猫も『季節の変わり目』には体調を崩しやすくなる?秋から冬に起きやすい健康トラブル5選
秋から冬にかけての体調変化の原因
季節の変わり目に猫の体調が崩れやすくなる主な原因は、気温や湿度の変化です。秋から冬にかけて、気温が急激に下がることで、猫の体のいたるところに負担がかかります。
猫は寒さに弱い動物であり、特に短毛種や体力のない高齢猫は、冷えによって免疫力が低下し、猫風邪などの感染症にかかりやすくなります。
また空気が乾燥してくると、呼吸器に影響が出ることも。暖房の使用により、室内の空気が乾燥しすぎると、猫の喉や鼻の粘膜が乾燥し、これが感染症を引き起こすリスクを高めます。
このような季節的な要因が猫の健康に影響を与えるため、飼い主はしっかりと対策を講じることが大切です。
冬に多い健康トラブル5選
1.呼吸器系の疾患
秋から冬にかけて多く見られるのが、呼吸器系の疾患です。
気温の低下や空気の乾燥が原因で、猫がウイルスや細菌由来の風邪をひきやすくなり、咳やくしゃみ、鼻水などの症状があらわれます。人間と同じですね…。
ただし高齢猫や子猫、持病を持っている猫は、免疫力が低く重症化しやすいため注意が必要です。
「たかが風邪」と侮らず、症状が改善しない・悪化するといった様子があれば獣医師に相談しましょう。
また暖房器具の使い方にも注意し、部屋の温度と湿度を適切に保ちながら風邪予防につなげるのも大切です。
2.泌尿器の疾患
秋から冬にかけては、猫の泌尿器疾患に注意しましょう。
とくに寒さが厳しくなると猫の水を飲む量が減少するのですが、これが泌尿器の健康に悪影響を及ぼす原因となります。
水分摂取が不足すると膀胱内で尿の滞留時間が長くなるため、結石ができるリスクが高まったりするのです。
このような泌尿器系のトラブルを引き起こすと、頻尿や血尿、排尿困難などが症状としてあらわれることがあります。
特に「猫下部尿路疾患(FLUTD)」は寒い時期に発症しやすく、尿道が詰まって腎不全を引き起こし、「尿毒症」といった命に関わる症状を引き起こしかねません。
そのため冬を迎えても、流れる水を好む猫には自動給水器を利用するなど、猫の「水を飲む意欲」を高める工夫をしましょう。
またウェットフードや水分補給のおやつを積極的に取り入れることも効果的です。
3.関節のトラブル
寒さが厳しくなると、猫の活動量が落ちるため関節の痛みや関節炎が生じやすくなります。
とくに高齢の猫や体重が重い猫は、関節に負担がかかりやすく、寒さによって症状が悪化しやすいです。
そのため定期的な運動や適切な体重管理、そして関節に良いサプリメントを使用して予防に役立たせるといいいでしょう。
また暖かい場所で猫が過ごせるように環境を整え、冷えから守ることが大切です。
4.消化器系のトラブル
季節の変わり目には、食中毒やウイルス感染由来の消化器系のトラブルも増加します。また寒さによるストレスが原因で、消化器運動が乱れ下痢や嘔吐を引き起こすことも…。
症状の強さは個体差がありますが、嘔吐や下痢を1日に何度もする・食事や水分が摂れない・ぐったりしてあまり動かないといった症状が見られたら、なるべく早く獣医師に相談しましょう。
5.心臓への負担
秋から冬にかけての気温の変化は、猫の心臓に負荷をかけることがあり、とくに心臓の持病を持っている猫は注意が必要です。
寒い季節になると全身の血管が収縮して、暖かい時期と比較すると、心臓に負担がかかります。
これにより心疾患を著引き起こすリスクが高まり、高齢の猫やもともと心臓に問題がある猫は、症状が急変することもあるのです。
そのため咳・呼吸困難・疲れやすい・運動を嫌がるといった行動が見られたら、早めに動物病院で診察を受けましょう。
また定期的な健康チェックや心臓の状態を確認する検査を受けることで、早期に対策を講じることが可能です。
季節の代わりに起こる体調変化への対策と予防方法
秋から冬にかけての季節的な健康トラブルを予防するためには、まず室内の温度・湿度(約25度・60%)を適切に保つことが重要です。
猫が快適に過ごせる環境を整えるために、暖房器具を使う際には、空気の乾燥を防ぐために加湿器を併用しましょう。
また猫が冷えないように、毛布や暖かい寝床を用意することも効果的です。
さらに日常の食事や運動量にも気を配り、体調管理をしっかりと行うといった基本的なケアも、健康トラブルの予防につながります。
特に高齢猫や体力の低下した猫には、寒さ対策を徹底することが必要です。
まとめ
猫も季節の変わり目には体調を崩しやすくなるため、飼い主は十分な注意が必要です。
とくに秋から冬にかけての気温変化は、猫の体に大きな負担をかけ、呼吸器系や泌尿器、関節、消化器系のトラブルを引き起こすリスクが高まります。
適切な環境管理や食事、運動習慣の見直し、そして予防策をしっかりと講じることで、猫が健康に冬を乗り越えられるようサポートしましょう。
そして、飼い主自身の体調管理も忘れないように行ってくださいね!
(獣医師監修:葛野宗)