゃないですか。国債が売られるということはアメリカの金利が上がる、ということです。金利が下がると債券価格は上がるんですね。これ、時間いただいて仕組みを話したいんです」
その仕組みについて、佐藤は詳細に説明した。