潮干狩りで採った貝のベストな持ち帰り方を解説 【弱らせない裏ワザとは?】
潮干狩りで採ったアサリなどの貝を美味しく食べるには、その持ち帰り方が非常に重要です。特にアサリなどは環境の変化に弱いため、ただ海水に入れて持ち帰るだけでは、途中で弱ったり死んでしまったりすることがあります。しかし、少し工夫すれば、貝を活きの良い状態で持ち帰ることが可能です。この記事では、貝になるべく負担をかけない、最適な持ち帰り方法をいくつかご紹介します。
潮干狩りで貝を持ち帰る最適な方法
潮干狩りで貝を持ち帰る際に気をつけたいのは、できるだけ貝を弱らせないことです。最適な持ち帰りの方法と気をつけたい点を紹介します。
海水に浸けずに持ち帰る
採った貝を、海水に浸けたまま持ち帰るのは基本的に避けましょう。アサリやハマグリなどは、意外なことに水がない状態でも比較的長く生きられます。
むしろ、持ち運び中に水に浸かった状態で急激に水温が上昇したり、酸素が不足したりする方が、貝にとってはダメージが大きいのです。そのため、貝はクーラーボックスなどに入れ、水には浸さずに持ち帰るのがおすすめです。
ただし、砂抜きには採った場所の海水を使うのが最も効果的です。空のペットボトルなどを用意し、砂抜き用の海水だけを貝とは別に汲んで持ち帰りましょう。もし海水を持ち帰るのが難しい場合は、自宅で海水に近い約3%の濃度の食塩水を作れば代用できます。
エアレーションして持ち帰る
実は、貝を海水に浸けて持ち帰っても弱らせない「裏ワザ」も存在します。それは、携帯用のエアーポンプを使い、移動中も海水をエアレーション(酸素供給)し続けるという方法です。
この方法には、いくつかのメリットがあります。まず、酸素を供給し続けることで貝の活きが保たれ、元気な状態で運べます。また、夏場などの高温時を除けば、気化熱によって水温の上昇をある程度抑える効果も期待できます。
さらに、移動中に貝が海水中で呼吸することで砂も吐き出すため、帰宅後の本格的な砂抜き作業がスムーズに進められる点もメリットです。
ただし、これは他の砂抜き時にも同じですが、貝が一度吐き出した砂を再び吸い込まないように注意が必要です。エアレーションは水流によって、砂が水中を舞わないように設置。また、クーラーボックスの底に「すのこ」や網状のもの(ザルなど)を敷いて底上げし、貝をなるべく重ならないように広げて置くのがベストです。吐き出された砂がなるべく貝と分離されるように工夫しましょう。
気温の高い時期は保冷も必須
特に春から夏にかけての暖かい時期は、クーラーボックス内の温度管理も重要です。貝は高温に弱く、温度が上がるとすぐに弱ってしまいます。クーラーボックス内を一定温度に保つように、保冷剤や凍らせたペットボトルなどを一緒に入れましょう。
ただし、冷やしすぎも貝にとっては良くありません。魚を持ち帰る時のように大量の保冷剤を入れる必要はなく、ある程度の量で十分です。また、保冷剤や氷が直接貝に触れると弱るので、新聞紙で包むなどして直接触れないように注意してください。
エアーポンプでエアレーションしながら持ち帰る場合は、前述したように水が動いて気化熱が発生するので水温が比較的安定しやすくなります。そのため、気候の良い春などでは、保冷剤なしでも大丈夫な場合があります。しかし、夏場のように外気温が高い時期は、水温が上がりすぎないよう注意が必要です。少量の保冷剤を加えるなどして、水温を20℃前後に維持するよう心がけましょう。
持ち帰る道具はクーラーボックス
潮干狩りで採った貝を持ち帰る際には、クーラーボックスを使用するのが最もおすすめです。ハードタイプのクーラーボックスは密閉性が高く、水漏れの心配が少ないうえ、暑い日には内部を低温に保つのに役立ちます。サイズはアサリメインなら6~10リットル程度で十分です。
電車での移動などで荷物をコンパクトにまとめたい場合は、折りたたみ可能なソフトクーラーを利用するのも良いでしょう。
アサリ・ハマグリの砂抜き方法
潮干狩りの代表的な貝であるアサリやハマグリの場合、調理前にしっかりと砂抜きを行う必要があります。持ち帰った海水、もしくは3%程度の食塩水に貝を浸けて砂抜きします。前述しましたが貝が重ならないように平らに並べ、貝が吐いた砂を再び吸い込まないように、底にすのこやざるを敷くなどの工夫をすると効果的です。さらにエアレーションを行うと、弱りにくく、より砂を吐きやすくなります。
砂抜きが終わったらザルなどに入れて水を強めに当てながら、貝同士をこすり合わせるように揉み洗いし、貝殻表面の砂やぬめりをきれいに洗い流しましょう。その際に実は中身が入ってない貝や、異臭がしたり、口が半開きになったりしている死んだ貝がいないかチェックします。これらの貝を取り除けないと料理がドブ臭く仕上がることも……念入りに確認しましょう。
その他の貝の砂抜き
その他の貝の砂抜きについては、マテ貝は基本的に砂抜きの必要はありませんが、身がむき出しになっているので貝殻と身の隙間に砂が残りやすいです。持ち帰る前に海水でよく洗い、調理前にも再度洗いましょう。
アオヤギ(バカガイ)やシオフキガイは見た目はアサリやハマグリと同じ二枚貝ですが、外套膜(身のヒラヒラした部分)の隙間に砂がたまるので通常のやり方では砂が抜けません。これらは砂抜きよりも、一度塩茹でしてからボウルに溜めた水の中でよく洗って砂を取り除くのが一般的です。
塩抜きもしよう
砂抜きが終わった貝は、体内に塩水を溜め込んでいます。そのまま調理すると料理が塩辛くなってしまうことがあるので、砂抜き後には「塩抜き」という工程を行いましょう。
方法は簡単で、ザルにあげた貝をボウルなどに入れ、常温で最低1~2時間、できれば半日ほど置いておくだけです。こうすることで、貝が溜め込んだ余分な塩水を吐き出し、旨味が凝縮されてより美味しくなります。気温が高い季節は、貝が弱るのを防ぐため、トレイなどに並べてラップをかけ、冷蔵庫の中で塩抜きを行うと安心です。
<TSURINEWS編集部・渡辺>