「東京の夏は暑いからいや」の受け皿に “移住”とも違う選択肢に名乗り【北海道・釧路】
夏は涼しい地域で、冬は暖かい地域で暮らせたら理想的!
こうした、2つの場所に住まいを構えるライフスタイルが注目されています。
♪『夏の平均気温18.5℃と言えば嘘だと返すけど、あなたがついた嘘の数忘れてしまったの?CoolStay釧路~”』
こちらは、釧路商工会議所が、暑い夏を涼しい釧路で過ごしてもらおうと5月に公開したPR動画です。
都市と地方、2つの地域で暮らす「二地域居住」の受け皿をめざす取り組みを深掘りしました。
東京の夏は暑いから嫌だな…
東京から北海道の釧路市を訪れた男性が見学しているのはゲストハウスです。
その目的はずばり「避暑」!
「もう東京が暑いので嫌だなと思っていたら、釧路の人に『釧路に来ると夏でも30℃を超さないよ』と言われ、それはいいと思って」
避暑などを理由に、釧路市で年間4日以上過ごす「長期滞在者」の数は、北海道内自治体の中で13年連続第1位。
ただ、その数は2000人台で伸び悩んでいます。
そこで、長期滞在者をさらに増やそうと、市は2025年度から『二地域居住』の誘致に本格的に取り組むことにしました。
リフレッシュできる魅力
5月に釧路市と企業誘致を手がける「うさぎ企画」が、東京で開いた交流会。
森田創代表は「移住までしなくても、釧路に通って何か面白いことをやってくれる人を増やすことで、釧路に活気をもたらそうと考えた」といいます。
釧路市での二地域居住に関心を持つ企業や個人に、釧路市の魅力を紹介。
リモートワークも多いというIT企業の村岡佑紀社長も関心を寄せる1人です。
「地方でリフレッシュしながら環境を変えてやれるのは、社員にとってもいいかなと思いますし、社員がリフレッシュすることによって、会社としても生産性の高い仕事が提供できるかな、と思うので」
移住とは違う『二地域居住』
完全に移り住む「移住」とは違う、『二地域居住』はいつもの生活とは別の地域に、もう一つの生活拠点を持つライフスタイルをさします。
週末だけを地方で過ごすスタイルや、都市部でメインの仕事をしながら定期的に地方に滞在して副業をするなどその形は様々です。
国も2021年に協議会を立ち上げて、推進しています。
国交省の酒井達朗二地域居住政策推進官「二地域居住をやらずに住む地域は大都会か移住で勝てる地域。ほとんどの地域で二地域居住が重要」と話します。
ただ、まだまだ「二地域居住」の存在自体が知られていないことが課題で、「上手くいっている事例を早く作っていかなければいけない」とも指摘しています。
国は「二地域居住」に先進的に取り組む全国の団体への支援を決め、そのひとつに釧路市が選ばれました。
釧路ならではのハードルも…
釧路市でゲストハウスを経営し、二地域居住の推進に取り組む『くしろまちづくり研究所』の小林真所長は”釧路ならでは”の課題があると指摘しています。
「夏の間、暑いところから涼しさを求めて来る人は本当に年々増えている。長期滞在用にキッチンがあるとか、そういう設備が整っている場所というのは、逼迫している」
釧路市内の宿泊施設の客室数は、約3500室。
これを国内外の観光客とスポーツチームなどの合宿で分け合うため、夏場は滞在先の確保が難しくなっています。
このため市では、空き家を所有する個人・企業に、夏場の滞在施設として活用できるか意向調査を始めるほか、長期滞在施設を一括した予約システムをあらたに整備する方針です。
釧路市・市民協働推進課の金子寛子担当係長はこうした二地域居住をしてくれる人への期待を寄せています。
「二地域居住を始めとした関係人口で人口減少を補完するというのが必要になってくる。産業の担い手になっていただいたりボランティア活動をしていただいたり、新たに副業起業等を行っていただいたり…釧路市民と同じように町の担い手の一員となっていただきたい」
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年5月26日)の情報に基づきます。