愛知県の海の町のハートあふれる『サンヨネ 蒲郡店』。いい品だよね、うまいよね、安いよね!
2つの大きな半島、渥美半島と知多半島に囲まれた海辺の観光地、愛知県蒲郡(がまごおり)市。平日にもかかわらず、朝から開店を待つ客で行列ができるスーパーがある。それが、市民に愛される『サンヨネ 蒲郡店』。地元三河湾の3つの漁港から直送された地魚や、地元企業製造のPB(プライベートブランド)「ハートマーク商品」が並び、さすが元海鮮問屋! 海苔と削り節売り場も必見です。
今回のゴー!ゴー!
『サンヨネ 蒲郡店』(愛知県蒲郡市)
平日にもかかわらず、午前10時の開店を待つ行列ができる大人気スーパー『サンヨネ 蒲郡店』。愛知県蒲郡市で市民が誇る、ご当地スーパーです。
店名の『サンヨネ(三米)』は、創業者の三浦米三郎さんの名前に由来。明治時代に豊橋で創業し、大正時代に海産物問屋として大きくなり、昭和にスーパーマーケットを開業しました。
豊橋を中心に5店舗展開するなかで、蒲郡店は広々とした売り場と、海のそばの立地で観光客も立ち寄りやすいこともあり、一番の人気店となっています。
開店から数分後には大混雑するのが、対面売りの鮮魚売り場。地元三河湾の一色(いっしき)、東幡豆(ひがしはず)、形原(かたはら)の3つの漁港から直送された地魚(この日は小アジやコノシロ、小イカなど)をひと山195~324円で販売し、活気を帯びます。県内水揚げのヒラメやコチなど高級魚も半身から買え、お手頃。
全国からも集まる旬の丸魚が並ぶ後ろで、鮮やかな包丁さばきを見せてくれるのは、包丁を握る大勢のスタッフ。ウロコを取って内臓を抜く下処理をしたり、三枚におろしたり、お造りにしたりとスゴ技の連続です。これで、店が生臭くないのが不思議。鮮度と清潔の証しでしょうか。
そして地元で支持されるのは、魚よりもむしろ、安心と求めやすい価格の日常食です。昨今、プレミアムが注目される大手スーパーのPB(プライベートブランド)商品ですが、もとは「安さ」を追求したもの。
しかし『サンヨネ』では、すでに40年以上前に「安心と安全」「おいしさ」を求め、『サンヨネ』オリジナル「ハートマーク商品」を誕生させています。しかも地元企業製造のため、PBなのにご当地感が満載。
さらに、必見の売り場は「海苔」と「削り節」! 海苔だけでも地元愛知県産を中心に30種以上の圧巻の品ぞろえ。
削り節はカツオ、宗太(そうだ) ガツオ、イワシ、アジ、混合などを厚削り、中厚削り、花削りなど削り方で細分。プロもうなる、料理に合わせた品ぞろえの削り節売り場です。さすが元・海産物問屋。海苔と削り節はおまかせを。
東三河名物ぞろい! 地元の日常食
知多半島と渥美半島に囲まれた豊かな三河湾と山、そして温暖な気候で、農業、漁業も盛んな地域。蒲郡市と隣接する豊橋市は“愛知の食糧庫”と呼べるほど名品を生み出しています。
安心のご当地食。ハートマーク商品
健康的な食材で味はおいしく、しかも誰もが買える適切な価格の食を目指し、開発したプライベートブランド「ハートマーク商品」。40年以上の歴史ある元祖PBだ。
「えびせん&みかん」に注目!
「えびせんに、こんなに種類があったのか」と驚かされる、えびせん専用棚と夏の贈答品「蒲郡温室みかん」売り場。えびせんの原料・アカシャエビが獲れる海と、温暖な気候でフルーツ産地の山に囲まれた蒲郡の幸!
サンヨネ 蒲郡店
住所:愛知県蒲郡市八百富町2-169/営業時間:10:00~19:00(日・祝は9:30~)/定休日:無/アクセス:JR東海道本線蒲郡駅から徒歩11分
取材・文・撮影=菅原佳己
『旅の手帖』2025年9月号より
菅原佳己
スーパーマーケット研究家
執筆やテレビ出演、講演活動をこなしながら、全国のご当地スーパーを行脚。埋もれた日常食の発掘とその魅力を伝えている。著書に『47都道府県 日本全国地元食図鑑』(平凡社)など。