〈大和高田市〉戦後79年、暮らしの中の戦争を伝える『平和のための戦争展』
国民の日常に「戦争」が存在した時代を知る
大和高田市役所1階ロビーでは、市の職員組合と教職員組合が主催する「平和のための戦争展」が8月16日まで行われています。
1931年の満州事変から1945年の太平洋戦争終結までの15年戦争と、大和高田市や奈良県との関わりなどを写真や実物資料を交えて紹介しています。
「奈良は文化財の宝庫だったから空襲を逃れた」という話もありますが、奈良でも終戦間際になると、大規模ではありませんが機銃掃射や空襲がありました。
当時軍需産業に関わっていた大日本紡績の工場があった大和高田市もその対象で、1944年夏ごろから終戦まで度々空襲に遭っています。当時の機銃弾がなげしに食い込んだまま残っている民家の写真も展示されています。
『大和高田市史』などの資料から市民の戦死者数と戦死地をプロットしたマップ。18年間で1202人の戦死者があり、うち928人が1944年・45年の2年間で亡くなっているそう。
同展の特筆すべきところは実物資料の多さ。市民らから寄せられた当時の衣服や道具、書物などを間近に見ることができます。
展示物は、あえてキャプションを詳細に書いていないものが多い。これは「それぞれに色んな視点で戦争というものが当時の一般市民にとってどういうものであったかを感じてもらいたい」という担当者の思いからだそう。
千人針や寄せ書きなどからは出征していく人に対する思いが、また軍事郵便はがきなどからは当時の軍部による生活や情報統制の厳しさがよく分かります。
学校教育においても軍国主義の色が濃く、国語の教科書には「ヘイタイサン」と書かれていたり、算数の教科書では数を数える対象物が戦闘機や戦車になっていたり。同市内の菅原小学校の校歌の歌詞には「御親天皇」の文字も。
衣服やおもちゃにも戦争や天皇を賛美する内容のものが増えていたようで、戦艦や落下傘が模様になった「戦争柄」の甚平や勤王や尊王攘夷派として活躍した人物の歌をまとめた「愛国百人一首」などが展示されています。
発行元はあの「任天堂」
戦後79年が経ち、当時を知る人物が少なくなっていく中で、戦争とは何なのか改めて考えさせられる展示です。ぜひ現地に足を運んで当時の資料からいろんなことを感じ取ってみてください。
広島・長崎の原子爆弾をはじめ、核兵器廃絶の運動に関わる資料も
イベント概要
開催期間:2024年8月1日(木)〜2024年8月16日(金)
開催時間:8:30~17:15(市役所開庁時間に準ずる)
開催場所:大和高田市役所1Fロビー/奈良県大和高田市大中98-4
料金:無料
閉庁日:土・日曜、祝日