犬がみせる『認知症』のサイン5選 見逃したくない初期症状や治療法まで
犬も高齢期に差し掛かると認知症を発症するリスクが高まる
一般的に、犬は7歳を超えるとシニア入りするといわれています。この時期に差し掛かると、徐々に認知症を発症する犬も増えてくるため、愛犬が出す認知症のサインに初期症状で気づき、症状が悪化しないように対策してあげることが重要です。
愛犬が認知症を発症した疑いがある場合は、動物病院で獣医師による問診や血液検査、場合によってはMRI検査を行い、診断します。
認知症を治す薬や方法は、現段階で開発、判明していないため、認知症を発症した場合は、症状が悪化しないよう食事療法や生活週間の改善を心がけ、症状の緩和に努めることになるでしょう。
犬がみせる『認知症』のサイン5選
では、犬が認知症を発症した場合、どのような行動や生活の変化がみられるのでしょうか。初期症状を見逃さないよう、シニア入りした愛犬の様子は注意深く観察してください。
1.声をかけたり触れたりしても反応が薄くなる
以前のように声をかけたり触れたりしても、反応を見せなかったり、あまり喜ばなくなるといった変化がみられるようになります。
名前を呼んでも振り返らなくなったり、触れてもぼーっとしていたりする場合は、自分が呼ばれていることや、大好きな飼い主に触れられていることを認識できなくなっている可能性が考えられるでしょう。
2.家具などの障害物を避けずにぶつかってしまう
犬は認知症を発症すると、障害物との距離感を認識する能力が衰えます。そのため、今までは当たり前のように避けていたのに、テーブルの脚にぶつかってしまったり、ソファに正面から激突したりと障害物を避けられない状況が増えることも。
愛犬が怪我をしないよう、家具の角などにはクッション性のカバーなどを取り付けて対策してあげましょう。
3.昼の睡眠時間が増えて夜に起きていることが増える
犬が認知症を発症した場合、昼間に寝ている時間が増えることで、夜に眠れなくなるという昼夜逆転現象を発症しやすくなります。
中には、夜に漠然とした強い不安を抱き、夜鳴きを始めてしまう犬も珍しくなく、飼い主が困ってしまうケースも少なくありません。
4.今までできていたことができなくなる
今までできていたトイレでの排泄やコマンド指示に従うなどの動作が上手くできなくなる、という変化も認知症の初期症状でみられる症状です。
なぜかトイレ以外の場所でおしっこやうんちをしてしまう頻度が増えたり、コマンド指示を出しているのに、ぼーっと不思議そうな顔をして指示に従わない、などの様子がみられる場合は認知症を疑いましょう。
5.何事にも無関心になったり落ち着きのない行動をとる
認知症を発症すると、何事にも関心を示さず、ぼーっと無気力な様子を見せるようになる犬もいれば、反対に落ち着きなく部屋の中をうろうろと徘徊し始めてしまう犬もいます。
どちらにせよ、以前にみられなかった行動が極端に現れるというのが認知症の特徴的な症状です。最近の様子に違和感を覚えることがあれば、早めに獣医師に相談しましょう。
犬が認知症を発症したときの治療法は?
最初にもお話しした通り、現時点で認知症に有効な治療は発見されていません。そのため、一度認知症を発症してしまうと、その状態から元の状態へ戻すことは難しいと考えられています。
しかし、今の認知状の症状を悪化させないように予防したり、症状を緩和することは可能です。
✔バランスの良い食事
✔オメガ3脂肪酸やビタミンE、レシチンなどのサプリメントの処方
✔オメガ3脂肪酸やビタミンE、レシチンが多く含まれる処方食の導入
✔日光浴をさせて体内時計を正常に戻す
✔昼間に運動させることで認知機能を低下させない
✔散歩に連れて行き屋外の空気に触れたり刺激を受けたりする
✔飼い主とのスキンシップや遊びを通して脳に良い刺激を与える
上記のような生活習慣の改善を取り入れることで、認知症の悪化を防いだり症状を緩和させることが推奨されます。
まとめ
いかがでしたか。犬も高齢期に差し掛かると、認知症を発症するケースが多くみられます。初期症状に気付けば、症状を悪化させずに穏やかな暮らしを送らせてあげることができるので、愛犬が高齢期に差し掛かっている場合は普段の様子を注意深く観察しましょう。
(獣医師監修:寺脇寛子)