関東学院大学 学生主導で多世代つなぐ 町内会の代替拠点に喫茶店
地域に暮らす多世代の住民が気軽に集う拠点にしてもらおうと、関東学院大学(横浜市金沢区)の学生らが22日、横須賀市浦郷町にコミュニティーカフェ「関学珈琲館」をオープンさせた。高齢化により町内会の存続が厳しさを増す中、榎戸町内会(同町)が、同大の木村教授に相談を持ち掛け実現。運営にあたるのは主に「木村乃(だい)ゼミナール」の学生らで、世代間交流を後押しするべく店を盛り立てていく考えだ。
住宅街の一角にある2階建ての戸建て。1階にある店がオープンすると早速数組の地元客が入店した。女性客の一人は数回目の来店といい、「若い人と話ができて新鮮。携帯の操作方法を気軽に相談できるのもありがたい」と笑顔を見せる。
同店は昨年11月から試験的に営業を開始。元々は同町内会の工藤伸会長が所有する建物をコミュニティーハウスとして開放していたが、新型コロナ禍で休止して以来、使われなくなっていた。そこで、学生主導で多世代をつなぐカフェとして活用する案に行き着いた。
約50平方メートルある店内にはテーブルやカウンター席を備え、学生が接客を担当する。現状メニューはコーヒー(100円)のみだが、営業よりも学生が来店者の話の聞き役になったり、地域との交流を促したりする「つなぎ役」となるのが主眼だ。
同ゼミに在籍する高橋冴介(さすけ)さん(3年)は「積極的に地域に入っていき、活気を生み出せたら」と意気込む。現在は1日に10人ほどが利用しており、同日のお披露目会で上地克明市長は「地域の若者世代の空洞化を埋めてくれて大変ありがたい。新しい発想を大事に活動を続けてほしい」と期待を寄せた。
新たな形を模索
少子高齢化や生活様式の変容を背景に自治会や町内気の担い手不足が全国的な課題となって久しい。市の自治会加入率は2022年4月時点で81・3%と県内自治体の中では高水準にあるが、年々減少傾向にある。
同町内会も高齢化に直面しており、工藤会長によると役員5人中4人が80歳超え、世代交代が急務だ。ただ、新たな担い手の確保は容易ではなく、突破口として期待するのが同店を拠点とした新たな住民ネットワークの構築だ。「コミュニティーや災害時の共助、行政への要望などが担える新しい地域コミュニティーの形を打ち出せれば」と狙いを明かす。
今後はスマートフォンの操作講座や親子向けイベント、音楽交流会などを通じて、子育て世代や町内会未加入者へも訴求を図るとしている。
営業は不定期。開店日は同店公式LINEで発信しているほか、店頭に案内を貼り出している。