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植松義也が踏み出した「ハッスルの向こう側」…琉球ゴールデンキングスの好発進を支える“Xファクター”に

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試合後、ファンに向けて笑顔で手を振る植松義也=16日、沖縄アリーナ(長嶺真輝撮影)

プロバスケットボールBリーグ1部(B1)西地区の琉球ゴールデンキングスが好調だ。 今シーズンは例年より少なめの11人というロスターで開幕を迎えたが、これまでに4試合を消化し、3勝1敗で貯金生活を送る。16日に沖縄アリーナで行われた東アジアスーパーリーグ(EASL)の開幕戦ではメラルコ・ボルツ(フィリピン・PBA)に77ー74で競り勝ち、こちらも白星スタートを切った。 ただ、10月5日にあったBリーグ開幕戦で、主力ポイントガード(PG)の一人である新加入の伊藤達哉がいきなり全治2〜3カ月の怪我を負い、全てが順風満帆にきているわけではない。15日には両親が那覇市出身のPG平良彰吾がB3横浜エクセレンスからレンタル移籍で加入したが、すぐにチームにフィットできるわけではないため、外国籍選手が2人までしかベンチ入りできないEASLは9人のローテーションで戦った。 少ない人数でも好成績を残せている要因の一つに、昨シーズンまでと比べて存在感が増しているスモールフォワード(SF)、パワーフォワード(PF)の植松義也の存在が挙げられる。 所属3シーズン目の25歳。身長190cm、体重90kgとBリーグでは決して大柄ではないが、学生の頃からインサイドプレーヤーだったこともあり、外国籍選手にも押し負けない体の強さがある。練習生としてキングスに加入し、プロ契約を勝ち取った苦労人でもある。 これまではディフェンスとリバウンドでハッスルすることが主な役割だったが、今シーズンはそれに加え、オフェンス面での貢献も目立つ。自身が目指す「3&D」(スリーポイントシュートとディフェンスを武器とする選手)プレーヤーとしての姿を体現し始めている。

EASL初戦、第3Qにつくった「らしい」ハイライト

元チームメートのアレン・ダーラムをマークする植松

EASLのメラルコ・ボルツ戦は、前述のように外国籍選手が2人までしかベンチ入りできないため、ケヴェ・アルマが不在だった。そのため、PFもできる植松の重要度がより増した一戦となった。 結果、出場時間は14分42秒まで伸び、Bリーグの4試合を合わせて今シーズン最長となった。スタッツは9得点、2リバウンド、2スティール、1ブロック。一切手を抜かないスクリーンアウトやディナイディフェンス、ブロックを狙った高いジャンプなど数字に表れないハッスルプレーも多く、その選手の貢献度を表す「EFF」はチームで5番目に高い「+10」だった。 中でもハイライトとなったのは、徐々に相手に流れが傾きかけていた第3Q終盤の場面だ。 植松が右45度から放った3Pがルーズボールとなり、相手に素早いトランジションから速攻を仕掛けられる。昨シーズンまでキングスで活躍した体重110k超のアレン・ダーラムにペイントエリア付近で面を取られ、パスを入れられるが、マッチアップした植松が押し負けずに前に回ってパスカット。ルーズボールにすぐに飛び込み、相手の得点源の一人であるクリス・ニューサムから三つ目のファウルを引き出した。 その後の相手のポゼッションでもダーラムに1対1を仕掛けられるが、ドライブに対してすぐにコースに入り、ファンブルを誘った。 キングスファンであれば説明不要だと思うが、ダーラムのパワフルなプレーを1対1で抑えることは容易ではない。植松の体の強さやハッスルという最大の持ち味が存分に発揮された時間帯だった。 極めて「らしい」プレーとなったパスカットの場面について、植松はこう振り返った。 「自分のオフェンスのミスだったのでハリーバック(すぐに自陣に戻ってディフェンスすること)して、AD(ダーラム)に簡単にやらせないためにしっかり体張ってポストディナイしました。カットした後のルーズボールでうまくファウルももらえて、いい方向につながって良かったです」 桶谷大HCも「EASLは外国籍が2人しか使えないので、義也のプレータイムがどれだけ伸びるかがチームにとってすごい重要なところでした」と振り返る。実際、植松がしっかりとローテーションに入ってプレーをしたことで、ジャック・クーリーの出場時間は26分ちょうど、帰化選手のアレックス・カークは18分32秒に抑えることができた。 植松の貢献について、指揮官は「インサイドにいる選手がハッスルすることは、誰がやってもチームに勢いが付くと思っていますが、義也も1試合に1回は勢いを引き出してくれる。今シーズンは本当にチームにエネルギーを与えてくれている。チームの雰囲気を良くする一つの要因になっていると思います」とも言い、頼もしく感じている様子だった。

多彩さが増した3Pのシチュエーション 指南役は…

植松(左)と共に記者会見に出席した桶谷大HC=16日、沖縄アリーナ

オフェンス面でもスコアも計算ができる選手になりつつある。 特に3Pに関しては、昨季はBリーグレギュラーシーズンを通して決めたのは18本中7本のみだったが、今季は既に8本中4本を成功。試投数が多いわけではないが、50.0%の成功率は見事という他にない。 シュートバリエーションの広がりからも成長が見て取れる。 昨シーズンはコーナーで待ち、味方がつくったフリーのシチュエーションで打つことが主な役割だったが、今シーズンは動きの中でのショットが目立つ。スクリーンを使って自らフリーになり、キャッチ&シュートで打つ場面が多い。メラルコ・ボルツ戦ではドリブルを突き、スクリーンを使ってフリーになった瞬間にプルアップで3Pを沈めるシーンもあった。 指南役となっているのは、今季チームに復帰した佐々宜央アソシエイトヘッドコーチである。10月6日にあった三遠ネオフェニックス戦後、植松は「3Pは佐々さんと練習していて、『思い切りいこう』と言ってもらえています。プレシーズンゲームの時からずっと狙っていて、実際にリーグが始まってからも2日続けて成功できたことは、自分としても自信につながりました」と語っていた。 どんな指導を受けているかを追加質問すると、以下のコメントが返ってきた。 「一番はセットプレーの中で打つシチュエーションで、あとはムービングで打つことです。作シーンまではコーナーでのキャッチ&シュートとかスポットで打つことがほとんどでしたが、今シーズンからは動きの中でもらって、そのままシュートというところに取り組んでいます。積極的に打って、もっと確率良く決めれたらなと思います」 外のシュートの成功率やバリエーションが向上すれば、当然相手ディフェンスはより寄ってくる。その影響もあってか、今シーズンはドライブからレイアップを決め切ることも増えた。佐々氏と共に、ドライブのタイミングや止まり方のトレーニングを積んでいるという。 メラルコ・ボルツ戦後、桶谷HCはオフェンス面での評価も口にした。 「3Pが入るし、今日の後半にあったタイムアウト明けのドライブからのシュートもチームにとってめちゃくちゃ大きいプレーでした。試合に出る度に、本当に成長していっています。チームにとって、良い『Xファクター』としてプラスになっています」 「Xファクター」とは、良い意味で期待を裏切り、試合の勝敗を左右するようなプレーをする選手を指す。今シーズン、植松はコンスタントにスコアをしており、それが接戦を勝ち切る得点になる試合も増えてくるかもしれない。

課題認識、練習、成長の「サイクル」を

一方で、プロデビューしてから安定的にプレータイムを獲得できたシーズンがなく、経験も浅いため、当然課題は多い。今後、さらに成長してくためには、特にオフェンス面での不用意なターンオーバーを減らしたり、状況判断の質を上げたりする努力は必須だろう。 それは植松自身が強く感じている。メラルコ・ボルツ戦後のやり取りを、桶谷HCが明かした。 「今日も試合が終わった後に『あのミスがあった』という話をしていましたが、義也も課題を感じています。バスケットは試合に出れば出るほどミスが多くなるスポーツなので、それを課題として練習に持ち帰り、成長していく。ゲーム中はそれに捉われず、できることをやる。そういうサイクルを続け、まだまだ成長していってほしいと思います」 10月6日の試合後、植松も今後を展望していた。 「プロになってからプレータイムも少ないので、まだまだ3番(スモールフォワード)の経験が不足しています。そういう部分を伸びしろとしてとらえて成長していければ、おのずともっと試合に出られるようになり、チームに貢献できると思っています」 ハッスルするだけではなく、得点面でも貢献できる選手になりつつある植松。これまでの自分から一歩“向こう側”へと足を踏み出し、さらなる進化を遂げたい。

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