【レビュー】『Smile 2』ホラー続編の常識を覆す衝撃作 ─ ナオミ・スコットの熱演とゴア描写に注目
(カナダ・トロントから現地レポート)2022年に公開され、不気味な笑顔の“何か”に襲われる巧妙なプロットと、ショッキングな見た目のクリーチャーでホラーファンを沸かせた『SMILE/スマイル』。その待望の続編である『Smile 2(原題)』が、2024年10月18日に北米公開を迎えた。本作は、前作の6日後から始まり、前作で生き残ったジョエル(カイル・ガルナー)の行方が早々に描かれる。その後メインで描かれるのは、ポップ界のスーパースター、スカイ・ライリーだ。スカイを演じたのは、実写版『アラジン』でジャスミン役を演じ、圧巻の歌声を披露したナオミ・スコット。
新たな主人公となるスカイ・ライリーは、1年前の自動車事故から復帰し新たなツアーを発表したポップスター。薬物とアルコールの依存を克服し、ドリュー・バリモアの人気トーク番組で復帰宣言をするが、彼女の心にはまだ深い傷が残っていた。そんな彼女を悩ませているのは、事故で負った背中の傷の痛みだ。スカイは、旧友でドラッグディーラーのルイスに鎮痛剤をもらうため、彼のアパートを訪れる。しかしスカイはそこで、笑みを浮かべながらルイスが自殺する姿を目撃。パニックに陥ったスカイはその場から立ち去るのだが、そこからルイスの幻影に悩まされ、彼女の精神状態は急速に悪化していく。さらには、知らない番号から「あの夜、ルイスのアパートにいただろう?」というメッセージも届くようになる。
前作『SMILE/スマイル』同様に「自殺を目撃した者が幻影に苦しめられる」恐怖が描かれるが、スカイがスーパースターであることで、彼女にかかるプレッシャーがさらに恐怖を増幅させる。ツアーの準備やメディアへの露出で人々と接触する機会が多い彼女は、一作目の主人公ローズよりはるかに恐ろしい幻影を見ることになる。彼女の過去の依存症も周囲から「気が狂った」と思われやすく、孤立感が増してしまう。顔面をじっくりと叩き割るシーンなど、1作目を上回るゴア描写も多いのがポイントだ。
ナオミ・スコットは、歌とダンスを披露しつつ、恐怖に直面するポップスターを見事に演じている。彼女の恐怖に満ちた目と絶叫の演技は、スクリーンを通して圧倒的な存在感を放っていた。ちなみにナオミは本作の6曲入りサウンドトラックのため、スカイ・ライリー役として2曲を共作している。
そして、スカイの恋人役レイモンド・ニコルソンの演技も見逃せない。彼の父、ジャック・ニコルソンが『シャイニング』で見せた不気味な笑顔を思わせる彼の演技は鳥肌ものだ。残念ながら登場シーンはそう多くないが、その存在感は強烈。
ホラー映画の続編は、一作目を超えるのが難しいとされるが、パーカー・フィンが再び脚本と監督を務めた『Smile 2』はその例外だ。米によると、10月17日木曜日のスクリーニングでは250万ドルの興行収入を記録しており、前作の記録(200万ドル)を超えた。オープニング週末の興収は2,000万ドル〜の事前予想に対し、見事2,300万ドルを記録。Rotten Tomatoesの批評家スコアは85%(本記事時点)と、前作の77%を上回る評価を獲得している。観客スコアも82%と好評だ。『Smile 2(原題)』の日本公開は未定。