コンビニの食品工場を3日で退職 「もっと早く!!」「何してんだー!!」怒号が飛び交い…
コンビニにはいつ行っても美味しそうな弁当やおにぎりなどの食べ物が売られている。しかし作っている工場について、知っている人はそんなにいないだろう……
コンビニの食品工場でパートしていたという宮城県の佐々木さん(仮名、50代女性)に編集部が話を聞いたところ、過酷な勤務実態が見えてきた。
食品関連の工場はどこも衛生管理に厳しく、佐々木さんの働いていた工場も例外ではなかった。白衣の上下を着たあとに帽子を被るが、
「帽子を被る前のネットから髪の毛が出ないよう鏡を見ながら被り、その上から帽子を被ります。それからがまた大変で、異物の付着がないように全身コロコロを念入りにします」(佐々木さん、以下同)
という徹底ぶりで、着替えるだけで20分ほどの時間がかかった。職務上必要なことだから本来は勤務時間に入れるべきだが、この工場では勤務時間外の扱いで、しかもタイムカードを押す10分前には並ぶように指示されたという。
そのため「タイムカード押す前30分前には会社へ行かなければならなく、それだけで嫌になりました」という佐々木さんは結局、3日で退職した。勤務時間中もあり得ない出来事の連続だったようだ。(文:天音琴葉)
大手食品会社の完全子会社で安心して応募したが……
佐々木さんがコンビニの食品工場にパート勤めしていたのは8年前のこと。その前にはファミレスの厨房や弁当屋で短期間働いていた経験があるという。求人に応募した理由をこう話す。
「無料の求人誌に、大手食品会社の100%子会社と大きく記載されていたので安心し、また勤務地や勤務地時間帯がちょうど良くて応募しました」
勤務時間は11時から16時45分だった。勤務時間が6時間にならないよう、敢えて5時間45分という中途半端な時間に設定されていたという。労働基準法では、1日の労働時間が6時間を超える場合に会社は休憩を与えることが義務付けられている。それにもかかわらず、この食品工場では6時間を超える勤務が休憩なしで行われていた。
「交代の人が来ないと帰れない仕組みで、交代は早くて17時、遅いと17時10分でした。残業は15〜25分で、連日当たり前のように6時間超えていました。ロボットじゃないんだから、休憩時間もなく立ちっぱなしで6時間ちょいは、かなりしんどかったです」
8時間勤務のパートや社員には交代で昼の時間帯に休憩を取らせていたという。着替え時間の件と言い、会社に対する不信感は募る一方だっただろう。
トイレから戻ると「あんまり遅いから帰ったのかと思ったわー」
工場ではベルトコンベアで流れてくる製品を複数の人が分担して行うことが多く、ライン作業と呼ばれる。この食品工場ではお弁当やおにぎり、サラダなどをラインで作っていた。
「私はサラダ担当で、何種類かのサラダが流れて来ました。次から次と流れて来る容器に食品を入れていくといった流れ作業でした。何時間もほとんど動かず立ちっぱなしなので足も腰も痛くて痛くて……」
休憩なしの長時間の立ち仕事は足腰に負担がかかっていた。さらに人間関係も悪かった。
「向かいの加工パンのラインでは、主任みたいな上の立場の人なのか、ベテランさんらしき女性が、遅い人に『もっと早くしろー!!』、間違った人には『あぁー!! 違う違う!! 何してんだー!!』と、激おこで。静かな時間は少なくてずーっと怒鳴り声が聞こえていました。ほんと嫌だなぁって思いました」
佐々木さんが勤務時間中にトイレに行ったときのこと。
「流れ作業なので、お手洗いに行きたいときは手を挙げて知らせ、代わりに入ってもらってから行きます。ラインに戻ると隣のベテランのオバさんに『あんまり遅いから帰ったのかと思ったわー』と嫌味を言われ……」
しかし時間がかかるのも無理もない。衛生面での理由からトイレに入る前に白衣と帽子を脱ぎ、着用する際には異物の付着を取るコロコロまで行う必要があった。嫌味を言われた佐々木さんは、心の中で舌打ちしていたそうだ。
こうして3日で辞め、「人の問題もありましたが、仕事が合わないこと、休憩も取らせずズルして働かせる会社への不満もありました」と理由を明かす。会社に退職する旨を伝えた際に、「理由は人間関係ですか?」と聞かれたため、「それで辞める人が多いのかと推測します」とも話していた。
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