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横浜で誕生したキャラバンコーヒーと共にゆったりとした時を。大森『MIKADO-YA珈琲店 Oomori』

さんたつ

JR京浜東北線 大森駅の階段を降りてすぐ目に入る『MIKADO-YA珈琲店 Oomori』。アトレ大森のフロア1階に入っており、駅の中からもアクセスが可能だ。 作業を目的として来る人が多い他のコーヒーチェーン店と比べ、ここでは1人でコーヒーを味わう人、お喋りに花を咲かす方々などがそれぞれの“時”を楽しんでおり、ゆったりとした時間が流れているようだ。

MIKADO-YA珈琲店 Oomori (ミカドヤコーヒーテン オオモリ)

横浜の「ミカドヤ商店」で誕生したキャラバンコーヒー

ブレンドコーヒーの開発を進めていた当時の写真。

キャラバンコーヒーは、1928年に横浜の馬車道で誕生。

輸入食品と自家焙煎コーヒーを取り扱う横浜の「ミカドヤ商店」で販売を開始し、創業者の永田一郎は、これらの取扱商品の中で特にコーヒーの香りと風味の素晴らしさに魅せられ、ブレンドコーヒーの開発を進めていったという。

この「キャラバン」という名前は、東アフリカやアラビア半島で収穫したコーヒーを麻袋に詰め、ラクダの背中に乗せて運ぶ「隊商(Caravan)」に由来しており、Caravanによって運ばれて行く姿や、けして速くはないけれど、堅実に進む「Caravan」のイメージを、当時日本人にとって全く新しい飲み物であったコーヒーを販売していく長い道程に重ねている。

挽きたてのハンドドリップをより味わってもらえるお店へ

木目調で落ち着きのある入り口。

元々『キャラバンコーヒー』という店名でやっていた際は、豆の量り売りや、軽食程度の小規模な喫茶業態であったが、挽きたてのハンドドリップをより味わってもらえるようにと、フードも充実した今の『MIKADO-YA珈琲店 Oomori』へ店名と業態を変更。

その際、外が見渡せる大きな窓や、木目調の壁紙など、内装をより開放的でゆっくり過ごせるデザインに変更を行った。

現在『MIKADO-YA珈琲店』という店名を使用しているのは大森店だけとなるが、キャラバンコーヒーとしては、横浜や船堀などに15店舗以上を展開しており、今や知る人ぞ知る名カフェだ。

キャラバンコーヒーの代表、ゴールデンキャメル

お店で提供しているコーヒー12種類のニュアンスチャート。

お店では、飲み口があっさりとしたソフトブレンドや、爽快な苦味が楽しめるロイヤルエスプレッソなど、全12種類のコーヒーが楽しめる。

その中でも定番なのがゴールデンキャメル600円で、苦味も酸味のバランスが丁度良いとされ、発売当時は他では真似できない味だと評されたこともある人気商品だ。

淹れたてのゴールデンキャメル。

「好みが別れないので、迷ったらゴールデンキャメルがおすすめです」と店長の宇田川さんに勧められ、そのままゴールデンキャメルを注文してみた。

確かに癖がなく、ブラックのまま飲んでもあまり苦味を感じず、とても飲みやすい。

ちなみに、全店舗で使用されているコーヒー豆は、全て横浜の幸浦にある工場から自社焙煎して配送しているとのこと。高品質のコーヒー豆を提供し続けていることもキャラバンコーヒーの特徴と言えるかもしれない。

ケチャップにこだわったナポリタン。

また、キャラバン特製横浜ナポリタン820円は、創業当時から提供している定番料理。

キャラバンコーヒーと同じ横浜発祥の清水屋ケチャップを使用しており、トマトの味がしっかりとした、甘みのある上品な味わいが楽しめる。

入社2年目で店舗責任者に抜擢された店長の宇田川さん

お湯を注ぐと、ふっくらするコーヒー豆。

店長の宇田川さんは元々飲食店でアルバイトをしていたが、本格的にコーヒーに携わったのは今の会社に入社してからだという。

そこからコーヒーインストラクターの資格を取得し、入社してたった2年で店舗責任者に抜擢されるなど、並々ならぬ努力があったことがうかがえる。

実際に、「店舗責任者になった当初は客単価や回転数など、どの数字を改善することでお店の利益を生み出すか悩みましたし、18歳〜60歳と、幅広い年齢層のアルバイトさんたちとコミュニケーションを取ることに苦労しました」と宇田川さんは話す。

さらにコロナ禍によって休業せざるを得なくなった時もあり、それ以前に来てくれていたお客さんがぱったり来なくなるなど、客離れにも悩まされたそう。コロナ直後は1日数十人しか来客がない時もあったという。

淹れたてのゴールデンキャメルを注ぐ様子。

これまで新橋、川崎、船堀などの店舗を転々とした宇田川さん。

コロナが落ち着いてから目に見えてお客さんが戻ってきたことも、お客さんから「あなたの淹れてくれたコーヒーおいしかったよ」「この前これがおいしかったから、また買いに来たよ」などと反応をダイレクトに受けられたこともとてもうれしい、と語ってくれた。

大きな窓が設けられた開放的な店内。

開放的な店内は、コーヒーが好きな方、お喋りを楽しみたい方にもちろんおすすめだが、特にゆったりとした時を過ごしたい方に推したいお店だ。

他とは違う、ゆったりとした“時”がこの場所にはある。
是非、歴史あるキャラバンコーヒーと共に心もお腹も満たしてほしい。

MIKADO-YA珈琲店 Oomori (ミカドヤコーヒーテン オオモリ)
住所:東京都大田区大森北1-6-16 アトレ大森 1F/営業時間:10:00〜21:30LO(日・祝は10:00〜20:30LO)/定休日:無/アクセス:JR京浜東北線大森駅から徒歩1分

取材・文・撮影=SUI

株式会社アステル
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