大分トリニータ 進化を遂げるキャンプの成果 【大分県】
J1昇格を目指す大分トリニータは、開幕ダッシュに向けて順調な仕上がりを見せている。この1週間はトレーニングマッチを含む強化キャンプを行い、その成果をピッチ上で表現した。チームの戦術が浸透し、攻守において狙いのある連動したプレーが目立つようになった。
22日に行われた横浜F・マリノス(J1)とのトレーニングマッチでは、1-0で勝利を収めた。選手たちは開幕に向けた仕上がりを感じさせるプレーで、攻守ともに高い完成度を誇った。特に注目すべきはFW有馬幸太郎のプレーだ。新加入の有馬は、積極的にゴールを狙い、何度もチャンスをつくり出した。その中で、決定的なチャンスを逃す場面もあったが、前線での存在感は十分に示した。相手の裏を突いた動きや、ボールを引き出す動作には確かな戦術理解が感じられ、攻撃の中心としての役割を着実にこなしている。試合後、有馬は「自分が欲しいタイミングを伝え合い、出し手からも具体的なリクエストが増えてきた。お互いの意図をすり合わせることができ、いい形でチャンスをつくれた。手応えを感じた試合だった」と語った。
攻撃の起点となった有馬幸太郎
一方、守備面でも大きな進展が見られた。無失点で試合を終えたことはチーム全体の守備意識が共有された証だ。中盤での強度を高め、前線からの連動したプレスが効果的で、守備の局面ごとに細かい連係を見せた。最終ラインを統率する藤原優大は「中盤の強度や後ろのスライドがスムーズにできたことが良かった。若い選手が多いチームなので、全員でハードワークできた」と話し、チームの成長を感じ取っていた。
昨年のキャンプはゲーム中心だったが、今年は戦術の確認が主眼となり、それを試合に反映させる形で進められている。練習の強度が高く、選手たちにはより高い基準が求められ、チーム全体のレベルアップを図っている。藤原は「昨年よりも細かい部分での要求が明確になった。守備のハマり方が良くなり、ピッチ上でも私生活でも高い基準を求められていると感じている。これが結局、勝利につながる」と、片野坂知宏監督の指導スタイルの変化を感じ取っている。
今後は大分に戻り、2つのトレーニングマッチを経て、さらに片野坂サッカーを強化し開幕に備える。片野坂監督は守備の整理や攻撃の強化を意識し、具体的な課題に取り組む姿勢を示している。開幕を迎える前に、より高いレベルへと進化を遂げるはずだ。
格上相手に無失点で終えたことは収穫
(柚野真也)