愛猫が『水分不足』を起こしている危険な兆候5選 すぐに始めたい予防策も
猫の水分不足の兆候5選
完全な脱水状態になってしまうと、猫はぐったりしてけいれんが出るなど、明らかな異常が見られますが、その手前の「水分不足」の段階で対処できれば重症化を防ぐことができます。
水分不足のとき、猫に見られる兆候について詳しく紹介します。
1.鼻が乾く
猫の鼻は、起きているときは湿っているのが正常です。しかし、体内が水分不足になると、起きている時間でも鼻の分泌腺からの水分が減少して、鼻がカサカサに乾きます。
飲水量が減ったり、高温な環境で過ごしたりした後などに鼻の乾燥が見られることがありますが、鼻の乾燥だけでは水分不足ともいいきれません。しばらくしてもう一度触ってみて、ほかのサインが出ていないかも確認しましょう。
2.毛ヅヤがなくなる
水分不足によって皮膚まで乾燥してしまうと、被毛のツヤがなくなってパサパサした印象になることがあります。これは、皮膚の潤いがなくなることで、毛の表面をコーティングしている皮脂腺の分泌も低下するためです。
エアコンなどの乾燥しやすい空調機器を使用していると、毛の表面から乾いて毛ヅヤがなくなり、パサついたりゴワついたりすることもありますが、体内の水分不足による被毛の変化が見られる場合は、対策をはじめなくてはいけないサインです。
3.肉球がカサカサになる
肉球が乾燥する原因には、被毛と同じようにエアコンや暖房による空気の乾燥や外部刺激、そして体内の水分不足が考えられます。
猫は人間のようには汗腺を持っていませんが、肉球には汗をかくだけの汗腺を持っていて通常ならほどよい潤いを保っているものです。しかし、水分が不足すると汗の分泌が減ってしまうため乾燥してきます。
もし、触ったときに肉球のぷにぷにとした柔らかさが感じられなければ、水分不足の可能性があります。
4.食欲が落ちる
水分不足が原因で食欲が落ちることがあります。まったく食べなくなるわけではなく、食べる量が減り、残す量が増える食欲低下です。寒くなって飲み水が冷たくなり、慢性的な水分不足に陥っている可能性があります。
体内の水分量が不足すると消化機能が低下するため、体が省エネモードになり、食べ物を受け付けにくくなるためです。特にドライフードをメインで与えている家庭では、フードを飲み込みづらそうにすることがあります。
ドライフードを嫌がるときは、ウェットフードを試してみるとよいかもしれません。また、お白湯やスープなどで積極的な水分補給をしてあげましょう。
5.皮膚の弾力がなくなる
水分不足が進んで皮膚組織の弾力がなくなると、脱水状態に進行している可能性があります。
猫の肩甲骨あたりの皮膚を軽くつまんで離すと、通常ならすぐに元に戻ります。しかし、水分が不足してくると皮膚の戻り方がゆっくりと遅くなります。もし、つまんだ皮膚が三角になったまま戻らない場合は、明らかな脱水状態で輸液などの処置が必要なレベルです。
この方法は、水分不足の目安のひとつと考えて良いでしょう。
愛猫の水分不足を予防するには?
猫に必要な水分は、体重1kgあたり、1日約40〜60mlの水分が必要です。たとえば、体重4kgの猫の場合、1日160〜240mlの水分が必要となります。これは食事からの水分も含まれます。
猫は積極的に水分を摂取する習慣がないので、水分不足になりやすい傾向にあります。ふだんの食事がドライフードの場合、こまめに水を飲む子でない限りは慢性的な水分不足の可能性も考えられます。猫を水分不足にさせないために、対策をはじめましょう。
✔猫が自ら水を飲みたくなる工夫をする
✔メインに食事にウェットフードを追加
✔部屋の湿度管理
猫には、高い場所や流れる水を好む傾向があります。そのため、台を使って飲み水の器を高めに設置したり、自動給水器で流れる水を演出したりする工夫は猫が積極的に水を飲みたがる環境作りに最適です。
また、水分摂取はすべてを「水」でなくてもかまいません。1日のうちの1食をウェットフードへ置き換える、鶏肉のゆで汁を与えるなどもよい水分摂取の方法です。
生活環境内の加湿も忘れてはいけません。湿度計でこまめにチェックし、加湿器などを使って適切な湿度を保つようにしましょう。これは飼い主さんの風邪予防にも大切なことですよ。
まとめ
猫の水分不足は、飼い主も気づかないうちに進行し、あとで深刻な問題を起こすことがあります。しかし、早めにその兆候を察知して適切に対処すれば猫の健康を守ることができます。
猫は腎臓や膀胱などの泌尿器系の病気になりやすいので、十分な水分補給は健康を維持するためにも特に重要です。そのためにも、猫が自分から水を飲んでもらえる環境作りが欠かせません。
水分不足が原因で深刻な問題が起きる場合、内臓の病気が関与している可能性もあります。もし、少しでも異常を感じた場合には、すみやかに獣医師に相談するようにしてください。愛猫が健康に過ごせる環境を整えてあげましょう。
(獣医師監修:葛野宗)