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冬アニメ『全修。』スタッフ連載インタビュー第十回:撮影監督・藤田健太さん|絶望の中でもふざけているのが『全修。』

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

株式会社MAPPAのオリジナルTVアニメ『全修。』が、2025年1月5日よりテレ東系列ほかで放送中。初恋をテーマにした劇場ラブコメ作品のコンテ作業中に意識を失い、子供の頃に夢中になったアニメ映画『滅びゆく物語』の世界へと転生した天才監督・広瀬ナツ子。彼女の活躍により『滅びゆく物語』で実際に起きることがどんどん“改変”されていきました。果たして、物語はどのような結末を迎えるのでしょうか?

アニメイトタイムズでは、本作の魅力、そしてアニメ業界のお仕事に迫るインタビュー連載を展開! 第十回は撮影監督・藤田健太さんに再びお話を聞きました。「良い作品を作る近道は、信頼のおけるスタッフとのチームを作ること」と言葉にする藤田さん。そんな藤田さんが本作の撮影でこだわった部分も、まさにチームプレーが光るシーンでした。

 

 

【写真】冬アニメ『全修。』撮影監督・藤田健太に聞く今後の見どころ|絶望の中でもふざけているのが『全修。』

この作品で自分の引き出しはすっからかんになった

──ここまで放送された話数のなかで、撮影の面で特にこだわった・もしくは上手くいったと感じたシーン、印象に残っているシーンを教えてください。

撮影監督・藤田健太さん(以下、藤田):4話のメメルンとイグジスト様のミュージカルパート、あとは7話のナツ子に初恋をした色々なキャラクターが出てくる話数です。

メメルンの長い人生の中での絶望は、はかり知れなく世界を終わらせてしまおうとするほど。そんな彼女がまた前を向いて生きていこうと思わせるのは衝撃的な体験がないと説得力がないと思い、圧倒的に綺麗で劇的でロマンチックなミュージカルパートにする必要があるとシナリオを読んだときに感じました。綺麗に反射する水面。ドキドキワクワクするドレスアップなど、素敵なものが詰め込まれているようなシーンになったと思います!

7話では色々なキャラクターに見せ場があり、それぞれ違った表現にしたいと思いみどりちゃん、二宮くん、アオイで専属作業者を決めてスタッフに作業してもらいました。荒々しい表現、綺麗で繊細な表現など、それぞれ得意なシーンで力を発揮してくれるスタッフをとても心強く感じました。

 

 

──本作で撮影監督をやってみて苦労したこと、大変だった点を教えてください。

藤田:とにかく開発物(特殊なエフェクトなど)が多いことです。ざっと数えただけでも100点以上はあり、信頼のおけるスタッフと分担して作りました。また、素材から撮影で対応するエフェクトも多く、にぎやかしではなく画面上でメインで映せる素材になるように試行錯誤を重ねました。この作品で自分の引き出しはすっからかんになったので、またインプットに励もうと思います。

──本作は「コミュニケーション」というのもひとつのテーマだと思います。藤田さんは、アニメ業界において「コミュニケーション」はどれくらい大切だと感じていますか? 

藤田:これ以上ないくらいに重要なことだと感じます。アニメは集団作業なので、相談や提案をしやすい環境下で生まれる作品は良いものになると思っていて。逆に保身などで下手に情報統制をしたり、お互いが共有事項を怠ったりすると、上手くいくものを台無しにしてしまうこともあります。

 

 

作り手側が可能性を感じていないものは視聴者にも届かない

──コンテ制作が行き詰ってしまったナツ子。藤田さんも創作中に行き詰ってしまったことはありましたか? また、そんなときはどうやって解決してきましたか?

藤田:行き詰まってる内容に関連する写真集やイラスト、映像で先人の知恵を借ります。そのため、自席の周りは本がたくさんです。

 

 

──ナツ子はアニメ『滅びゆく物語』に夢中になっていましたが、藤田さんが夢中になったアニメ・もしくはバイブルとなっているようなアニメ作品はありますか?

藤田:『キルラキル』と『天元突破グレンラガン』がバイブルです。『グレンラガン』に出てくるキャラクターたちのように、かっこいい生き様に憧れます。また、近年作品ですが、『アーケイン』や『スパイダーマン:スパイダーバース』の画作りには、とても感銘を受けました。

──藤田さんがアニメ作品の撮影監督を担当するうえで大切にしていること、大切だと思っていることを教えてください。

藤田:チームを作ることが大事だと感じました。自分でできることには限りがあるため、ひとりでも多く信頼のおけるスタッフを集めたり、育てたりすることが良い作品を作る近道だと思います。

──藤田さんが思うアニメ業界の面白さ、楽しさ、やりがいを感じる瞬間を教えてください。

藤田:現場で真っ先に作ったものを見てもらって驚いてもらったり、喜んでもらったりすることにやりがいを感じます。作り手側が可能性を感じていないものは視聴者にも届かないと信じています。あとは納品を終わらせてみんなでお酒を飲むのがいちばん楽しいです。

 

 

──今後の放送を楽しみにしている方々に、見どころを含めたメッセージをお願いします。

藤田:『全修。』をご視聴いただきありがとうございます。明るくワイワイしていた『全修。』が一転鬱展開になって来ましたが、絶望の中でもふざけているのが『全修。』! 「バカやってらぁ」と笑ってください!

 
構成 M.TOKU

 

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