JR東日本「新幹線モニタリング車」報道公開 「スマートメンテナンス」実現へ向け12月から本格稼働
JR東日本は22日、2種類の「新幹線モニタリング車」を報道公開しました。JR東日本の「スマートメンテナンス」実現のメインツールとして、2024年12月から本格稼働します。
スマートメンテナンスとは
新幹線の安全・安定輸送に欠かせない線路の健全性を確認するため、従来は技術者が線路を歩き目視で確認作業を行っていました。しかしながら、そうした確認作業は効率が悪く、全ての箇所を完全にチェックするのは難しいといった課題を抱えています。
そこで登場するのが「スマートメンテナンス」。技術者の作業を先端技術を活用した装置によるモニタリングに置き換えることで線路などの状態をデジタルに点検し、線路の健全度をデジタルデータで管理することで設備の劣化予測の精度を高め、CBM(※)を実現していく――JR東日本はこの一連の手法を「スマートメンテナンス」と呼称し、業務全体の生産性向上、効率的な線路の修繕、働き方改革につなげていく考えです。
※Condition Based Maintenance……「数年に一度」といったサイクルによらず、各部品の状態や稼働状況に応じてメンテナンスを行うこと。
今回報道公開された保守用車は、スマートメンテナンスを実現するためのメインツール。区間によって運行頻度は異なりますが、従来なら毎月1回技術者が線路を点検しているような場所で、隔月で走らせることで目視の頻度を約50%削減できます。また年1回線路検査を行っているような場所では、検査を毎月実施することで最大12倍まで高頻度化することも可能です。
国内最速、新幹線専用「レールモニタリング車」
「SMART-Green」(愛称)は「はやぶさ」(E5系)をイメージした緑色のモニタリング車。レール内部に発生する傷など状態を点検、検査する保守用車(レールモニタリング車)です。レール内部の傷を発見したり、レール表面の凹凸や摩耗などのレールの状態を総合的に把握することができます。
全長は18.400メートルで、国内最速の測定速度(最大70km/h、従来の約2倍)を誇ります。搭載するのはレール頭頂面撮影装置、レール凹凸測定装置、超音波レール探傷装置、レール断面摩耗測定装置。散水しながら走行するため、8,050リットルの散水タンクも備えます。
国内初、新幹線専用「線路設備モニタリング車」
「SMART-Red」(愛称)は「こまち」(E6系)をイメージした赤いモニタリング車。マクラギなど線路を構成する部品の健全性を点検します。
全長は同じく18.400メートルで、「SMART-Green」との連結協調運転を想定。なお、「Red」は単独で走ることもありますが、「Green」は常に「Red」と連結して走るということです。報道公開では車両の連結シーンや連結した状態での運転も公開されました。
記事:一橋正浩