地域通貨すもー 流通量18地域中トップ 開始から2年、普及進む
相模原市の地域通貨「すもー」が5月10日、導入から2周年を迎えた。徐々に広がりを見せており、9日時点で1万4495人が利用している。同様の地域通貨を導入している全国18地域の中では流通量が最も多く、地域の魅力の再発見や、新しい出会いの創出などにつながっている。
「すもー」は無料のスマホアプリを通じて貯めたり使ったりすることができる地域通貨で、株式会社カヤックが提供している「まちのコイン」の相模原版。地元の中学生から市に提案があったことなどがきっかけとなり、地域活性化を目的に2023年に導入された。
市内での流通量は直近12週間(9日時点)で2億2500万すもーに上り、「まちのコイン」を導入している全国18地域の中で1位。「まちのコイン」を使える「スポット」に登録している団体数は、県内で相模原市より2年早く導入した厚木市・鎌倉市を上回っている。
比較的早いスピードで浸透してきた背景には、市内のイベントなどでの地道な周知活動がある。「スポット」を増やすために、市職員が市内の店舗に出向いて案内をすることもあるという。
SDGsに手応え
通貨を貯めたり使ったりする活動は全てSDGsの達成につながることから、市は「すもー」を通じた持続可能なまちづくりを目指している。
「すもー」は使用済みのペンをリサイクルに出すなどのエコ活動や美化活動などで貯めることができる。貯まった「すもー」は「ボウリングをして運動不足解消」といった体験や地域の団体の応援、グッズとの交換などに使用できる。アプリではそれぞれの活動がどのSDGsにつながるかが表示される。
運用開始から2年が経過し、市の担当者は手応えを感じている。「『すもー』でSDGsを知ったという声をいただいたことがある。アプリを通じて、日々の行動が実はSDGsの達成につながるということを学べる」
魅力を再発見
毎日朝・昼・夜に「すもー」のアプリを利用するという市内在住の松村ゆり子さんは、「すもー」を通して今まで知らなかった店を発見したり、関わりのなかった団体の人と顔見知りになったりと「知らなかった相模原を知ることができる」と話す。
地域と直接触れ合うことが難しい人にとっては、「すもー」の利用が地域への帰属意識の醸成や地域活動への参加につながる。アプリ内には利用者同士のコミュニケーションの場もある。松村さんによると、外出に困難を抱えている利用者が「『すもー』をやっているときに市とのつながりを感じられた」とコメントしていることもあったという。
市は「すもー」のさらなる普及のため、今後も周知活動に力を入れていく考え。