「大阪湾の青物回遊は一休み?」泉佐野一文字でのサビキ釣りで中型含みアジが連発
青物の回遊が一休みとなり、酷暑も相まって訪れる釣り人の数が少なくガラ空きとなっていた盛夏の泉佐野一文字は、私(筆者)にとっては狙い目(?)だった。普段はなかなか入れない人気の赤灯台周りで竿下サビキ釣りに挑んだ結果、中型も複数混じるアジの大漁となった。
盛夏の大阪湾は青物回遊が一休み
2025年の近畿地方は、気象観測史上異例の6月に梅雨明けとなり、7月に入るとメディアは連日のように酷暑の話題と熱中症対策を報じるようになった。
大阪湾の沖堤防に渡す渡船店でも、今回利用した泉佐野一文字に渡す葵渡船が平日は午前中で営業終了、土日祝は午前と夕方の入替二部制を導入するなど、夏季限定で長時間の日中通し営業を一時的に取りやめるなどの対策を講じるようになった。
加えて時期的に青物の回遊が一休みとなり、訪れる釣り人の全体数が減った結果、釣果情報は波止タコと小物の五目釣りの釣果が中心となっている。
酷暑で釣果も限定的な中、よほどの釣り好きしか釣行しないこの時期こそ、普段はなかなか釣り座を構えられない人気の一級ポイントに入れるチャンスと私は前向きに捉えて、7月19日の釣行を決めた。
波止はガラ空き
釣行日は深夜3時前に到着。専用駐車場の入口に一旦車を停めてから葵渡船の乗船場に向かうと、予想通り盛期だと当たり前の光景「荷物置きルール」は発動しておらず、私は水汲みバケツ1つを置いた時点で2番目の乗船順位を手に入れた。
最終的に1番船の釣り人は盛期とは程遠い15人ほどで定刻に出船。波止上はガラ空きで狙い通り、普段はなかなか入れない北端の赤灯台の一角に余裕で釣り座を構えることができた。
なお、泉佐野一文字の形状と船着場などは略図のとおりだが、詳しい解説は、以前の投稿「大阪湾の沖波止紹介:岸和田&泉佐野一文字 都市近郊でアクセス良好」をご覧いただきたい。
また、乗船手続きやライフジャケット規格に関する主な注意事項などは、葵渡船のホームページの「お知らせ」に掲載されているので事前に確認しておいてほしい。
サビキ釣りのタックル
北端の赤灯台の一角に釣り座を構える理由は、そこが竿下サビキ釣りでノマセ釣りの活きエサとなる小アジと、引きの面だけでなく食味の面でも魅力的な中型アジの釣果があがる可能性が高いからだ。
竿下サビキ釣りのタックルは、磯竿5号5.4mに、ミチイト4号を巻いた両軸リールをセット。撒き餌カゴはサビキの上下それぞれに付けるダブル方式とし、上カゴとサビキの間にクッションゴムを介する。サビキは白色のケイムラタイプのスキンで、ハリスは2号を選択した。
タナは底ギリギリをわずかに切るイメージで、置き竿にしてアタリを待つ。釣行日当日は時期的に小サバの大群が上層に群れていて、そこをかわして下の撒き餌カゴを海底に着底させる必要性が高いことから、下カゴは重めの15号を選択。
輪状にミチイトが出るスピニングリールではなく、ストレートかつスムーズにミチイトが出る両軸リールとの組み合わせで、落下速度を速める工夫を施しているのがタックルに対する私のこだわりだ。
周囲と連携でアジ連発
4:50頃から釣り始めると、早速隣の釣り人が小アジを釣った。それを見た私は同じ方向・同じ距離にサビキを落とし入れると、私にも小アジが掛かった。
私の周りの釣り人3人も私と同様に長い磯竿で臨んでいて、私達4人は同じ方向・同じ距離にサビキを落とし入れる共闘状態を形成。
これが功を奏してアジの群れは私達の竿先一帯の海底に撒かれるアミエビの撒き餌で足止めされ、4人の誰かの竿にはほぼ絶え間なくアジが掛かる活況となった。
中型アジも顔出し
小アジは後に予定しているノマセ釣りの活きエサにするので、早めに数を確保したいところ。
泉佐野一文字のサビキ釣りは朝7時を過ぎるとアジの群れが去りパタっと釣れなくなってしまうので、普段の置き竿スタイルではなく竿を手持ちにするスタイル中心に切り替えて機動性を優先させた、短時間集中の釣りで追釣を狙う。
ところが、時折ペットボトルの長さを超える寸法の中型アジが混じりだす嬉しい誤算の展開となり、私達4人は勢いを増して釣り続ける。周りの3人も小アジを活きエサとした沈め釣りは片手間となり、中アジ狙い中心のサビキ釣りに没頭。
私も引きの強さと食味の良さを兼ね備えた中アジに夢中になる一方で、小アジを活きエサとしてスカリバケツに移し替える手間がつい疎かとなってしまい、せっかく小アジが詰め込み状態の海水バケツの中で死んでしまうヘマをしてしまった。
ノマセ釣りに転向
近況は青物の回遊が一休みの状況で、釣行当日も誰も青物をヒットさせていない。当日は長潮の下げ潮で青物狙いには一層不向きな潮回りであったが、波止全体を見渡せば波止上はガラ空き。周りを気にせず広々とした釣り座でウキ流しスタイルでのノマセ釣りができる状況にはある。
アジ釣りに没頭するかノマセ釣りに転向するか悩ましいところではあったが、朝6時前に内向きの沖方向でナブラが立ったのを見てノマセ釣り転向を決断。多少は後ろ髪を引かれる思いで竿下サビキ釣りを終了。
中アジは8匹を捕獲して、その他は豆アジ中心で大漁のお土産は既にクーラーの中に収めることができた。ちなみに赤灯台で私と一緒に釣っていた中のベテラン師は、最終的に中アジだけで30匹近く釣ったそうで、見事な腕前と持続力と言うほかはない。
ノマセ釣りは不発も満足の納竿
赤灯台から南方向に少し移動して、ここでも内向きで竿下サビキ釣りで小アジを追加し、海中に漬けたスカリバケツには活きアジが十分に確保できた状態となった。いよいよ沖向きに新たに釣り座を構え、ノマセ釣りを開始。
小アジ親針と孫針の2つを使う自作のウキ流し仕掛けをセットし、スカリバケツに入れて活かしておいた小アジの中から少しでもサイズの良いものを選んで針掛けして沖に投じるが、残念ながら青物の回遊が見られずノマセ釣りは不発。
酷暑の中粘っても見込みがないと判断して納竿したが、中アジ8匹を含む大漁に大満足。9:00の便で波止を後にした。釣り人が少なかったので、アジだけの釣果でも少しは足しにしてもらえるだろうと船長に釣果を報告。
6番の船着き場付近で釣り座を構えていた常連の見事なキスの二桁釣果に続いて、私の釣果も船長は写真に撮って、釣果状況に掲載してくれた。
持ち帰った釣果のうち中アジは塩焼き、その他の小アジ・豆アジは唐揚げと煮つけにして、カンダイは新鮮で旨味を備えた極上の食材。たっぷりと身を取ることができ、3日間に分けて夕食で食味を堪能した。
<伴野慶幸/TSURINEWSライター>