横浜市の緑消防署 救急出場 過去最多に 「熱中症対策の徹底を」
市内の救急隊員の救急出場件数が増加の一途をたどっている。市全体だけでなく、緑区内でも8月4日現在、過去最多を記録した昨年を上回るペースで増加。緑消防署は熱中症予防行動の徹底のほか、地域の限られた救急車の有効活用のため、適切な利用を呼び掛けている。
市によると、今年元日から8月4日までの救急出場件数は、市全体で15万1817件。前年同期比6526件増加した。また、緑区内では前年同期を496件上回る7037件に上っている。
「エアコンの適切な使用を」
7月からは特に熱中症患者の搬送件数が急増。搬送者数は今年4月29日から7月28日時点までで、市内全体では871人に上り、うち80代が197人(22・6%)と最も多く、次いで70代が151人(17・3%)だった。緑区内では34人が熱中症で搬送された。
市内全体での発生場所は、屋外が59・2%、屋内が40・8%と、屋内であっても発症している。緑消防署の消防司令長・折戸卓也さんによると「高齢者の中には『エアコンを使わなくても大丈夫』と思い、使用しないでいて熱中症で搬送された人もいる」という。同署はエアコンの適切な使用のほか「のどの渇きを感じなくても、水分を摂ること」などが肝要としている。
「♯7119」の活用も
救急出場数の増加の背景には、近年の異常気象のほか「少子高齢化の進行による高齢者割合の増加」や「本来必要では無いのに119番通報をしてしまうこと」なども挙げられるという。
同署の寺山洋司署長は「救急車は市内に85台、うち緑消防署には5台を常設している。約380万人の市内人口と比べると、とても希少なもの。緊急性が高いときを除き、救急車を呼ぶべきか迷ったら『♯7119』に電話し、相談するようにしてほしい」と呼び掛けている。
隊員もコンビニ利用可に
また近年の救急出場件数の増加で、市内では救急隊員の休憩などの時間確保が困難になっているという。対策として市消防局は、(一社)日本フランチャイズチェーン協会加盟の市内のコンビニエンスストアとの協力関係を構築。8月1日から同協会加盟の市内のコンビニで、救急隊員が飲料水などの購入やトイレの利用ができるようになった。同署は「救急隊員の勤務環境の改善は、市民を一層支えることにつながる。温かい目で見てほしい」としている。