「Qubit」量子ビットはバナップルのような重ね合わせが使える?【眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話】
量子ビットは重ね合わせで正解を探すのが得意だ!
ふつうのコンピュータは、すべての情報を0と1の2進法で表す「ビット」で計算しています。ところが量子のふしぎを取り入れた「量子コンピュータ」では0と1だけではなく、重ね合わせが使える「量子ビット」、通称「Qubit(キュービット)」を使います。ということは、0と1が半分半分のビットやほとんど0でもちょっと1が混ざったようなビットが使えるわけです。
ここでまたバナップルの登場。ふつうのビットは0と1だけ、つまり、アップルとバナナだけですべてを計算します。 しかし、量子ビットはバナップルのような重ね合わせが使えるのです。図で見るとこの違いは非常にわかりやすいと思います。アップルとバナナを上と下に配置すると、ふつうのビットはこの2点を使ってすべての計算をしています。要するに計算に使えるものがこの2個しかないわけです。ただし、量子ビットで許されている情報は丸で描かれている全部の場所です。アップルとバナナは上と下、バナップルとアナナは右と左、それ以外にもアップナやもうほぼほぼバナナのバナナナナナルとかも使えるわけです。これだけ見ても量子ビットがふつうのビットよりもたくさんの状態を取り得るのがわかるかと思います。
実際の量子を使って量子ビットをつくるときには、バナナとアップルように異なる2つの状態を用意します。それは、たとえば原子の中の電子が低い軌道を回っているときを0、高い軌道を回っているときを1と決めます。バナップルの状態は、低い軌道を飛んでいる電子と高い軌道を飛んでいる電子が半分ずつ重ね合わさった状態です。このように、量子の性質を使って計算するのが量子コンピュータです。
2進法の計算とは?
ふつうのビットと量子ビットの構造は?
ふつうのビット
0か1
バナナかアップル
ふつうのビットでは、アップルとバナナを上と下に配置すると、この2点を使ってすべての計算をする。たとえば[010]は[バナナ・アップル・バナナ]というように、みんなが使っているコンピュータはこのアップルとバナナだけで情報を書き表して計算している。
量子ビット
0か1か、その重ね合わせ
バナナかアップルか、その重ね合わせ
量子ビットで許されている情報は円で描かれているすべての場所だ。アップルとバナナは上と下、アナナとバナップルは左と右、それ以外にもアップナ(アップル7割、バナナ3割)や、もうほとんどバナナのバナナナナルとかも使えるわけ。これだけ見ても量子ビットがふつうのビットよりもたくさんの状態を取りうるのがわかる。
実際の量子ビットは?
原子のエネルギー準位
重ね合わせ状態
【出典】『眠れなくなるほど面白い 図解 量子の話』著:久富隆佑、やまざき れきしゅう