旬食材たっぷり。アラカルトとコースのいいとこどりが楽しめるビストロ【福岡市・白金】
「こんな分かりにくい場所だから常連さんがほとんどだけど、一見さんも大歓迎なんです」
そう話してくれたのは、「Bistro Le Rire」のオーナーシェフ堺博人さん。店があるのは、薬院駅から歩いて5分ほどの白金の住宅街です。
ビルの1階奥ということもあって、隠れ家感が漂っています。ドキドキしながら扉を開けると、迎えてくれたのは妻の麻美さん。L字型のカウンターをメインに、4人がけのテーブル席が配されています。ランチ、ディナーとも完全予約制で、いずれも最大2組までということもあり、ゆったりと食事が楽しめる雰囲気です。
厨房で料理に腕を振るう博人さんは、帝国ホテルの出身。その後、Uターンで福岡に戻り、かつて親富孝通りにあった「レストラン弦」(現在は佐賀に移転)で働いたのち、2016年に「Le Rire」をオープンしました。オープン当初は、アラカルト中心のビストロだったものの、コロナ禍をきっかけにコース料理のみにメニューを絞ることに。記念日で利用する方も多く評判でしたが、「もっとカジュアルに楽しんでほしい」との思いもあり、この春、アラカルトとコースのいいとこ取りが楽しめる「前菜プティコース」(2750円)が登場しました。
「前菜プティコース」に含まれるのは、前菜とスープのみ。あとはアラカルトメニューから好きに注文して、食事を楽しみます。前菜は8品の盛り合わせで嬉しいボリューム! 「まずは見た目でワクワクしてほしい」との思いから、いつの間にか品数や量が増えていったのだとか……。甘さ控えめの「キャロットラペ」は定番で、それ以外は旬の食材を生かしたラインナップです。この日は、味も香りも爽やかな「温泉パプリカのムース トマトジュレ」、滑らかな口溶けに驚く「朝どれアスパラと糸島卵のサラダ」、レンズ豆と一緒に楽しむ「北海道産ホタテ 糸島ブルーベリー」などで、糸島を中心とした地産地消食材がたっぷり使われています。できる限り地産地消にこだわりたいと、ほとんど毎日、シェフ自らが糸島の産直店へ買い出しに行くそうです。
アラカルトメニューからは、まず「エビのオムレツ オマールソース」(2090円)をいただきました。糸島卵を4個使ったというふっくらしたオムレツには、プリッと大ぶりのエビが4つも乗って、出てきた瞬間、思わず「わっ!」と声が……。オマール海老ソースの濃厚で香ばしい香りが早くも漂い、食欲を誘います。一口食べて、さらなる驚き。程よい半熟のオムレツの中には、旬を迎えた白トウモロコシがたっぷり包まれています。この日は初夏の仕様でしたが、「季節のオムレツ」として常時旬食材と組み合わせたオムレツがいただけるとのことで、訪問のたびに頼みたくなるメニューです。
メインは魚料理と迷ったものの、通年で楽しめるという「ニュージーランド産仔羊のロースト」(3520円)に決定。数分単位でオーブンからの出し入れを繰り返し、低温で時間をかけてじっくり焼き上げたラム肉は、しっとりしていて驚くほど柔らかに仕上がっています。ラム特有の臭みがほとんどないのは、鮮度の良さと脂身の少ないロース肉を使っているからなのだとか。バルサミコソースに醤油を加えた和風ソースとも相性抜群です。
サービス担当の麻美さんはソムリエ資格も持っているため、料理に合わせるワインを相談しながら選べます。3杯以上飲むなら、スパークリング・白・オレンジ・ロゼ・赤ワインから好きなグラスワインが選べる「ワインセット」(3杯2640円〜)がおすすめ。「自家製赤しそレモンスカッシュ」(880円)など、ノンアルコールも揃っているので、お酒は苦手という人も料理と合わせて楽しめるのがうれしいポイントです。
「一品一品すべてにこだわっているから、全部がスペシャリテです」と話す博人さん。旬の食材をたっぷり使って、思いがけない組み合わせに出会える「Le Rire」は季節ごとに通いたくなるちょっぴり特別なビストロです。
Bistro Le Rire(ビストロ ル リール)
福岡市中央区白金1-12-24 Pt.1224 1F
090-8229-3766(完全予約制)