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【介護業界】実はそれ、労働基準法違反かも?!よくある事例を解説!

ささえるラボ

【介護業界】実はそれ、労働基準法違反かも?!よくある事例を解説!

労働基準法について誤った認識を整えよう!

一定期間働いたアルバイトを辞める際に「有給?バイトの子にはないんじゃないかな?」こんな話をされたことがある人はいませんか?
実はこれ労働基準法違反になるのです。ただ悪気があるケースは少なく、雇用者側も勘違いをしている場合が多いのです。
このような誤解しやすい事例について山本先生に解説していただきます!

執筆者/専門家

山本 武尊

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/23

介護職のみなさんをはじめ介護業界で働く皆さまには日ごろより感謝でございます。
今回は介護業界で働く皆さまが、1人の労働者として「働く」という視点での重要な法律である労働基準法の話です。日頃事業主をはじめ、みなさんも間違った認識でいることが少なくありません。よくある事例を取りあげて説明をしたいと思います。

あげたらキリがありませんが、ここでは介護業界で起こりやすい代表的な例で説明をしたいと思います。また今回は原則的な話が中心になりますのであらかじめご了承くださいませ。

事例1:朝早く来て仕事をした・少し残って働いただけ/この時間も残業代は出ます!

ご存知の方も多いと思いますが、労働基準法において使用者は労働者に、休憩時間を除き1週間につき40時間を超えて、1日においては8時間を超えて労働させてはなりません。(労働基準法第32条1項・2項)

また、時間外労働をする場合は労使協定書を労基署へ届け出てはじめて時間外労働が認められます。その上で割増賃金(いわゆる残業代)を支払う必要があります。

しかし一部の介護施設や介護業界に限らず他業界の企業などでも、残業をしているにも関わらず、その分の賃金が支払われていない状況(いわゆるサービス残業)がまん延しています。
また個人の自己判断で残業をしている、勤務時間より1時間早く来て仕事をしている(早出残業)などといった光景も目にします。

他にも、訪問介護のヘルパーなどについては訪問先から次の訪問先への移動時間が労働時間として扱われていないなどの問題もあります。
慢性的な人手不足である介護業界でもしっかり労働時間か否かを分ける必要があります。

仮に残業を命じていなかったとしてもタイムカード等の打刻時間やPCのシャットダウンの時間など実態で判断をされます。もし残業させていないということであれば、その職員を速やかに帰宅させてあげてください。

事例2:お昼休憩中の電話対応や作業/それは休憩時間にはなりません!

労働基準法では労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に与えなければなりません。(労働基準法第34条1項)

しかし、現実はお昼時間中に食事をとりながら電話の対応や、記録の入力作業をしている事業所も多いです。他業種でも休憩中に電話対応がある、忙しくて休憩をとれないという話はよく聞きますね。

本来、休憩時間は労働から解放されている必要があります。事業所に休憩室のような場所がなければ、外出をするなど仕事と休憩を分けてもよいかもしれません。

よい仕事をする上で、オンとオフの切り替えは重要です。休憩も労働時間と同様ですが、例えば、何時までにこの仕事を終わらせる、または急ぐ仕事ではないので明日にまわすなどの工夫を取り、ただ漠然と仕事をするというスタイルを見直してもよいのかもしれません。

出典:https://mynavi-kaigo.jp/media

事例3:有給を上司に否認された・パート職員に有給はないといわれた/有給休暇を与えるのも雇用者の義務です!

労働基準法では、雇い入れの日から6カ月継続勤務し全労働日の8割以上の出勤で10日間が有給休暇として与えなければなりません。また、それ以降に関しても勤続年数に応じて有給休暇は付与されます。(労働基準法第39条)

慢性的に忙しい業界や企業では実際に有給が取得できないという場合も少なくありません。また、あらかじめ有給休暇の申請をすると上司に嫌な顔をされたり嫌味を言われたりしたケースも多く聞いています。さらに、アルバイトやパート職員には有給休暇はないと言われたという話も聞いたことがあります。
一方で、使う側の使い方に関する問題もあがっています。有給休暇は権利だからと言い、例えば取得する前日に突然言われ、シフトや業務分担が混乱をする場合もあります。

法律はあるものの、社内のルールや手続きフローがないことでトラブルとなる場合もあります。アルバイトやパート職員についても比例付与といい、週の労働日数や時間数に応じて有給休暇は付与されます。確認してみてください。
上記3つの例はよく聞く話としてあげました。
あげたらキリはありませんし、嘘だと思われるかもしれませんが、こうした光景は介護業界にかかわらず多くの業界で珍しくはないものです。私たちの常識は時には非常識となる場合もあります。

ホスピタリティに頼らず、労働者の気持ちを考えた運営をしましょう

いわゆるホワイトな環境のつくり方がわからない

労働基準法を遵守していない事業所をブラック、遵守している事業所をホワイトと仮定した場合、なぜブラックとなる事業所が一定数あるのでしょうか。
事業主の悪質性が高いのでしょうか。私たち社労士が関与する大半の事業所にブラックな事業所という認識はないですし、もちろんブラックにしようという認識もありません。大半の事業主においてはホワイトにしたくても、その仕方が分からないという印象を受けます。

次にホスピタリティのある介護業界であるからなのでしょうか。
介護業界で働くみなさんが本当に優しい人が多い印象は否定しません。ですが、介護職員のみなさんも1人の労働者です。無理をして働きすぎてしまうことや属人的な業務になってしまう体質や職場環境には課題があると思います。

労働者と事業主が一体となり働きやすい環境を整えましょう

それでは、どのようにしたらいわゆるホワイトな環境になるのか。
ここで忘れてはいけないことがあります。労働基準法は労働条件の最低基準を設けた法律に過ぎないということです。

つまり労働基準法を遵守していていたとてしても、そこでの職場環境や人間関係が働くみなさんにとって不快なものであれば、人は離れてしまいます。
もちろん事業所を運営している事業主にその責任があります。どうしても合わない場合、働くみなさんは職場を変えるのも一つの選択かもしれません。

しかし先ほど述べたように、事業主も悪意があってブラックな職場になっているとは言えない環境もあります。事業主を通じて労働基準法を確認していただくことも一つですし、専門家である社労士が支援をすることもまた一つかもしれません。一番大切なことは労働者も事業主も一体となって、自らでよい職場環境をつくるにはという視点かもしれません。
そういう地道を続けることで、どこで働くことになってもホワイトな職場環境になっていくのかもしれません。

最後に:職員が安心し、長く働くことができる環境をつくりましょう

本日は介護業界でよく見られる事例を通じて労働基準法を考えてみました。
今後、ますます人材不足といわれる介護業界にとって介護職員が安心して、長く働く環境づくりが不可欠ではないでしょうか。

けしてホワイト・ブラックという言葉に踊らされず、現状を冷静に見たうえで事業主はもちろん、労働者も同じ方向を向いている職場が誰もが働きやすく、従業員に活力がある環境であると思います。
そして、それが私たちのサービスを受けるご利用者様のためにもなることでしょう。

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