【期間限定】正直ナメてた。なんでもいきもの「のりおにぎり屋さん」を巡る2日間の激闘記
「すみっコぐらし」の作者である人気イラストレーターよこみぞゆりさんが手掛けるオリジナルキャラクターブランド「なんでもいきもの」。
2025年1月18日から渋谷MIYASHITA PARKにて、同ブランド初となる本格おにぎりテイクアウト専門店、なんでもいきもの『のりおにぎり屋さん』が期間限定オープンした。
情報をキャッチしてから即決で行くことにしたのだが、まさかこの判断が後に修羅の道へと繋がるとは───。
・修羅のはじまり
「おにぎりならオープン(11時)に行けば多少並んだとしても買えるだろ」と完全に甘く見ていた私は、11時ピッタリに店舗に到着した。
見た感じでは、並んでいるのはざっと10人程度。「あれ、意外と空いてる? これはラッキー!」と安堵しながら、呑気に「のりおにぎり」の写真を撮り始める私。
満足げに写真撮影を終え、さて列に並ぼうとしたその瞬間——。ふと視界の端に広がる異様な光景に気づいてしまった。
え?
ちょっ……
…………。
めっちゃ並んどるやんけ
・長蛇の列
私が店頭で見た「10人程度の列」は、実は最前列の一部に過ぎなかった。その後ろには外まで続く長蛇の列が隠れていたのだ。
「え、本当にこれ『のりおにぎり屋さん』の列?」と思わず目を疑った。ざっと見た感じで、少なくとも100人以上は並んでいる。あまりの光景に一瞬フリーズしてしまったが、それだけの人気ぶりに驚きを隠せない。
しかも、スタッフさんが「こちらは整理券のみを配布しています! 必ず商品の購入ができるとはお約束はできないので、ご理解いただける方のみお並びください‼︎」と叫んでいるではないか。
整理券もらっても商品を購入できないパターンが存在するとは、こいつぁヤベェところに迷いこんじまったようだ。
こうして並ぶこと約1時間、ようやく入手できた整理券は……
_人人人人人人_
> 174番 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y ̄
オープンとほぼ同時に店舗に訪れたにも関わらず、174番という数字を叩きつけられ思わず白目を剥いてしまった。
純粋に作品の人気があることは間違いないが、混雑の原因はおそらく「オープン記念特典」だろう。
なんでも、1月18〜19日の2日間限定で、お買い上げ先着100名に「のりおにぎり屋さんオリジナルポストカード」がプレゼントされるらしい。
この特典を目当てに、多くのファンが押し寄せた結果、こんなにもカオスな状況が生まれたと考えられる。
ここは単なる可愛いおにぎり屋ではない、紛れもない戦場だ……!
・正直ナメてた
私が整理券を入手した12時の段階で残りはあと157組。1時間どのくらいの回転率か注視してみたところ、大体10組捌けてるか捌けていないかといったところであった。
この日、夕方に予定を入れていたのだが、どう計算してもそれまでに順番が回ってこないことは明白だ。
なるほど、これは詰んだな───。
……そう確信したのは14時前。煌めく太陽を見上げ、私は
家に帰った───。
そう、この日の私は「寒い中ただ行列に並びに行っただけの女」と化しており、なんの成果も得られずに終わったのだ。ただひたすら無念である。
・執念のリベンジ
初日の失敗を活かし、翌日早めに戦場(店舗)に向かうことを決意。当然午後の予定は何も入れていない。
さらに待ち時間が100%発生する状況であることを学んだ私は、その時間を有効活用できるようにとパソコンまで装備をした。もう昨日の私とは別人である。人は失敗を重ね強くなるのだ。
そしてオープン1時間前(10時)に戦場に到着。
おおおおお! 並んではいるが、昨日ほどではない。ざっと見た感じ100人いかないくらいではなかろうか。これはいける気しかしないぞ‼︎
期待を胸に並ぶこと約30分、今回入手した整理券は……
67番……!
初日と比較してこれはすごい快挙である。しかも「オープン記念特典」も入手できるじゃないか! そうとなればあとは呼ばれるのを待つのみ‼︎ と心躍らせ、一度戦場を離脱した。
そして待機すること約3時間、「店舗にお越しください。まもなくご案内いたします」との通知が来た。この時、静かにガッツポーズをしたのは言うまでもない。
・待ってたぜェ‼︎ この瞬間(とき)をよォ‼︎
通知を受け取った私は足早に戦場内部(店内)に潜入。ああ、この景色をどれだけ待ち望んでいたことか……。
メニューは「おしながきA」と「おしながきB」から1種類ずつ選ぶ仕組みで、注文方法は伝票に手書きで記入するスタイルだ。
今回は「のりおにぎり」「ポークたまご」、「にたまご」「天むす」の2セットをチョイス。価格は1セット990円とおにぎりにしてはかなり強気な値段設定だ。(のりおにぎり-50円、いくら+50円)
また、「のりおにぎり」以外にグッズ販売もしていた。当初購入する予定はなかったが、ここまで苦労したのだ、せっかくだから記念にひとつだけと「トレーディング缶バッジ(550円)」をあわせて購入した。
こうして人はまんまとカモられるのである。
注文後、会計を済ませ待つこと数分……いよいよ待望の……
「のりおにぎり」たちとご対面の瞬間(とき)がきたァァァァア!!!!
可愛いすぎてキレちまいそうだ……。
・回転率の悪さはファンのためだった
この「のりおにぎり屋さん」では、上記写真のように箱に詰める前に「のりおにぎり」たちを専用のフォトスポットにセットするという粋なサービスを提供している。
ファンにとっては、自分の購入品をSNS映えする形で撮影できるのはたまらないだろう。
なるほど、回転率が悪かったのはこの演出のためだったのかと、思わず納得。それでも、こうしたサービスは「可愛さ」が売りのお店ならではの心遣いであり、ファン心理をよく分かっていると感じた。
さらに驚いたのは、「のりおにぎり」がすべて注文を受けてから手作りされていること。
調理スタッフはわずか3人という少数精鋭で、休む間もなくおにぎり作りに専念しているらしい。その努力には、心から拍手を送りたい。
やっとの思いで購入を果たしたこの瞬間、安堵と達成感で「これで全て終わった」と勘違いしそうになったが、ふと我に返る。まだ食レポと記事を書くという重大な使命が残っていることを思い出した私は、早々に渋谷を後にした。
・やっとの思いで実食
さてさて、2日間の時間をかけ入手したこの「のりおにぎり」たち。見た目は間違いなくキュートでテンションは上がるが、肝心の味はどうなのか……? さっそく1個ずつ食べてみた感想を正直にレポートしていこう。
1. 「のりおにぎり」
まずは看板メニューの「のりおにぎり」。食べるのを躊躇(ちゅうちょ)してしまう可愛さだが、ここは遠慮なくかぶりつかせていただこう。
結論からいうと、おにぎり自体のクオリティは普通な印象だ。塩味はかなり薄め。米の硬さや冷たさがやや気になったが、持ち帰りで時間が経っていたから仕方ないか。
そもそも、のりおにぎりは具がない分、米そのものの味わいが重要になる。今思えば出来立てを食べればよかった。持ち帰りでもレンチンで温めたりするといいかも。
…………。
……なんかゴメン。
2. 「ポークたまご」
正直、期待していなかった「ポークたまご」だが、これが意外にも一番の当たりだった。厚切りのポークがジューシーで、卵とのバランスも程よい。
こちらも時間のせいかお米がいまひとつではあるが、その中でも「ちゃんと美味しい」と思えた一品だ。
3. 「にたまご」
お次は見た瞬間に「おお!」と声が出た「にたまご」。
半分に割ろうと試みた結果、悲惨な姿にしてしまった。
卵がこれでもかと溢れる豪華仕様だが、実際に食べてみると特筆すべき点は少ない。「普通に美味しいけど、それ以上でも以下でもない」というのが正直な感想だ。
…………。
ゴメンて。
4. 「天むす」
最後は「天むす」。エビ天とタレの組み合わせは安定感があり、普通に美味しい。
中身もたっぷり具だくさんだが、特別驚きや感動はなく「天むすってこんな感じだよね」という範囲に収まってしまった。欲をいえばもう少しインパクトが欲しかったところである。
ただ、そもそもおにぎりってそういう食べ物といえばそうかもしれない。
・【結論】可愛さは抜群。購入する際は時間に余裕を持つべし
「のりおにぎり屋さん」のおにぎりは、視覚的な可愛さが最大の魅力。女子会やインスタ映え狙いの場面では間違いなくウケるだろう。
また、今回の混雑は「オープン記念特典」が引き起こしたカオスだったと思われるが、今後も油断は禁物。ディズニーもびっくりの待ち時間に挑む覚悟が必要かもしれない。
「のりおにぎり屋さん」は2025年2月16日までの期間限定オープン。購入を検討している方は時間に余裕を持って挑むべし!
参考リンク:なんでもいきもの「のりおにぎり屋さん」
執筆:大島あさ未
Photo:RocketNews24.