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ホントにいいんですか!? 『焼貝あこや 日比谷店』が心配になるほどの赤字覚悟で提供する日替わり定食

さんたつ

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JR有楽町駅〜新橋駅の高架下で展開する商業施設「日比谷OKUROJI(おくろじ)」にある貝料理専門店『焼貝あこや 日比谷店』。夜の貝料理も絶品だが、日本料理の研鑽を積んだ職人が作る魚料理のランチもレベルが高い。なかでも刺し身、焼き物、揚げ物、和物、煮物、香の物を少しずつ盛り付けた赤字定食は、老若男女に支持されている人気メニューだ。

焼貝あこや 日比谷店(やきがいあこや ひびやてん)

2020年9月「日比谷OKUROJI」とともにオープンした貝料理専門店

JR有楽町駅と新橋駅をつなぐ高架下の「日比谷OKUROJI」は、約300ⅿの間に飲食店や物販店が連なる商業施設だ。2020年9月にオープンしたのだが、100年以上の歴史を刻む赤茶色のレンガのアーチ高架橋はそれまで長い間閉鎖されていた。それが、東海道線、東海道新幹線の高架下の開発に伴い長い眠りから目覚めた。歴史的建造物を生かした商業施設なんて散歩にうってつけだ。

入り口のショップガイドを見ると個性的なお店が多い。ぶらりと散歩するのも楽しそうだ。
約100年前のレンガのアーチが続いている。レンガを伝って滴り落ちる雨や、レンガの間から生えるシダらしき植物も込みで萌え〜。

ゆっくり歩きながら個性的なショップや高架下の景観を楽しんでいたら“赤字定食”と書かれた看板を発見。ちょうどおなかも減ってきたし、今日のランチはここ『焼貝あこや』にしよう。

シックな外観だが、窓から店内をのぞくと木目で統一されていて温かみがある。
こんなにモリモリで1500円の赤字定食。

店内は古民家を思わせる梁や、使い込まれて赤茶色になったいいたたずまいの食器棚があり落ち着ける空間だ。キッチンを囲む一枚板のカウンターにテーブル席、奥には半個室も完備している。

レトロなペンダントライトがさりげなくてオシャレ。キッチンのレンガも高架下の雰囲気にピッタリだ。

カウンター席に着くと、料理長の小林さんが話を聞かせてくれた。

「この店は2007年高円寺にオープンした貝料理専門店『焼貝 あぶさん』の姉妹店で、『日比谷OKUROJI』の開業と同時にオープンしました。心が通じ合った全国の生産者より送られてくる厳選食材を使って、専門店ならではの技術で貝の魅力をお伝えしています」と話す。

料理長の小林敏幸さん。

身近にあるホタテやアサリ、ハマグリなど貝はおいしくて大好きだけど、ここではそのほかにもおいしい貝料理がたくさん味わえるらしい。「ランチはあまり貝料理がないんですけど、魚介類がたっぷり味わえます」と小林さんは話す。どんなものがいただけるのかワクワクしてきました。

赤字覚悟の豪華な日替わり定食! しかも羽釜で炊くご飯はおかわり自由

さて、時計を見るとランチの時間。外にあったメニューをもう一度確認し、赤字定食1500円をオーダーした。

ランチメニューはほかにも、カツオ出汁をかけてもおいしいあこや「極」海鮮丼1500円、その日に入荷した鮮魚7品を盛り付けた刺身定食2000円、銀ダラを京都の白味噌に漬け込んだ西京焼き定食2000円、アジを2尾使った鯵づくし御前2500円があって、どれも魚好きにはたまらない!

定食の内容は日替わりだが、品数は変わらない。

「この店がオープンしたのが2020年で、コロナ禍の真っただ中だったんです。街を出歩く人が少なくなっている時期だったので、少しでもお客さんを呼びたくて赤字定食ができました。夜のメニューで出す季節の魚を使っているんですよ」

良質な魚をランチ価格でいただけるのはありがたい。それに、来るたびに何が出てくるか楽しみだし、魚で季節を感じられるのはうれしいからむしろ日替わりは大歓迎です。

良質な旬の刺し身が丁寧に盛り付けられていく。

おいしいものを少しずつ盛り付けた赤字定食は、大人の和風お子様ランチみたい。女性のファンも多いが、羽釜で炊いたあきたこまちのご飯は何回でもおかわり自由なので男性にも好まれているという。

「ご飯の上には湘南しらすと錦糸卵をのせています。まずはそれで1杯ご飯を食べて、おかわりしたご飯とおかずを食べるという人が多いです。ご飯は何杯でもおかわりできますよ。私たちもたくさん食べてくれるとうれしいです」

羽釜で炊くあきたこまちは粒立ちがよく、つやつや&ピカピカ。

いろいろと話を聞かせていただきながら待つこと10分。赤字定食が筆者の前に到着した。目の前で調理をする様子を見ていたのに、「うわぁ」とうれしさと期待が込み上げてくる。

刺し身、焼き物、揚げ物、和物、煮物、香の物とバランスよく盛り付けられた赤字定食。

まずはお刺し身から。取材した8月は戻り鰹のシーズンでまさに今が旬だ。もちもちとした肉質。ほどよく脂がのっている。

刺し身は日替わり。戻り鰹は産卵のためたくさんエサを食べて肥えているので脂がのっているのだ。

続いて白身魚のフライはタルタルソースをたっぷりつけていただき、皮目をパリッと焼いた鯖の塩焼きでご飯をパクリ。小鉢には赤字定食唯一の貝料理、ふっくら炊かれたあさり佃煮が登場。同じ皿に盛り付けられた明太子と小松菜じゃこがこれまたご飯に合う〜! カツオや昆布出汁で煮込まれたこんにゃく煮、自家製ぬか漬けまで手が込んでいる。

生姜が効いたあさりの佃煮。しっかり味付けされているのに煮締まっておらず身がふっくらしている。さすがプロの技!
炊きたてのあきたこまちの上には湘南しらすと錦糸玉子がたっぷりのってくるのでこれだけで1杯完食。白米はおかわり必至だ。

最後は糠漬け&ご飯でさっぱりといただいてフィニッシュ。満腹&満足、ごちそうさまでした。

限定の日本酒も充実。時間とお金に余裕があれば昼飲みもイイ

外の看板に「昼飲みもできます」と書いてあった。単品メニューを頼むことができるから、次はそういう楽しみ方もできるなと舌なめずりをした筆者。

メニューを見るとビールや酎ハイのほか季節の日本酒が10種以上用意されている。

魚介類に合う限定酒がセレクトされている。
月替わりのおすすめ日本酒もこだわってセレクトしている。

ランチでは魚料理が中心だったけど、夜は貝料理がメイン。コリコリ食感で旨味が強い貝が日本酒に合いそうだ!

赤貝、タイラ貝、シロミルガイは定番ですが、旬の貝の刺し身や焼き貝をぜひ食べてほしいですね。山口県・周防大島の漁師さんが海に潜って獲ってくるサザエとか、岩手の“幻の貝”といわれるイシカゲ貝といったレアものもあります」。また、細かく切った貝を貝の肝と味噌で和えた貝のなめろうも日本酒に合わせると絶品だとか。

聞けば聞くほど喉が鳴る。ランチを食べ終えたから日が暮れるまでしっかり働いて、夜に貝料理を満喫しに来ちゃおうかな。

焼貝あこや 日比谷店(やきがいあこや ひびやてん)
住所:東京都千代田区内幸町1-7-1 日比谷OKUROJI G25/営業時間:11:00〜14:00LO(土・日・祝は〜14:30LO)・17:00〜22:00LO/定休日:月/アクセス:JR・地下鉄有楽町駅、またはJR・地下鉄・ゆりかもめ新橋駅から徒歩5分、地下鉄日比谷駅から徒歩7分

構成=アート・サプライ 取材・文・撮影=パンチ広沢

アート・サプライ
編集プロダクション
1971年創業の編プロ。「旅&食&散策」ジャンルに強く、情報誌では子供向けから鉄道やドライブでの大人旅まで。さらにグルメ系ではラーメンや唐揚げ専門情報誌をはじめ、日本全国うまいもの紹介なども手掛けている。

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