Yahoo! JAPAN

岩手大釜石キャンパス学生が地元水産資源をPR 今年は街なか開催 2年目のおさかなフェス盛況

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす


 釜石市平田の岩手大釜石キャンパスで水産を学ぶ学生らが9日、市中心市街地の大町広場で地元海産物の魅力をアピールする「おさかなフェス」を開いた。昨年の同キャンパス敷地内での開催に次ぐ2年目の取り組み。釜石の海で漁獲された鮮魚の販売、海の生き物に触れられるタッチプール、地元業者の出店などで会場はにぎわいを見せ、学生と市民らの交流、釜石の魅力再発見の場となった。

 同大農学部食料生産環境学科水産システム学コースの3、4年生24人が企画から運営までを担うイベント。昨年も好評だった鮮魚販売には約20種類の魚が並んだ。浜町の廻船問屋マルワの協力で仕入れた魚介類は、釜石湾や唐丹湾の定置網漁、かご漁で取れたもの。サバやマダイ、タナゴ、ドンコなどおなじみの地魚のほか、ヤガラ、カスベ、マトウダイなど普段、店頭ではあまり目にする機会のない種が目を引いた。学生らは各魚の特徴やおいしい食べ方なども客に教えた。

定置網やかご漁でとれた魚介類を販売。学生らが来場者に説明も


珍しい魚や価格の安さも来場者の目を引いた


展示用の(下段左から)マンボウ、チカメキントキ、ハリセンボンに興味津々


 鮮魚のほか、サクラマスやサバのみりん干しも販売。サクラマスは早々に完売する人気ぶりだった。魚類の販売価格は100円から1200円。通常価格の半額近いものもあり、来場者は好みのものを複数買い求めた。ウオーキングの帰りに立ち寄ったという、会場近くの復興住宅に暮らす女性(76)はサバとイナダ(ブリの若魚)を購入。「普段より安いよね。子ども2人も岩手大を卒業しているので親しみを感じる。若い人たちがまちを盛り上げてくれるのはうれしいこと」と喜んだ。

 今や釜石キャンパス学生の代名詞となった「タッチプール」には、学生が釜石の海で釣った魚、交流のあるかご漁漁師が提供してくれた珍しい魚介類が放たれた。生きた状態を見られる機会はなかなかないだけに、子どもも大人もその動きに注目しながら観察。もちろん、触れるのもOKで、来場者は地元の海の豊かさも感じながら“タッチ”を楽しんだ。

研修で釜石を訪れた外国人学生も釜石の海の生き物にびっくり!


カイメンを住みかにしたヤドカリ(右上)やキタムラサキウニ(右下)も登場。さまざまな海の生き物に触れられるタッチプール


学生(右)は子どもたちに生態なども教えながら釜石の海の素晴らしさを伝えた


 「岩手大との付き合いは15年ぐらい」という釜石湾漁協白浜浦女性部は昨年に続いて出店協力。えびせんべい、タコの唐揚げ、ウニご飯などを販売した。いち推しは「アカモク」の加工品。塩分の排出効果があるカリウムを多く含む海藻で、この日は、ふりかけや各種料理にアレンジ可能な湯通しした商品を並べた。アカモクを入れたみそ汁のお振る舞いも。同女性部は商品化の取り組みを始めて9年目になるといい、今では同市ふるさと納税の返礼品にも採用される。

アカモクの加工品などをPRする釜石湾漁協白浜浦女性部のメンバー


浜の食文化を伝える機会にもなったおさかなフェス。白浜浦女性部自慢の味覚が並ぶ


 同女性部長の佐々木淳子さん(70)は「釜石市は脳卒中の罹患率が高い。アカモクの普及で市民の健康を守る手助けができれば」とアピール。地元水産物の魅力発信に積極的な岩大生を「頼もしい。同じ仲間として心強いし応援したい」と話し、継続的な連携を望んだ。

 水産システム学コースの学生は3年の秋から卒業までの1年半、釜石キャンパスで学ぶ。学生らは学業のかたわら、地元水産業者とタイアップしたイベント開催や小中学生の水産授業のサポートなど、地域住民とつながる各種活動を展開。おさかなフェスもその一つで、学生らは多くの学びを得て成長につなげている。

 3年の大友梨央さん(21)は釜石で学び始めて1カ月余り。初めての同フェスでは鮮魚販売を担当した。「思った以上に皆さん買ってくれてびっくり。魚の紹介をしたり、コミュニケーションを取りながら販売できるのがいい」と市民との交流を楽しんだ。人口、若年層の減少が続く沿岸地域において、「学生の出店が集客やにぎわいを生むのなら、地域にある大学として貢献できているのではないか」とも感じた。

会場では来場者にアンケートも実施。後輩たちの活動に役立てられる


地元販売店や漁師も出店し、にぎわいを見せた大町広場


 「水産のみならず釜石の魅力を幅広く発信できるように」と企画した今年の同フェス。会場には精肉店や菓子店なども出店し、学生企画のイベントを盛り上げた。イベントリーダーを務めた4年の浅野蒼矢さん(22)は「各種申請など事務手続きも全部、自分たちでやった。社会に出てから経験するようなことを先取りできたのは大きい。地域の方とのコミュニケーションの仕方も学べた」と貴重な体験を心に刻む。自分たちの経験は後輩にも伝えたい考えだ。

おすすめの記事

新着記事

  1. 【記者ノート】新潟県妙高市「SDGs未来都市」(内閣府)の成果報告 テーマ『地域資源を活かした関係人口の拡大』、『自然豊かな妙高は“魅力で一杯”』、担当の長谷川賢治SDGs推進部長に聞く

    にいがた経済新聞
  2. 菊川万梨亜さん、チェック柄の秋冬コーデで語る! 「日頃はサウナが多い三鷹や西荻窪、錦糸町に行くことが多いです!」<表参道ティアラランウェイ>

    WWSチャンネル
  3. KADOKAWAの「PressWalker」、2026年2月25日でサービス終了を発表 開始から約4年で幕

    おたくま経済新聞
  4. わーすた、@onefiveなど<アイドル初夢ライブ>最終出演者24組解禁!

    Pop’n’Roll
  5. 突然亡くなった兄を持ち運ぶ、4人のてんてこまいな4日間が始まる『兄を持ち運べるサイズに』ほか1作

    SASARU
  6. ファミリア×BEAMS JAPAN新作グッズ!2026年干支デザインの“和アート”が細部までかわいいよ♪

    ウレぴあ総研
  7. 平磯海づり公園で年末年始にイベント開催 「新春釣り大会」 神戸市

    Kiss PRESS
  8. えっ、カリカリ梅のぶどう味……!?ついに発見した怪しすぎるお菓子を食べてみた

    おたくま経済新聞
  9. 〝子ガメの体重測定〟が激しすぎて「かわいい」「ジワる」 三重・道の駅ウミガメ公園のポストに10万人破顔

    Jタウンネット
  10. その場で仕上がるオリジナル雑貨が作れるお店 JR長岡駅近くにワッペンワーク専門店が初登場(新潟県長岡市)

    にいがた経済新聞