オーナーとともに半世紀走り続けてきた、オリジナル塗装の残る2000GT
とかくGT-R仕様のドナーにされがちなグレードのGTだが、本個体は震災を潜り抜け、令和の時代までサバイブしてきた1台。実際に乗られてきた個体なので、車内は完全オリジナルではない。しかし、そういった個体だからこそ、置物ではないリアリティが感じられる。光り輝くハコスカのブルーは、まるで澄んだ冬の青空のように美しい。
1970年に登場した2ドアハードトップ
デビュー当初は実用的な4ドアセダンからスタートしたスカイラインは、’70年によりスポーティな2ドアハードトップをラインナップに追加する。これは単純にドアの枚数を減らしただけでなく、6気筒を搭載するために長くなってしまったホイールベースを適正化する目的で、70mm短縮している。つまり4気筒のセダンから比べて、ロングノーズ&ショートデッキ化されたということだ。
スカイラインGTの2ドアハードトップは誕生する。これに合わせてGT‐Rも2ドアハードトップをベースとすることとなり、一躍人気の車種となるのだ。
ここに紹介するのは、’72年式の2000GTで、補修部分はあるものの新車当時のオリジナルペイントである純正色のブルーメタリックを残した一台だ。
関西在住の初代オーナーが半世紀近く大切にもち続けた車両で、一部再塗装をしているリアトランクは、なんと阪神淡路大震災の際に物が落ちてきて傷ついた箇所だという。点検記録簿もすべてそろっており、現在まで車検を欠かさずに受けてきたことが判明している。ロッキーオート渡辺代表もこれほどまでにオリジナルを維持し、車歴が判明しているケースは珍しいという。
1972 NISSAN SKYLINE 2000 GT(KGC10)|半世紀近く車検を受け続けた真のヴィンテージのディテールをもっと詳しく拝見!
エンジンはシングルキャブ仕様のL20型直列6気筒2000cc。GT-Rには及ばないが、115馬力を発生し、当時としては高性能なモデルだった。
給油口はリアトランクの左前端に位置し、鍵付きのフラップを開けると、給油口にゴム栓がある。これを抜いて給油する方式だ。
ステアリングはウッドグリップとなるほか、センターパッドのSマークがブルーとなる。
トランスミッションも4速マニュアルとなり、シフトノブのパターン表示も同様にブルーとなる。
メーターはGT-Rと共通ながら、スピードが240km/hスケールに、タコメーターが8000rpmスケールとなる。
AMラジオが標準で装備される。
シートはヘッドレスト別体式のリクライニング機能付きに変更。ホールド性は低下したものの、座面がフラットで乗り降りは容易だ。
ドアパネルは下部にアルミのキックパネルが備わる。
ルームランプはラウンド形状。取材車両は当時モノの社外製のオーバーヘッドコンソールが取り付けられていた。
【SPEC】
●全長:4330mm ●全幅:1595mm ●全高:1375mm ●ホイールベース:2570mm ●車両重量:1080kg ●エンジン形式:L20型(直列6気筒OHC) ●総排気量:1998cc ●最高出力:120ps/6000rpm ●最大トルク 17.0kg-m/4000rpm
取材協力:ロッキーオート