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【藤沢市】華道家 横井紅炎さん 桜でつなぐ日本とパラオ 太平洋戦争激戦地から平和祈る

タウンニュース

桜とパラオ桜を組み合わせた作品を背にする横井さん(右から2番目)ら=本人提供

太平洋戦争時は日本の占領地で、日米激戦地にもなったパラオ共和国。平和と鎮魂、友好の願いを込め、11年前から現地で桜を生け続けてきたのが藤沢在住の華道家、横井紅炎さん(64)だ。戦後80年を迎え、両国の絆をより深めようと、生け花イベントを企画している。

横井さんが初めてパラオを訪れたきっかけは、趣味のダイビングだった。ボートで海へ出ていたところ、遠くの島がピンク色に見えた。「まるで島全体が満開の桜に包まれているよう」と感じた横井さん。後に、その島が太平洋戦争中に日本軍が「サクラ、サクラ、サクラ」と玉砕を意味する電文を残し自決したペリリュー島だったことを知った。「亡くなった日本の人々が桜を見たがっている。私が生けなければ」。華道家としての使命感に駆られた。

「ずっと見たかった」

桜を生ける機会が訪れたのは2年後。現地から「横井さんに日本の文化を教えてほしい」と依頼があり、生け花パフォーマンスと体験イベントを開催することになった。

実際に桜を生けると、現地住民からの反響は大きかった。「占領時に日本人から桜の話を聞いた人がずっと覚えていた。春に咲く鳳凰花という赤い花を『パラオ桜』と呼び、お花見をする文化も残っていた」。横井さんが2つの桜を組み合わせた作品を作り上げると、現地住民からは「これが桜か。ずっと見たかった」との声が上がった。検疫の都合で生花を持ち込めず、良質な造花を使用していたことを伝えると、「枯れずにずっと残るね」と喜ばれたことが忘れられないそうだ。

戦時下、ペリリュー島で繰り広げられた日米による攻防戦は、74日間にわたる激戦だった。日本軍の戦死者は1万人を超え、最後に残ったのは34人。現地住民には軍の玉砕を前に疎開指示が出された。こうした背景を踏まえ、横井さんは「悲惨な戦争があったのに、当時を知る人も若い子も日本の思い出を大切にしてくれていた。私にできるのは、本物の日本文化を伝え続けること」と力を込める。

再び現地へ

戦争を経験した世代が少なくなる中で、これまで自ら現地へ足を運ぶことで”絆の糸”を紡ぎ続けてきた横井さん。コロナ禍では協力団体の経済状況が悪化したため、一昨年は自費で渡航し、イベントを敢行した。ただ直通便の廃止などで来年2月の企画は難航しており、現在開催に向けた寄付を募っている。「花は人々を笑顔にできる。戦後80年の今、再び現地で桜を生けられたら」

寄付に関する問い合わせは横井さんのインスタグラム(@kouenyokoi)まで。

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